闇のパープルアイ 第6話。

闇のパープルアイ 第6話。


第6話。
復讐の女豹!



闇のパープルアイ 第6話



具合悪いんじゃないの?



触らないで!



教えて。
何がお姉ちゃんに起こったの?



倫子の事は俺が必ず守るから。



本性を現して。
豹になるのよ!



あー!!



あたしもあなたに父親 殺されているのよ。



やめて!
あたしが実験台になるから。



*******



故尾崎舞子儀葬儀式場






どうして?
あたしにも秘密なの?



今は言えない。



妹なのに?



妹だから。



お姉ちゃんなんか嫌い!



死ぬわよ。
妹が死ぬわよ。
死なせてもいいの?






倫子。
さ、乗りなさい。



いや。



倫子!






英語なんか録音してどうするつもり?



もう、ノックぐらいしてよ。



外人のボーイフレンドでも出来た?



違うわよ。



じゃ、外タレのおっかけかなんか?



そんなんじゃないの。
あたしね通訳になりたいの。
留学だってしたいし
そういう専門の学校にも通いたいなって思ってるの。



ふうん。



あ、これ
パパにはまだ内緒ね。






舞子。

ごめんね。
あたしのせいで、ごめんね。



慎ちゃん。



倫子。



あたし探す。
曽根原を絶対探し出す。



待てよ。



探すってどうやって。



わかんない。
でも、もうじっとしてらんない。
このままじゃ舞子がかわいそすぎる。



曽根原を探し出してどうする気だ?



探し出して・・・



駄目だ。
簡単に人を殺すなんて考えるなよ。
それじゃあいつと おんなじだろ!



でも、許せないよ。
あの女が・・・
曽根原が、絶対に許せない。



倫子。






お姉ちゃんの・・・
ちからに・・・
なりたかった。






どこへ行ったの?

どこへ行ったの?






倫子、また休んじゃったね。



ま、試験どころじゃねぇもんな。



今回は、あの人食い豹、からんでないのかな?



舞子ちゃんは池で溺れて死んだの。
警察もそう言ってんでしょ。



そっか。



にしてもやな事ばっか続くよな。



倫子、かわいそ。
なんか全部、倫子の周りで起こっているみたい。



ほんとにそうよね。

全部、倫子先輩の周りで起こっている。
単なる偶然とは考えられないわ。



あんたさ、何が言いたいわけ?



倫子先輩は何か重大な秘密を隠している。



秘密って何よ。



倫子先輩がみんなを殺した。
直接じゃないにしたってそう考えるのが自然でしょ?



もう一度言ってみなよ。



やめろって。



皆さんも気をつけたほうがいいですよ。



ちょっと待ちなよ!



いいから。






あ、倫子。
わざわざいらっしゃってくれた。



どうかしたか?



え?
あ、ううん。



今、お茶でも入れますから。



どうぞ、お構いなく。



ご挨拶して。



どういうつもり?



お線香あげさせてもらったのよ。



よくも、そんな事を。



どうしたの?
まさか、ここで変身するわけじゃないでしょ?
できるのなら やってごらんなさいよ。
その代わり、あなたが恐ろしい獣だって事を
お父さんに知らせる事になるわね。
どうしたの?
さぁ、変身してごらんなさい。



どうか、しました?



いいえ。
尾崎さんのお部屋、ちょっと覗かしてもらっていいかしら?



ええ。

パパ、これ二階に持ってく。



あぁ。



ここなら安心だなんて思わないでね。
あなたが変身しそうになったら、すぐにお父さんを呼ぶわ。



あなたって人間じゃないわ。
獣よ。



うふふ。
あなたに言われるとは思わなかったわ。



何しに来たの?



もう、麻酔銃であなたを追い回すのはやめにしたの。
あなたからすすんであたしに協力してれくれるようになると思ってね。



どういう意味?



あなたのお母さん、2年前に亡くなったそうね。
お父さんから伺ったの。
38歳か。
まだまだ若いわよね。



それがどうしたって言うの?



あなたの獣の血はおそらく遺伝によるもの。
だとしたら一体どちらの血を受け継いだのかしら?



どういう事?



あなたたちはそう長くは生きられないって事。
つまり、短命種。



短命種?



