ツバサ・クロニクル 17 1/3

ツバサ・クロニクル 17 1/3


桜の国のカフェ。



起きてはいけません。
王。



寝てばかりもいられんだろ。



ですが、お身体の傷がまだ・・・



敬語。
あと、桃矢だ。



ぁ・・・



また砂嵐か?
時期が決まっているわけでもない。
原因もわからない。

けど、ああやって
あの遺跡の周りには時折砂嵐が起こる。



まるで、あの中にある何かを守るように。



あいつらは、その何かが目的で
来たんだろうな。



彼らは僕たちとは時限の違う
どこか別の世界。
異世界から来た者。



異世界か。

さくらとあの小僧も
今頃その異世界のどこかに居るんだろうな。



桃矢・・・。



わかっていた事だ。
あの小僧が
さくらの運命の相手だという事を。

あれは・・・
あの小僧と出会って間もない頃の事だ。






あはは。






あの時、あの小僧を見て
おれは違和感を覚えた。



違和感?



あいつが、さくらと打ち解けて
笑うようになって
それは少しずつ薄れていった。

だから、お前には言わなかった。
もちろん、さくらにもな。



でも、当時の僕は
小狼君に何も感じなかった。



神官であるお前が感じなくて
おれが感じた、あの違和感。
それは、はたして何だったのか?



前王にその事は?



言った。
あの小僧に会ってすぐ後にな。
そしたら・・・






信じましょう。
未来を。

前王がそのように・・・



そうだ。

そう言ってあの遺跡を見ていた。
いつもと変わらぬ優しい目をしてな。






羽根を持たぬ虫たちは
その先に何があるのか知らぬまま
ただ悪戯に地を這い回る。

空の高みにある者だけが
彼らの行く先に何があるのか
知っている。
彼らを導くのも容易な事。



でも、その高みに居るのは
私たちではないわ。



向こうもこちらも介入の度合いは同じだ。
しかも
こちらは手駒が一つ多い。



たいした自信ね。



自信?
違うな。

確信だ。



さぁ、駒を一つ進めるぞ。






到着!



ぁ・・・



さぁて、今度はどんな国かな?



ぁ?



ようこそ!
桜都国へ!



ぁ・・・?



わぁ!



あら、あら
皆さん変わったお召し物ですね。



やはり異世界からいらしたんですか?



まとわりつくな!



ん!
この国って
異世界から人が来ることがあるんですか?



もちろん!

この国を楽しむために
皆様、いろんな国からいらっしゃいますわ。



住民登録はお済みですか?



住民登録?



モコナも抱っこ!



それはいけないわ!
早速、市役所にお連れしなければ!






ぁ・・・



桜都国中央市役所。



すぐやる課。



桜都国へようこそ!
こちらにお名前をどうぞ。



ぅーん。



今まで使われてきたお名前と違っても
大丈夫ですよ。



偽名でも良いって事かな?



はい。



んじゃ
オレがみんなの分も書いとくね。



わ!
ファイさん!
そ・・・それは・・・



ぁ・・・



承りました。
あとはとりあえず、住む場所と
職業を決めていただきます。



この国って旅人も働かなくちゃ駄目なの?



働かないとお金が無くて何も出来ません。



そりゃぁ、そうだね。



お急ぎでしたら、お手持ちの何かを
換金できますよ。



そりゃいいね。



黒わんわん。
そこの荷物持ってきて。



ぇ!



人を犬みてぇに呼ぶな!



ぁ?






ここって前はお店だったみたいですね。



いい物件、紹介してくれたね。
あの受付の子。



これまで立ち寄った国で手に入れたお洋服も
全部、買ってくれましたし。



小狼君の言うとおり
取っといて良かったよ。



よその国の衣装を
価値ある物とみる国もありますから。



それも、お父さんと旅してた時の知恵?



はい。



くつろいでて良いのかよ?



ぁ・・・



見張られてるかも知れねぇんだろ?
誰かに・・・



ん・・・



ぁ・・・



うーん。
それはそうなんだけど・・・
でも、ずーっと緊張してるのは無理だしね。
リラックスできる時にしておかないと。



はぁ〜。
モコナもリラックス!



へっ!
だらけすぎだ!