ツバサ・クロニクル 9 2/3

ツバサ・クロニクル 9 2/3




駄目です。



ぁ・・・



ここで、さくら姫と待っていてください。



小狼くん・・・



ぁ・・・



どうして駄目なんだ?
あたしが子供で、たいした秘術も使えなくて
足手まといだからか?



違うと思う。






言えばよかったのに。
春香ちゃんを連れて行かないのは
これ以上迷惑をかけないためだって。



とにかく、その領主とやらを
やっちまえば良いんだろ?



で、さくらちゃんの羽根が本当に領主の手元にあれば・・・



取り戻します。






来たか。

来れるから来てみろ。
愚かどもめ。



ん?
何か隠し持っておるな。
あの小僧。
強い力を感じる。



大丈夫だよな。
親父様の秘術は無敵だよな?



むろんだ。






さ、時限の魔女さんに貰った物
出番だよ。



で、どうやって使うんだよ?
それ。



投げて。



ぇ?



出来るだけ遠くへ投げて。
あのお城に届くくらい。



届くかな?



大丈夫です。



えい!



やったぁ!






ぉ・・・



城内の秘術が破られた!



騒ぐな!
わしの秘術はこれからだ。






中に入ったはいいが、いつまで続いてるんだよ?
この回廊はよ。



黒剛、疲れたの?
だらしなーい!



おめぇは、歩いてねぇだろ!



真面目に歩いてるんだけど
どこにも着かないね。
扉も無いし・・・



元の場所に戻ってます!



ぁ?
どうしてわかる?
確かに似たような場所だが
引き返しちゃいねぇぞ。



もしや、と思って
さっき、これを落として置いたんです。



ひゅーう。
小狼くん、すごい!



なんなんだよ!
その『ひゅう』ってのはよ!



だって、口笛ふけないんだもん!



ひゅー!



おめぇも、やんな!



ったく、あれだけ歩いて無駄足かよ。



ここかな?



この向こうに領主が居るのか?



わかんないけど、凄く強い力を
この向こうから感じる・・・かも。



魔力は使わねぇんじゃなかったのかよ。



今のは魔力じゃなくて
勘みたいなもんだから。
はい、これ。



って、なんだ?
こりゃ。



この壁、ぶっ壊して。



こんなもんより、もっといい方法があるぜ。

てや!



当たり!



ぁ!
誰か居ます。



うわぁ!



よう来たな。
虫けらどもめ。






やつら、回廊の秘術に気付いたぞ。



それでこそ、こちらの思惑通りだ。
あれはこの国でも最強の力を持った
アヤカシの女、秘妖。

名高き術師であった春香の母ですら
御せなかったもの。
この羽根の力でやっとこの城に閉じ込める事が出来たのだ。
たとえ奴らが何者でも
敵ではないわ。






誰だ?
てめぇ。



たかが100年ほどしか生きられぬ虫けら同然の人間たちが
口のきき方に気をつけよ。
と、言いたい所だが久しぶりの客だ。
多めにみてやろう。



あぁ?
何、言ってんだ?
とりあえず、さっさと領主の居所を吐け。



黒ぷん、短気すぎだよ。



黒ぷん、短気で照屋さん。
かーわいい!



うるせぇぞ!
てめぇら!



面白い童達(わらしたち)だ。



ほめられちゃった!
てへ。



ほめてねぇよ!
ガキって言われたんだろうが!



この城の中に探している物があるかもしれないんです。
領主がどこにいるか、教えていただけませんか?



良い目をしている。

しかし、その問いに答える事はできぬな。
それに、ここを通すわけにもいかぬ。



えーっと・・・
それは・・・

おれ達を通さないためには
荒っぽい事にしちゃおうっかなぁ〜
って感じですかね。



ふふふ。
そのとおり。



ぁ!



ふーん。



幻か?



いーや、秘術だ。
幻は惑わせるだけだが
私の秘術は・・・
ただ美しいだけではない。



ぁ!



ぁ!



ん?



私の秘術によって出来た傷は
全て現実となる。



って事は、大怪我すると・・・



・・・死ぬ。



ぁ!
脚が・・・



池の水もこの玉と同じ物で出来ている。
そして、目に見えるもの全てが
本物とは限らない。



池に落ちたら溶けちまうって事かよ。



黒みん、これ、壊して。



ぁ?
何でだ?



素手じゃいつまでも
よけるだけしか出来ないでしょ?