×××Holic 10 2/3

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それからの毎日は
男の子からお母さんの事、いつ聞かれるか
いつ聞かれるかと思って
ずーっとびくびくしながら過ごしてた。

でも、次の日も、その次の日も
男の子は全然聞いてこないんだって。

一週間が経ってとうとう耐え切れなくなって
逆に聞いたの。
お母さん居ないの淋しくないのかって。

男の子はしばらく、キョトンとしてたけど
こう言ったの。

だって、お母さん、ずっとお父さんの隣に居るもん。



おしまいです!



ひまわりちゃん、話上手ね。



良かった。
つまらなく無かったですか?



とりあえず、約1名には威力十分だったみてぇだな。



ぁ!
そりゃどういう意味だよ!
おい!



そのままの意味だよ。



おれはビビッてねぇ!

こっちはお話ですまねぇんだよ!
変なものがリアルワールドでドサッと寄ってくるんだよ!
ドサッと!



さ、次に行きましょう。



さて、おれだったな。

爺さんから聞いた話だけど
学生が一人、古いアパートに引っ越して来たんだと。
その夜、どうも寝付かれなくてうとうとしてると
六畳の部屋の周りを・・・

あまりにも怖くなったんで
翌日、知り合いからお札をもらってきて
部屋の四隅に貼っつけた。

安心立命

で、その夜
お札の効果があって、近寄って来れないみたいなので
ほっとしてたら・・・

無駄だよ!



あぁ!
怖かった!



う・・・



怖かったね。



そ、そうだね・・・
つか、もう一言オチ、禁止な。



あぁ。



あぁ、じゃねぇだろ!



百目鬼君のお爺様はここの住職でいらっしゃるの?



そうです。
もう、死にましたけど。



幽霊とかよく見てらした?



みたいですね。
なんか、その手の相談よく受けてたらしいし。



じゃ、百目鬼君のも血ね。



は?



え、え?
は!

は・・・は!



こっちの部屋、誰か居るのか?



居るっちゃ居るな。



何だよ、その半端な答え!

家の人か?



いや、檀家の人だ。
遺体だけどな。



は?



預かってんだよ。
葬式前に。



だ・・・
誰か、ご遺族とか一緒に居るん・・・だよな?



いや、ご遺体だけだ。
だから、かまわねぇって言ったじゃねぇか。



ゴクリ。

じゃぁ、じゃぁ・・・
向こうの部屋、窓 開いているとか?



向こうの部屋に窓はない。



うわぁ!



だから、言ったでしょ?
役者が揃ったって。



役者って死体もコミコミだったんですか!?

もう!
出よう!
ひまわりちゃん!

こんなとこで怪談なんて、それこそ冗談じゃねぇっての!



だめよ!



ぁ・・・



百物語の最中は
結界から出ては駄目。



結界って?



4本の蝋燭で作った結界。
今、この世界はその力で守られている。
でも、外の事は保障できないわ。



それってつまり・・・



百物語が終了するまで
ここから出られないって事。



やっぱり!
はぁ。

死体と一緒に怪談なんて
おれ、やばいっすよ。



でも、まだ見えてないでしょ?
アヤカシ。



あり?
そう言えば・・・
あぁ。



でも、さすがにこれ以上
場が盛り上がると・・・



と?



ひまわりちゃん?



はい?



このまま続けても平気?



はい。
始めた事は最後までやらないと。



いい子ね。
ひまわりちゃん。



だーーー!!
毒牙一発!!
ひまわりちゃんが食われる!



誰によ!



とりあえず再開しましょ。
百物語。



えっと・・・
次は・・・



おまえだな?



な・・・!



まさか、お話を用意して来なかったんじゃぁ
無いでしょうね。



話ならあるけど・・・

小学校低学年くらいの子供・・・
あぁ、男な。
学校から帰る時の話なんだけど・・・

四つ角の所で
横から来る妙な人が居てさ
雨も降っていないのにこうもり傘なんて変だと思ったんだってさ。
でも、それだけじゃなくて・・・
なんか、近寄りがたいって言うか・・・
分かれた後はほっとしたんだけど・・・

次の四つ角に来た時
また・・・

もちろん、無茶苦茶急げば
遠回りして、もう1回現れる事も可能なんだけど・・・

何のために?
ありえないと思ったら・・・
どんどん怖くなってきて
そして、さらに・・・



えっと・・・
それだけ・・・
なんだけど・・・



不思議だねぇ。



オチがねぇな。



悪かったなぁ!

おれの実話だからな!



その男の人ってなんだったんだろうね?



霊だろ。



な!
おまえ、やっぱ幽霊とか視えんの?



いや、全然。



なんだ。



言ってるだろ?
何べんも。



知らねぇっつーの!

でも、まぁ・・・
そうだよな。
幽霊とかそういうの・・・



視えなくても、できることはあるわよ。



え?



良かったわね。
その男の子。



何がっすか?



もう1回、それに逢ってたら
ただじゃ済まなかったかもね。