そうよ。



これはあなたの細胞のサンプルよ。
変身する前と後では、明らかに細胞組織が衰えているのがわかるわ。
変身時には物凄いスピードで、多量なエネルギーが消費されているはず。
つまりあなた達は、普通の人間が一生かかって使う分のエネルギーを
変身という形で消費しているのよ。
短命種のうえ、遺伝しにくい劣性遺伝。
だからあなたの妹は変身しなかった。
おそらくあなたのお母さんは変身能力がなかったから
38歳まで生きられたのね。



そんな・・・
嘘よ。



でも、絶望すること無いわ。
あたしに協力してくれれば、あなたたちを助けてあげる。



もう、その手には乗らないわ。
そうやってありもしない事を並べて
私を利用する事しか考えていないんでしょ。



うたぐり深いのね。
まぁ、いいわ。
いずれ あなたにもわかる事だから。

また会える日を楽しみにしてるわ。
尾崎倫子さん。






曽根原・・・



あなたをこのまま帰すわけにはいかない。



面白いじゃない。
どうする気?



あなたを殺す!



倫子!やめろ!



手配中の豹を発見しました。
至急応援願います。



至急応援願います。



もう一匹現れたぞ!



待て!
二頭とも逃がすな!



倫子・・・



う!



着ろよ。

街中で変身するな。
俺たちは指名手配中の凶悪犯と同じなんだぞ。
協力しろ。



協力?



ちょ、何する?



静かにしろ。
こっちは風下だ。
気配を消せば犬にも気づかれない。



気配を消す?
そんな事できない。



出来る。
黙って俺の言うとおりにしろ。



目を閉じて。
俺の呼吸に合わせるんだ。
何も考えるな。
ゆっくりと。
俺に合わせるんだ。



上出来だ。
さぁ、帰ろう。



どうして、あんたなんかと。
まだわからないのか?
おまえは豹だ。
変身だって随分楽に出来るようになっただろ?
さ。

ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。






大丈夫?
よくあるの?こういう事。

じゃ、帰る。



どこに帰るんだ?



決まっているじゃない。



今までどおり暮らせるのか?
普通の人間たちと。

おまえと俺とは同属だ。
一緒にいるのが一番自然だとは思わないか?



思わないわ。
あたしにはパパや慎ちゃんが・・・



これからあの坊やの前で何度変身する気だ?
おまえはもう、人間じゃない。



やめて!

私はただの人間よ!



足音を立てずに動けるようになったんだな。



いつの間に・・・



おまえの好きな坊やは所詮人間だ。
いずれ豹に変身するおまえを疎ましく思う時が来る。



うそよ。
慎ちゃんがそんな・・・



恋に熱くなっているうちはいい。
しかし、いつか必ず恋の終わる時が来る。



それは、あなたの経験?



どうかな?



行けよ。






慎ちゃん。



やっぱりあいつの所か。



田切さんに助けてもらって、ちょっと隠れてただけ。
ほんとよ。
信じて。



その服・・・



これも、小田切さんが。



田切・・・さん・・・か。

あんなに変身するなって言ったのに。



だって、曽根原を見たら許せなくて
我慢できなくなって
気が付いたら、あたし・・・



あいつの所のほうが居心地いいか?



慎ちゃん。
あたし、そんなつもりじゃ・・・



悪い、忘れてくれ。






今までどおり暮らせるのか?
普通の人間たちと。






血のにおいが、たまらなく恋しい。



やだ。
こんなあさましい事。






倫子!



慎ちゃん。



どうした?

昨夜は悪かった。
つまらない嫉妬している場合じゃない事はわかってるさ。
ただ・・・



ただ?



なんだか、また俺の知らない間に倫子がどっか行っちまうんじゃないかって。
そんな気がして・・・



慎ちゃん。



そんな事無いよな。



うん。






先輩。
いろいろと大変でしたね。
そろそろ しゃべっちゃったら どうです?
先輩の秘密。

あー、こわーい。

舞子ちゃんが死んだのって、先輩のせいじゃないんですか?

何も知らないで先輩の巻き添え食っちゃったとしたら
舞子ちゃん、かわいそすぎる。
まだ15なのに。
死んでも死にきれないわよね。



わかったような事、言わないで!






倫子!



一緒にやろう。
汗流してやな事、忘れちゃいな。



由佳。



あいつに何言われたのか知らないけどさ
気にすんなって。



え?



