ツバサ・クロニクル 11 2/3

ツバサ・クロニクル 11 2/3




きっと、おまえの母親は・・・



おまえが殺したんだ!
この街を守ろうとした母様を。
母様が言ってた。
どんな力を使っても
失った命は戻らないって。

どんなに恋しくても・・・
どんなに会いたくても・・・
もう、母様には会えないんだ。






でも、忘れないで。
母はいつでも、あなたの傍で見守っているから。






それなのに・・・
それなのに・・・

そんなたわごと・・・



春香・・・
仇を討ちたいか?



あぁ!



それで気が済むならいい。
けれど
この男に、春香が手をかけるほど価値があるか?



う・・・






秘術とは
人に幸福をもたらす力。






こんな奴・・・
殴る手がもったいない。



うん。



く・・・
来るな!

さ・・・
触るな・・・



おう・・・

い・・・
い・・・



そこまでだ。



ふふふふふふふ。



ぁ!



う・・・
う・・・



そのお姉さんなら信用しても大丈夫だよ。



この男は、私が預かる。
ゆっくり礼をせねばならぬ。



う・・・



よくも私をこんな城に閉じ込めてくれたな。
我が、秘妖(キイシム)の国で
息子ともども、最高のもてなしをしてやろう。



いやだ!



春香とやらはおぬしか?



そうだ。



おまえの母はよい術師だった。
この領主の卑劣な罠によって亡き者となったが
私との戦いで己を磨き
お前が成長して自分をもしのぐ術師になることを
楽しみにしていると言っていた。

強くなれ!
春香!

亡き母のように
私と秘術で競えるほどな。



やる。
絶対に。



ふ。



やだ!

やだ!



では、またな。
かわいい虫けらども。



いやぁー!



ぁ・・・






お、おう!






終わったな。
これで。



えぇ。



おう!



ありがとう!






ぁ・・・






お誕生日、おめでとうございます。
さくら姫。



ありがとうございます。
雪兎さん。



これぐらいじゃ足りないんじゃないのか?
この大ぐらいには。



こんなに一杯食べられないもん!



いいや、軽いだろ?



兄様、嘘ついてるんだよ。
こんなに食べられないの!
ほんとだよ!



どうだか?



王子!
さぁ、せっかくの料理です。
頂きましょう。
料理長が今日の焼き菓子は自信作だと
言ってましたよ。



誕生日だから特別に腕をふるったって
言ってたしな。



本当?
お城の料理長が作ってくれるお菓子
本当に美味しいの!

あのね・・・
今日、来てくれてありがとう。
あたし・・・

あたし、誕生日に・・・と居られて
本当に、本当に嬉しい!

うふ。






どうして・・・
誰も・・・
居ないのに・・・



羽根、また一つ・・・
取り戻せた。






これから、別の世界に住む人のところに
あなたたちを送ります。



さくら・・・






さてと・・・
行きますか?
魔女のもとへ。






な、何をしやがる!



あなたは強くなりたいと言った。
でも、もはやわが国には
あなたより強い者はおりません。
それゆえ、あなたを異界へ送るのです。



て、単なる厄介払いだろうが!
うわぁ・・・



では、元気でお過ごしくださいね。



てめぇ!
覚えてろよ!






異世界へと渡る力を持つものは
既に存在する。
だが、あの玖楼国(クロウコク)
地中深く埋まったものは
それを遥かにしのぐ力だ。

今、はぐくまれつつあるのは
世界を変えることが出来る力。
その力を得るために
長い時間をかけてきた。
ふ・・・



必ず、手に入れる。