ツバサ・クロニクル 7 3/3

ツバサ・クロニクル 7 3/3



あのね・・・
これから小狼くんの事を
小狼って呼んでもいい?

兄さまがね特別に仲良しの人は
名前で呼び合うんだって言ったの!

だから、私のことも
さくらって
呼んで!



ぇえ?



ね、小狼






はい。
さくら姫。



ぇ?
ぁ・・・



あれは・・・?!






いーはははははは!
税金を滞納するとこういう事になるのだ!
ぬははははははは!



なんという事を!



え?

ふん、出たな、小娘。
昨日の礼をしてやる!



また貴様か!?
そこをどけ!



どきません。



貴様・・・



ぁ!



うりゃ!



あの扇は・・・!



いけぇ!



あの扇は・・・
もとは母様の物なんだ。






ぁ?



あぁ!



秘術とは
人に幸福をもたらす力。



ぁ?



決して私利私欲の為に使ってはなりませんよ。
わかりましたね。
春香?






その言葉の本当の意味がわかったのは
それから、ずっと、ずっと後の事だった。

一年前、街にやってきたあの親子は
それまでたいした秘術も使えなかったのに
突然、強くなった。

奴らは前の領主様を追い出して
街を支配してしまったわ。

苦しむ街の人たちを助けるために
母様は領主と戦った。
あいつらに・・・
殺されたんだ。



うん?




ふん。






ふふふ。






ぁ!



風が来る!



うわっ!



は!






思い知ったか。
これが我が力だ。






ぎゃぁ!



いははははははは。
どうだ!
親父様の力は!



小狼くん!



しっかりしろ!



子供の喧嘩に親が出てくるのか?
本当に最低の親子だな!
おまえたちは!



ほざけ。



ぁ?



ふん。



あ・・・
ま、待て・・・
それは、母様の・・・!



うん!
うりゃ!



ぁ!



たった一つしかない・・・
母様の・・・



悔しいか?
悔しかったら親父様を倒したらどうだ?
春香?

もっともおまえなど親父様に指一本触れる事も
出来ないだろうがな。



吠えてろ・・・
いつの日か、必ず
この街にも密偵衆が・・・



来ないさ!
来るものか!
うはははは!






下を向くな。

やんなきゃならねぇ事があるなら
前だけ見てろ!






母様・・・!