×××Holic 16 2/3

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善は急げという事で・・・






はい、そこでいいわ。



はーい。



裏の井戸から水、汲んできましたよ。



ご苦労様。



どうするんすか?
この水?



使うのよ。



この壷に?



これはね、何でも屋に依頼して
とって来てもらったものなの。



どこから?



神社の社から。
内緒で・・・



って、それ、盗んできたんじゃないっすか!?



ちゃんと対価は払ったわよ。
ねぇ?



ねぇ。



そんな問題じゃないしょ!



まぁまぁ、その話は置いといて。



置いといて。



早速水をこの壷に入れて頂戴。



この壷は一体?



早く!早く!



ぇ?



月がずれちゃう。



あぁ。
わかりました!
入れりゃぁいいんですね。



なんすか?
それ。



水晶よ。
井戸の水をさらに清めるためにね。
さ・・・
壷の中を覗き込んで。



あ、はい。



うわぁー!



ぱちぱち!
ぱちぱち!
成功!



成功!






侑子さん!






うはぁ!



一体、何したんすか?
侑子さん?

ぁ?



ここ、どこだ?






さて・・・
四月一日が出かけている間にこちらは晩御飯!



トントン豚汁!



豚汁、最高!






とにかく、妙な所に送られたのは確かみたいだな。
なんせ、壷の中に吸い込まれた感じだったもんな。

いい風。
水仙、いい匂いだな。
わけわかんないけど、空気はいい所だな。

いぃ!



元に戻った。

っつう事は、ここは清浄な気とやらが
一杯の場所って事か?

まぁ、用は済んだんだけど・・・

おれはどうやって帰ればいいんだ!?



うふふ。

子供ね。

子供よ。

それにうるさいわ。

うるさいわね。

私たちに気付いてないわ。

気付かないなんて間抜けね。

間抜けだわ。



まさか・・・ここから?



何するのよ!?



失礼ね。

失礼だわ。



水仙がしゃべってる?
てーどじゃ、もう驚かねぇぞ!
はははははは。



驚いたじゃない。

驚いたわよね?



そりゃ、突然、巨大化したからです。



うふふふふふふ。



ここは何処なんすか?
元居た場所にどうやったら帰れるんでしょう?



用が終わったら帰れる。

終わったらね・・・



終わったんですよ・・・
コンパクトサイズになったし・・・



まだよ。

まだだわ。

行きなさい。

用を済ませに行きなさい。



ぇ?



早く、行きなさい!



たたたたたた
何なんだよー!?






いきなりでかくなったら
びっくりするっちゅうの。

つか、水仙の大群って怖ぇえよ。



ぁ?
なんか、景色
変わってる?
かな?



しかし・・・
用を済ませろって言われても・・・
もう、管狐はこれだしな。



ぁ?



何の音だろ?
笛か?



綺麗な音だな。



ぁ!



きみは・・・
座敷童女



あ!
ぁ・ぁ・ぁ・・・
わぁ!



わぁ!



大丈夫?



はい。



あ、あぁ。
着物、びしょ濡れだ。



あの・・・
あの・・・
どうしてこの山に?



え?
ここって、山なの?



え?



え?



あなたが通って来たのは
『壺中天』ですね。



『壺中天』?



霊力が宿った壷の中の別世界。
水仙の花がたくさん咲いた所を通って来たのなら
それは、水仙の壷。
水仙の化身と言われている
仙女の世界です。



なんか、よくわかんねぇんだけど・・・
じゃぁ、ここもその
壺中天とやらなのかな?



いいえ、ここは私たちが住んでいる山。
霊山と呼ばれる場所です。



霊山?



ん?
でも、壷からでてないんだけど・・・
おれ。



清い気で満ちている所は
気の道でつながっていることがあります。
この山には水仙も咲いていますから
道もつながりやすいんです。



へぇ〜!
ぁ、一石二鳥ってこの事だったのか?



あ、
あの時はごめんなさい。
私が間違えてお萩を・・・



あの方、大丈夫でしたか?



あぁ、あの方は
大丈夫、大丈夫。



良かった!
ずっと気になっていて・・・
あの後も叱られたんです!



童女に?
仲、いいんだね。



はい。
いつも迷惑かけてばかりですけど。



あ!
あの、何か・・・
この山に、御用ですか?



あ、そうだ・・・



だったら・・・
あ、あの・・・私・・・
ご・・・
ご案内したいです!



これ。



ぇ?