×××HOLiC 5 1/3

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第5話。
「シリトリ」


×××HOLiC



第20回市長杯弓道大会。



百目鬼君ってすごいね。
利き腕、怪我してるのに。



そうかな?
まぐれっぽいかな。



なんか興味なさげだね。
百目鬼君の応援に来ようって言ったの
四月一日君でしょ?



ちがうよ
あいつがどうしても弁当作れって言うから
それでまぁ・・・

あいつの怪我の理由作ったの俺みたいなもんだし。
でも、一人で来るのもなんだかなぁ・・・だし。
それなら日曜日にひまわりちゃんを誘い出す口実になるかなぁって。



え?
なに?



いや、なんでもないよ。

それにしても確かにあいつ順調だよな。
これは、ひょっとして、ひょっとすると
ひょっとしちゃうのか?



優勝おめでとう!
百目鬼君!



おう。



わざわざこいつが活躍する姿を
ひまわりちゃんに見せつけに来たようなもんだものなぁ。
まったく・・・



あ?
どうした?
四月一日



なんでもないってば!



優勝した時の矢だ。
ほれ。



あ?
何すんだよ?!



記念にやるよ。



こんな折れた矢、記念になるか!



うふふふふふ。
四月一日君と百目鬼君って
ほんと、仲いいよね。



また、このパターンか。






つまんない事で遅くなっちゃったなぁ。
すぐに出来るのはパスタ系だけど
昨日もだったしなぁ。
侑子さんがそれで満足してくれるかどうか・・・?

あ、あれ?
え?

なんだろう?
このすっげぇいい匂いは・・・!



ぁ!

屋台?



おでん。



ちょっと味見させてもらって
美味しかったら、今日の晩御飯はこれにしよっかなぁ!



え?



うわぁー!!!



キツネー!



あー!



うわぁ!

やっぱりどう見てもキツネだよな。
なのに直立二足だし。
そのうえ服着てる。



おやおや。
人間のお客さんとは珍しいですね。



出た!
おっきいのも居た!
しかもしゃべってる!



たいした物もありませんが
よろしければ寄っていってくださいな。



あのぉ・・・
それってまさかかぶり物じゃないですよね?



はははははは。
違いますよ。
わたくし、正真正銘のキツネです。



あっははは。
ですよね。



いや、ここで長い事やってますが
若い人間のお客さんがいらっしゃったのは
数えるほどですね。



そうなんですか?



お若いのにたいしたもんです。
あなた、よほど強い力をお持ちのようだ。



そんな事がわかるものなんですか?



そりゃぁ、もう。
そうでなければ、わたくしたちの
このお店も見ることができませんから。
さ、どうぞ。

さぁ、さぁ。



うまい!

すっごく、おいしいです!



そうですか。
それは良かった。



特に、この揚げを煮たのが
すごく美味しい!



まぁ、キツネの作るおでんですからね。
揚げには特別なこだわりがあるものでして。



ぁ。



あ、さっきはごめんな。
驚かせちゃって。



ううん。
こっちこそ。



ん?



どうも、そのバッグの中が気になっているみたいですね。



う!



気になる物って言っても・・・
お弁当は食べちゃったんだよなぁ・・・

あ!
あいつ、いつの間に・・・
おれのバックはゴミ箱じゃないっつーの!

これの事?



あー。



あげるよ。



え?
いいの?



うん。
どうぞ。



うわぁー!
どうも、ありがとう。



いいえ。



どうも、すみませんねぇ。



いいんです。
おれが持っていてもしょうがないですし。
それに、もともとおれの物じゃないですから。



どうもうちのチビは珍しい物を集めるのが好きでしてね。

どうでしょう。
今日のおでん代はこの羽でって事で。



え?!
ちゃんと払います。



いえいえ、いいんです。
今頂いたのは破邪矢と申しましてな
大きな霊力を秘めている矢なんです。



破邪矢?



はい。
わたくしたちを悪いものから守ってくれる効果がある物です。
どのようないきさつで手に入れたにせよ
とても貴重な品であることは間違いありません。
むしろこれではこちらが頂きすぎなくらいなんです。



はぁ。



それに、今日は珍しく人間のお客さんが来てくれて
わたくし自身も非常に楽しかった。
お土産を持って帰ってくださいますか。



うわぁ!
そうだった!

そうだった!
晩御飯作らなきゃいけないんだった!
どうしよう。



侑子さんによろしくどうぞ。



え?






もしかして・・・?
夢?
じゃないよな。