緑川園子。



あー。



あいつの言うこと、いちいちむかつくんだよね。
でも、少し当たっている所もある。
倫子さ、あたしたちに何か隠してない?



別に隠してなんか・・・



ちゃんと目見て言ってみなよ。

やっぱり何か隠してる。

あたしにも言えない事なんだ。



由佳。



倫子らしく無いよ。
そりゃショックなのはわかるよ。
でもさ、そういう時だって心配かけないようにって
明るくしてるのが倫子だったじゃ。
どうしちゃったの?
倫子変わったね。



え?



変わったよ。






今までどおり暮らせるのか?
普通の人間たちと。






ただいま。



パパ。



受取人が居ないのに
郵便物だけはちゃんと届くんだな。



尾崎 舞子 様

海外語学研修プログラム
96年7月〜9月開催



舞子、通訳になりたいって。



そんな事、一言も言ってくれなかったな
あいつ。



舞子の夢だったの。



そんな人間がどうして死ななきゃいけないんだ!

舞子はなぜあんな所へ行った?
泳げないわけじゃないのに、どうして水死なんだ?
おかしいじゃないか?
おかしいだろ。どうかしてる!

倫子。
おまえ本当に何も知らないのか?
舞子は本当に溺れ死んだのか?

すまん。
別におまえを疑っているわけじゃないんだ。
ただ、おまえたちが何を考えているのか?
なんで、悩んでいるのか?
知りたかっただけなんだよ。



パパ。

舞子が死んだの、あたしのせいなの。
あたしが、舞子の将来、奪ったの。



どういう事なんだ?



あたしが悪いの。
全部あたしのせいなの。



どういう事だ?
倫子!
ちゃんと話してくれないか?



ごめんなさい。



倫子。






ごめんね、パパ。
これ以上、何も言えない。
もう、家へは戻れない。






倫子。



ちょっといいかな?



勉強してたんだ。



え?

あぁ、エスカレーターの大学あがらないと恥ずかしいだろ?



大学か。

来る時、なんだか思い出しちゃった。



え?



ほら、二人で遊園地 行った時のこと。
あの時の写真って無かったっけ?



中学の時だろ?



うん。

あれ、初めてのデートだよ。



え?
そうだっけ?



あの時、あたし一人ではしゃいじゃって
勝手にあっちこっち行くもんだから
気が付いたら隣に慎ちゃん、居なくなってた。



あぁ、あぁ、あぁ。



あたし、慎ちゃんとずっと同じ方向見て
同じほうへ歩いていくんだって
そういう風に思ってたから
なんだか急に不安になっちゃって
泣きそうになって慎ちゃん探した。

そしたら慎ちゃん、急に後ろから
ひざの所、カクンってして、やーいって。



そんな事したっけ?



でも、嬉しかった。
あたしの事、見つけてくれて。

慎ちゃん、あの時と変わんないね。
まだガキだって言いたいんだろ?



私は変わったもん。
あたしだけが、どんどん変わっていくの。



おい、どうしたんだよ。



もう、あの頃とは違うの。

ごめん。
なんか変な事しゃべっちゃったね。

あたし、そろそろ帰る。



じゃ、送るよ。



今日は、ここでいい。



いや、でも・・・



慎ちゃん、いろいろ・・・
ありがとね。






恋に熱くなっているうちはいい。
しかし、いつか必ず恋の終わる時が来る。






慎ちゃん、いろいろ・・・
ありがとね。






倫子?






どこ行っちまったんだよ。






二人で遊園地 行った時のこと
あの時の写真ってなかったっけ?

あれ、初めてのデートだよ。






倫子!



倫子。



来ないで!



馬鹿な事、考えるな!



もう、昔と違うのよ!
あたし、慎ちゃんとは違うの!



そんな事、かまわないって何度言ったらわかるんだ!



やっぱり無理だったのよ。

だって・・・
あたしの身体はもう・・・



こっちへ来いよ。
どうしちゃったんだよ。



これは賭けなの。
私、ここから飛び降りる。
それでも生きてたら、私はやっぱり・・・
豹なんだわ。

そしたらもう、帰らない。



倫子。



さよなら。慎ちゃん。



やめろ!

