ツバサ・クロニクル 8 1/3

ツバサ・クロニクル 8 1/3


神の愛娘。




時として人は生きる勇気を忘れてしまうものです。
でも、心に信じた何かがある限り
勇気は決して
消え去る事はありません。






ぁ・・・



誰かが・・・
呼んでいる。






あ・・・



小狼くん?



大丈夫です。



小狼くんを打ち負かすなんて・・・
領主様の秘術は相当な物だね。



領主の親子はその力を使って
街を支配しているんだ。



つったって、相手は二人だぜ!
街の連中が束になってかかれば
やっちまえるだろうが?



もちろん、やった。
半年前、街の人は力を合わせて
あの親子を倒そうとした。
でも、領主の城には秘術が施されていて
誰も近づけなかった。



なるほど・・・
その秘術がモコナの言ってた
不思議な力の正体だね。



不思議な力、いっぱいで
羽根の波動・・・
よくわからないの。



城に入れねぇんなら
領主が外に出てくるのを待ちゃぁいい。



領主は決して城から出ないんだ。



だったら、あの息子はどう?
人質にとっちゃうとか・・・



人質・・・ですか?!



おまえ、今・・・
さらっと黒い事、言ったな?



ん?



それも駄目だ。
あいつは秘術で街中を監視しているから。



昨日の小狼君みたいに
風の攻撃を受けちゃうのか?



やっぱ、城攻めか?
となると、肝心なのは大将だ。
戦慣れしたヤツが指揮をとらねぇと
いくら攻めても城は落ちねぇ。



この街にそこまで戦が上手な人間なんて
居るはずがない・・・



居るだろ!
ここに。



ぁ!

やってくれるのか?!



まぁな。



黒ぽん、珍しく協力的だね。
もしかして、あれに飽きちゃったとか?



当たり前だ!
屋根の修理なぞてめぇ一人でやれ!
俺は領主の城を攻める事に決めたからな!
とりあえず、兵隊が必要だ。



任せてくれ!
それなら心当たりがある。






親父様。
あの小娘、また何かたくらんでいるみたいだぞ。



城の守りは完璧だ。
放っておけ。



それにしても、なぜ春香を生かしておく必要がある?



あの娘、いつかおまえの嫁に・・・
と、思ってな。



う!
なんだと?!



春香には、母をもしのぐ術師になる素質がある。
その力を我が一族の物にするには
おまえの嫁にするのが一番の近道だと
そう、考えていたが・・・
はぁ・・・
これがあれば、もはやその必要も・・・
あるまい。



そいつを聞いて安心したぜ。



いずれ、春香には
母と同じく死を与える事になろう。
親子仲良く・・・
あの世で暮らすがいい。






ここは?



入ればわかる。
さぁ。



うわぁ!



心配するな!
私の客人だ。



どうなってるの?



ここは、領主の支配をよしとせず
密かに戦う事を決意した
街の勇士が集まる秘密の場所なんだ。



その声は春香か?



ぁ?



あ!
あなたは・・・



空汰と嵐だ!



ぁ・・・



お久しぶりです!



おまえたち、知り合いだったのか?



いや・・・
始めてみる顔だが・・・



私もよ。



っと!



なんだ?!
これは!



これじゃなくて、
モ・コ・ナ!