×××Holic 10 1/3

×××Holic 10 1/3


第十話。
「トモシビ」




う〜・・・
あ”〜つ”〜い”〜・・・

あつーい!



ぐったり・・・



主様、しっかり・・・



日本の夏ってどうしてこうなの?

あつーい!



こんにちは・・・



侑子さん、聞いてくださいよ・・・



暑い日本の夏をさらに鬱陶しくするやつがやって来たわ。



1ヶ月もの長い間
ひまわりちゃんに逢えないんですよ!



あー!
暑苦しい!



どうやってこの夏を乗り切ればいいんだ!



ぁ?
わぁ?



うーん!

たしかにね。
夏は太陽の季節だから心配よね。



どういう事ですか?



真夏の海や山は
街だってどこだって
恋の季節だってこと。



侑子さんは、けがれてる!
ひまわりちゃんに限って・・・そんな・・・
ふ・・・ふしだらな・・・



恋と喧嘩は若者の特権よ。



そんな特権、いりません!
ひまわりちゃんには高原の避暑地が似合うって・・・

避暑に行っちまったら・・・
逢えないじゃん!

うわぁーーーー



だったら
思い切ってデートに誘えば?



ぁ!
デート?



いや・・・
出来たらそうしたいんですけど・・・
いきなり二人っきりは緊張するっつーか・・・



じゃ、グループ交際ね!



ぁ・・・

は?



二人っきりが照れくさい四月一日の為に
一肌脱いで・・・
ア・ゲ・ル・・・



ユウ、ユウ!



ァァ・・・



夏のデートといえば・・・



言えば・・・



やっぱり・・・



やっぱり・・・



いや、あの・・・



怪談でしょ!



イェーイ!



怪談だ!



全然、関係ねぇし!



だから四月一日
さっそく百目鬼君にお願いしなさい!



は?



怪談に大事なのは舞台設定。

百目鬼君の家ってお寺だったわよねぇ?



だから、それとこれと何の関係が!



お寺で部屋借りて百物語よ!



百物語!



デートだ!デート!



百物語!



デートだ!デート!



百物語!



だから、なんで!






ぁ!



あ!



こんにちわ!
もう、こんばんは・・・かしら?



どっちでもいいよ!
ひまわりちゃん、こんばんは!



侑子さん、お久しぶりです。
今日は誘ってくださってありがとうございます。



お久しぶり。



よ!
元気か?



久しぶりだね。
元気だった?



まぁな。



相変わらず、可愛いわねぇ。
ねぇ、四月一日



そりゃぁ、もう!

浴衣姿もいいっすよねぇ!
つか、もう、最高!



でも、やっぱりなかなか難しい子よ。



わかってますよ!
ひまわりちゃんくらい可愛かったら
ライバルがおおいのは!



そういう意味じゃないんだけどねぇ・・・



え?



こんばんは。百目鬼君!



よう!



百目鬼君と仲良くしといたほうがいいわよ。



嫌っすよ!

たかだか場所貸して貰っただけで
何が、仲良くっすか!



おいおい、わかるわよ。



おいおいって・・・?
何だよ?






絶好の百物語シチュエーションね。



良かったのかよ?
ここで百物語するの
隣、今日使うんだろ?



あぁ、けど かまわねぇだろ。



お前の事はいいんだよ!



あんまし騒ぐとまずいだろって!



だから、全然かまわねぇよ。



かぁ!適当な!



さぁって。

四月一日は、これ。



ぁ。



そっちの裏鬼門に置いてくれる?

後は、この蝋燭を・・・

みんなも自分の蝋燭にこの蝋燭に灯を移して
隅の燭台に持って行って。

そう、そこに立てる。

これで準備はおしまい。



はぁ。



本当はもっといろいろあるのよ。
蝋燭100本とか
かみそりとか
あわせを逆にするとか。

でも、今日は略式でいいでしょう。
役者が揃っているし。



じゃ、百物語を始めましょう。



じゃぁ、ひまわりちゃんから。



ある、家族の話なんだけど・・・

ハンサムな旦那さんと、優しい奥さん。
そして、お母さんの事が大好きな男の子が居たの。
でも、旦那さん、浮気性で
それが元で奥さんと物凄い喧嘩になっちゃったの。
慰謝料だの、何だのって話になって
旦那さんは頭に血が上って
奥さんを殴り殺しちゃったんだって。

これがばれたら牢につながれて一生が台無しになってしまう。
何とか隠し通さなくちゃならない。
そう決心したものの
男の子はお母さんにとてもなついていたから
お父さんがあまり好きじゃなくて
どう誤魔化すか一番悩んだ相手だったんだ。

最初は旅行に行ったとか誤魔化そうと思っていたんだけど
つい、言いそびれていたのね。