ツバサ・クロニクル 13 2/3

ツバサ・クロニクル 13 2/3



ぁ・・・
あたし、寝ちゃったんだ。



そうなの!
黒剛がびろーんとほっぺ
引っ張ったの!



ぁ・・・



ぁ・・・
金の髪のお姫様?



ぁ・・・






積もったねぇ。
雪。



昨夜はかなり冷え込んだしな。



さくらちゃんは砂漠の国のお姫様だから
雪、初めてかもね。

おや、さくらちゃん、おはよ。



おう。



おはようございます。



おはようございます。



どうか、しましたか?



うーん・・・



実は・・・



ぁ・・・






うちの子供が・・・
どこにも居ないんです!



落ち着いて。



鍵だってちゃんとかけておいたのに。



それと、やっぱり
金の髪の姫の仕業か?



じゃぁ・・・



ぁ?



あれは、夢じゃない。



今、なんて言った?



あたし、見たんです。
金色の髪をした女の人が
黒い鳥と一緒に歩いている所を。



北の城の姫だ!



姫の呪いだ。



金の髪の・・・



姫が、子供たちをさらったんだ。



待ってください。
あのお姫様は、とても悲しげに見えました。
とても子供たちをさらうような人には・・・



いい加減な事を言うな!
おまえらのようなよそ者に
一体、何がわかるって言うんだ!?



やめんか!



また子供が消えたんですか?



昨夜、そのよそ者たちは家から出なかっただろうな?



いつ、急患が来てもいいように
私の部屋は玄関のすぐ隣です!
誰かが出て行けばわかります。
彼らは関係ありません。



ん・・・



みんなでここに居ても仕方がない。
さぁ、手分けして居なくなった子供を探すんだ。



おれたちも手伝う・・・



結構だ!



わぁ!
すごく睨まれたね。



怪しまれてんだろ?



あたしが変なことを言ったから・・・



そんなこと、無いです。
おれは姫のいう事を信じます。



ありがとう。



ぁ・・・



どうしたの?






金の髪の姫を見たんですか?



ごめんなさい。
私があの時、外に出ていれば・・・



でも、夢だと思ったんですよね?



はい。



無理もありません。
しかし、この街の人々にとって
あの伝説は真実なんです。



それは史実という意味ですか?



この国の歴史書に残っているんです。
300年ほど前にエメロードという姫が実在しました。
当時の王と后が突然亡くなった後
城下町の子供たちが次々と姿を消していった。



その歴史書には子供たちのその後は書かれているのですか?



誰一人として、居なくなった時と同じ姿では帰ってこなかった。
と、書かれています。



そりゃ、生きて帰ってこなかったともとれるな。



街外れにある城は既に廃墟となっていますが
史書に記された内容と
今回の一件があまりに似ているので・・・
街の人々は伝説の再現だと思っているようです。



街でその姫の姿を見たという人は?



居ません。

さくらさん、あなたが初めてなんです。



ぁ・・・



さくらちゃんは始めての目撃者なのかもね。



その歴史書、読むことはできますか?



もちろんです。
私が持っているものでよければ。



すごい・・・



ひゅう!



ぷ、はぁ!



人の服の中で動き回るな!



えへへ、怒られちゃった。



とてもじゃねぇが、渡れねぇな。



ましてや、子供を連れてじゃね。



昔の人はどうやってお城に出入りしていたんでしょうか?



この橋がつながっていたんでしょう。



ん?



おや?



あれって・・・



グロサムさん・・・ですね。



あんな所で何やってんだ?



さぁ・・・






それじゃ、お大事に。



ありがと。
先生。



ありがとうございました。
さ、行きましょう。



お帰りなさい。



今の子は?



昨夜いなくなった子の友達だそうです。
ショックを受けて食事がのどを通らなくなったのを
母親が心配して診察を受けに来たんです。



かわいそうに。






てめぇ!
さっきはよくも人の服の中
這い回ってくれたな!



いひひ。



こら!

こら!

こら!

こら!



何か書いてあった?



300年前のエメロード姫の統治時代について
少し書かれています。
当時も、今みたいな凶作に見舞われて大変だったようです。



伝説に出てくる不思議な力を持った羽根の事はどう?



その記載はありません。



でも、王と、后の死と
城下の子供たちが消えた一件は確かにありました。



やっぱり、さくらちゃんの羽根とは関係ないのかな?



それはわかりません。

ただ・・・



ん?



書物や歴史が真実のみを語っているとは
限りませんから。






ぁ・・・



夜になると、さらに冷えますね。



小狼くん・・・



元気ないですね?
姫。



私、記憶があまり戻っていないから
誰かに疑われる事になれてなくて・・・



ぁ・・・



大丈夫です。



え?