×××HOLiC 1 1/3

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第1話。
「ヒツゼン」


×××HOLiC



世に不思議は多けれど
どれほど奇天烈、奇奇怪怪な出来事も
人が居なければ、人が見なければ
人がかかわらなければ
ただの幻想。
過ぎてゆくだけの事。
人こそこの世で最も摩訶不思議なもの。






こないだのオフ会でペンタさんと逢ったんだけど・・・



お医者様と付き合っているの?
すっごーい!



でも忙しくてなかなか逢えない・・・



4丁目の公園でさ
そこで遊んでた子供が居なくなったんだって。



だー・・・かー・・・らー・・・!

離れろっつーんだ!

くっそー!!
とととととと!
ぞろぞろ、ぞろぞろ、ぞろぞろ!
俺はハーメルンの笛吹き男かぁ?!
いつも、いつもちょっと歩くだけで大量にくっついてきやがって!
何なんだよ!これ!
おーい!この!
やめろ!引っ張んなくていい!
うわぁー!
どけー!!
うーん!!
なんの、これしき!!
ふざけんなぁ!



え?



ぁ?



え!
あ!

おーい!ちょっと!



え?



いらっしゃいませ!



は?!
いや、あの・・・
ちがう、ちがう!



主様(ヌシサマ)におキャクサマ。



主様(ヌシサマ)におキャクサマ。



違うんだって言ってるだろ?
なんか勝手に足が・・・



それはヒツゼンだから。



え?



あなたがここを訪ねるを。



ぁ!



ヒツゼン?
って言うか、俺、客じゃないんですよ。
なんかこう、走っていてつまづいた感じで
塀のところに手ついたら、ちょっと変な所があって
で、あれ?とか思ったら
勝手に足のほうが動いちまって
わたわた玄関まで進んじゃっただけで。

って、なんか目茶目茶、イイワケっぽいけれど。



塀は結界だから。



は?
あぁ、いや
とにかく帰ります。
お邪魔しました。



ポケットに入っているものを出しなさい。



え?



早く。



名前。



あ?



あなたの名前。



四月一日(ワタヌキ)君尋(キミヒロ)。



四月一日って書いて、ワタヌキね。



え?!
なんで?
字!言ってないのに!



ワタヌキ!ワタヌキ!四月一日



誕生日は?



ワタヌキ!ワタヌキ!四月一日



四月一日・・・



まんまだ!まんまだ!



アカの他人に、本名と誕生日を偽りもせずに
答えるとはねぇ。



そっちが聞いてんじゃないすか!



名を知られる事は、相手に魂の端を捕まれるようなもの。
生まれた日を知らせる事は
帰しかた行く末の道筋を掴ませるようなものだから。



あのぉ・・・もしもし?



私の名前?
いやぁ、聞いてねぇし。



壱原(イチハラ)侑子(ユウコ)。



勝手に名乗ってるし。



もちろん、偽名ね。



その上、偽名かい!



この子達はマル、とモロ。
ちなみにフルネームはマルダシとモロダシ。
かわいい名前でしょ?



どこがじゃぁ!



かわいい❤ かわいい❤



あぁ、もう!
とにかくお邪魔しました!
時計、返してください!



帰るの?



帰るの?



は?
ん?



言ったでしょ?
必然だって。

この世に偶然なんて無いわ。
あるのは必然だけ。

信じてない顔ね。



四月一日 君尋。
ワタヌキ キミヒロ。
生まれた所と、今、住んでいる所は違う。
今、というより小さな頃から悩みがある。
それは家系的なもの。
それは超自然の領域に属するもの。



あなた・・・
あやかしを視るのね。



は!



それはあなたに流れる血のせい。
そしてその血があやかしを惹き寄せる。



う・・・なんで?



誕生日と本名を告げたでしょ。



それだけで?



わかるのよ。
読み解くモノにとっては・・・



というわけで、時計はもらっておくわ。



ちょっと待て!
なんでそうなるんだよ!



対価よ。当然でしょ?
与えられた物にはすべからく
それに見合うだけの代償。