×××Holic 12 1/3

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第十二話。
「ナツカゲ」



もうすぐ・・・
あなたが、やってくる。
私はあなたを待っている。
あなたのクツおとがする。
あなたがドアの前まで来て
私は・・・
やっと・・・
あなたに・・・
会える。






ここね。

いい所じゃない!



いひひ。
楽しそう!



うふふふふふふ。



そりゃ楽しいでしょうよ。
侑子さんとそれは
手ぶらっすからね!



それくらいの荷物でへたばっているなんて
だらしないわね。



ねぇ。



こんだけ持てば誰だってへばりますよ!



百目鬼君はへばって無いわよ。



はぁ?



ごめんね。
百目鬼君。
荷物、持ってもらって。



いや。



おれだって、ひまわりちゃんのカバンなら
10個や20個。



みーんな!
荷物は全部、四月一日が持ってくれるって!



言ってねぇ!



わかった。
持ちたいなら、持て。



持ちたかねぇよ!



ぅ!



すごいね。四月一日くん!
まだ持てるの?



はぁ・・・

楽勝だよ!

な・・・何が入ってるんだ?

だ、大丈夫だよ。ひまわりちゃん。



あほ。



なんだと!
てめぇ!



ここが、私たちが泊まる貸し別荘ですね?



えぇ。
最近、本当、暑かったでしょ?
ちょうど夏休みだし
みんなで避暑をかねてどうかと思って。



最高です!

お前はいらんけどなっと・・・と・・・と。



荷物、やっぱり重そうね?



そりゃ、こんだけありゃ・・・



助けて・・・
って言えば百目鬼君が手伝ってくれるかもよ・・・



言いません!



絶対言わない?



絶対に!



言ったほうが楽になるのに。



なりません!



やっぱ、あほだな。



二度も言ったな!
この野郎!

何かと言えば阿呆、阿呆言いやがって
だいたいなんでお前のほうが落ち着いていやがるんだよ!



さーて、入るわよ。
鍵は?



ここ!






あつい。
今日はとても暑い・・・
あなたの為に飾った花
青い花瓶の中から私を見ている青い花
こんなに暑いと枯れてしまわないかしら?

そう、水を替えなければ。
あなたの為の、大事な花だから。






素敵ですね!



そうね。
手入れも行き届いているみたいだし。



ねぇ、上へ行ってみましょうか。



おう!



へぇ!
台所も綺麗だな。

て・・・
何よりも先にここを見ているのが
自分でもなんちゅうか・・・

けど、作るのはおれだしな。
材料も運んだしな。
自分でな。

ん。
んーーーー

あたーーー



ぁ・・・



力ねぇな。



つかんでただけだ!
ひねってねぇからな!



うわぁ〜!
すぐ下が海なんですね!



そ。
せっかく夏なんだから泳がないと。
水着、持ってらっしゃいって
連絡しといたでしょ?



はい!



よかったわね?






あなたが来てくれた。
ずっと待っていた
あなたが・・・
青い花は気に入ってくれたかしら?
あなたは喜んでくれるかしら?
笑ってくれるかしら?






部屋も綺麗だ。



うーん!
潮の香りか!



うーん!
ひまわりちゃんの水着姿!
かわいいだろうな!

けど・・・
海はな・・・
出るんだよな・・・
アヤカシやら、霊やらがわんさと・・・

あー・・・
でも、でも・・・
ひまわりちゃんと泳げるチャンスなのに!

ぁ?

なんか・・・
気に・・・
なる・・・ような・・・



どこが?



い!
いや・・・



何が気になるって?



おまえが隣の部屋だって事だよ!
あー!
ひまわりちゃんと隣になりたかったよ!



九軒なら向かいの部屋だろ?



お向かいより・・・