どうしてだよ。
どうしてだよ、倫子。
俺より・・・
俺よりあいつを選ぶのかよ!






人目につく。
早く中へ入れ。

坊やとのことは整理してきたか?



違う。

あたしは・・・
あの家に居たかった。

前のように・・・
暮らしたかった。

でも・・・
でも、あたし慎ちゃんが好きよ。
ずっと・・・一緒に居たかった。



来ないで!



心配するな。
もう、無理強いはしない。

さっきまであの女が来てた。



曽根原。



あぁ。
おまえも聞いたんだろ?
俺たちが短命種だってこと。



あんなのでたらめよ!
私たちが長生きできないなんて
どこに、そんな証拠が・・・

田切さん・・・

まさか、あれって・・・



半年ほど前から異変がおき始めた。
最近じゃぁ、変身のたびにひどくなっていく。



そんな・・・うそよ。



おまえの母親も早死にしたんだってな。
俺の母親も33で死んだ。






観念しなさい。
あなたたちには、あたしの力が必要なのよ。
ふふふふふふふ。






曽根原なら短命種を治せるかもしれないぞ。



いやよ。
あんな女の言うとおりにするなんて
あたしは絶対に嫌!



ふっ。
そうか。



俺たちやっぱり似た者同士だな。
一杯どうだ?
乾杯といこう。



乾杯って何に?



もうすぐおまえの誕生日だろ?



どうして?



おまえの事は大抵調べてあるさ。
少しぐらい飲めるだろ?
18か。



初めて変身したのはいつ?



ちょうどおまえの年頃だった。
最初はそりゃ驚いたさ。
そして次第に感情を表に出さなくなっていった。
感情が高ぶると変身してしまう事がわかったからな。
やがて、学校にも家にも居られなくなった。
好きな女とだって長く続かない。
おまけに身体のほうはこのざまだ。



あたしよりずっと長い間同じ思いを。



変身するたびに命が縮まる。
それがだんだん身をもってわかってくる。



田切さん。



夢はあった?
変身するってわかる前、将来のこと
何か考えていた?



忘れたな。
そんな事。



眠い。
なんだか急に・・・



睡眠薬を入れておいた。



無理強いはやめたって。



眠ってて貰うのは可能だろ?



そんな!
やだ。
田切さん。






待っている時間が
俺には
無さそうでね。






ひどい!
田切さん、まさか、あたしを・・・



自分からここへ来たんだろ?



そんな・・・
あたしはそういうつもりじゃ・・・



ごまかすな。
自分でもわかったんだろ?
同じ血を持つ者同士、一緒に暮らしたほうが楽な事は。



違う!
あんたなんか、だいっ嫌い!






いや。
もう、何もかもいやだ。



早くこうしていれば良かった。
何人も殺してしまう前に・・・
こんなに傷つく前に・・・






相変わらず、すごい生命力ね。
でも、あたしがあの男のマンションの前で見張っていなければ
確実に死んでたわ。
三日三晩、眠りっぱなしだったのよ。
さぁ、食べなさい。

いつまで我慢できるかしらね。






いつまでハンスト続ける気?
もう、2週間よ。
このままじゃ本当に死んでしまうわ。

食べなさい!



ほっといてよ、もう。



倫子。

あなた、ハンストしてるんじゃなくて
本当に欲しくないの?

まさか・・・



以前と比べて微妙に体温が高いわ。
これは!
間違いない!



さぁ、食べなさい。



ほっといて。
本当に欲しくないの。



ちゃんと食べなきゃ駄目よ。
あなた一人の身体じゃないんだから。



ぇ?



あなたは間違いなく妊娠している。



あたしに、赤ちゃん・・・



そうよ。
お腹の中の子供のためにも、しっかりと栄養取らなくちゃね。



うそ。
そんな・・・



水島君はこの事、知ってるの?



言わないで!
慎ちゃんには絶対に言わないで!



まさか・・・
父親は水島君じゃないのね?



お願い。
慎ちゃんには・・・



父親は小田切貢。
図星ね。



いや。



うふふふ。
そうか。
それで発育が異常に早いのね。

面白い。
面白すぎるわ。
あの小田切と倫子の子供なら
生まれてくるのは純血種。
まじりっけの無い、最も血の濃い
完全な変身人間よ!
うふふふふふ。



いやぁー!!