闇のパープルアイ 第5話。

闇のパープルアイ 第5話。


第5話。
襲われた妹 舞子!! 運命の死。



闇のパープルアイ 第5話




倫子。



どうだったかな。

彼女が欲しいって言ったんだ。
プロポーズしたんだよ。



許さない。
絶対に許さない。



変身なんかするな!



やめろ!



面白すぎるわ。
もう一人変身人間が居たなんて。



*******



豹は一匹じゃなかった。

倫子。

貢。

そして・・・

なぜ今まで気がつかなかったのかしら?






ねぇ、凄いよね。
舞子のお姉さん。



スポーツだってスタイルだって抜群だしさ。



舞子、お姉さんにぜーんぶ吸い取られた後の残りかすだったりして。



冗談きついって、それ。



ごめん。



冗談じゃ無いかもよ。
倫子先輩の周りに居る人ってみんな不幸になるわ。
水島先輩もね。



どういう事?



あなた妹のくせに何にも知らないのね。
倫子先輩の秘密。



何、あれ?



気分、悪い。



気にする事ないよ、舞子。



あいつ、水島先輩の事 張り合っているつもりなのよ。



かないっこないのにね。






園子。

どういうつもり?
さっきの話。
お姉ちゃんの事、とやかく言うのって許せない。



いいお姉さんなんだ。舞子には。
でもね、仮面の下の顔を知らないから。
知らないほうが幸せなのかもね。



ほんとはあんただって何にも知らないくせに。
あんたが変な噂 流してんでしょ?



倫子先輩の秘密、つかんでやるから。
絶対。



何なの?あの子。



倫子、待ったか?



だーれ?

舞子。



なんだ。



そりゃわかるって。

そうだ、今日は一緒に帰ろうか?



いいから、いいから。
慎也さんとの大切な時間、邪魔したりしないから❤



こーら。



慎也さんとのこと、いつも、ほんと
いい感じって思ってんのよ。



ありがと。



だから、うまくやんないと駄目だよ♪



ごめんね。
でも、舞子が心配してるような事じゃないの。



やっぱ、待っててあげれば?
じゃ、慎也さんによろしく♪



妹が気をつかわない♪






同じ母親から生まれた娘なら、あなたも変身できるはずよ。
舞子ちゃん。






たまにはお姉ちゃんに付き合いなさい・・・

危ない!



お姉ちゃん?






倫子。






熱い。
身体が熱い。
駄目。
こんな所で。



しっかりして。



先に・・・
先に帰ってて。



具合悪いんじゃないの?



触らないで!



お姉ちゃん、その目・・・



ここで・・・
ここで変わっちゃいけない。



熱い。

駄目。

駄目。

変わっちゃ駄目。



お姉ちゃん?



豹だ!

豹が出た!



お姉ちゃん。






新・突然変異理論
−− 変身人間に関する考察 −−

1 遺伝子突然変異



あー、舞子。帰ってたのか。



ただいま。



おまえの高校に曽根原先生って居ただろ?
その人の父親が書いた研究書だよ。

人間の潜在的な能力について書いてある。
何万人に一人か獣に変身してしまう人間がいるとかね。

ま、とんでも本のたぐいだな。
妄想だよ。

それより、腹ペコなんだ。
倫子お得意のタラコスパゲティとは言わないからさ
インスタントラーメンでいいから作ってくれないか?

なんだ、父親の権威もあったもんじゃないな。



お姉ちゃんに・・・何が・・・



秘密なんて・・・






具合悪いんじゃないの?



触らないで!






まさか・・・






急げ!



あ、わぁ、出た!



よし。



気をつけろ。
もう何人も食い殺しているやつだ。
いざとなったら射殺してもかまわん。



それっ。






第一章
変身人間の可能性

人間の遺伝子の中には進化の過程が記憶されており
人間が狼や豹に変身するという言い伝えは妄想ではなく
現実に起こり得る
事実である。






とんだ計算違いだわ。
倫子が捕まるなんて。






こいつの処分、どうするのかなぁ。



薬殺処分でしょ?
もしクロって確認されたら。



そうだよなぁ。
かわいそうだけど、あれだけ人殺してたらなぁ。






お姉ちゃんが?






おはよう。



近頃騒がれていた豹が捕まったらしいぞ。
まったく、こんなのがうろついていたってのに
倫子のやつ、一晩中どこほっつき歩いてんだ?



人食い豹、ついに捕獲!?
連続殺人の犯人
調査次第、薬殺



おい、倫子の事、何か知らないのか?



ううん。






ほら、うまいぞ。






おはよう。



見た、見た、見た?



何 騒いでんだよ。



新聞、読んでないの?



んーなめんどくさい物、読むかよ。
目 悪くなるぞ、おまえ。



捕まったよ、ほら。



人食い豹、ついに捕獲!?
連続殺人の犯人
調査次第、薬殺

通用口
港西動物園
部外者以外無断
立入禁止



やっぱ、誰かが飼ってたペットかな?



でも、良かった。
これで安心して学校行ける。



つまんないな。
絶対、獣の霊だと思ったんだけどな。
ちゃんとお祓いの準備までしてたんだよ。



あんた、まだそんな事 言ってるの?



せめておまえ食っちゃってから捕まっちゃったほうが良かったのにな。



ひどーい!



痛いな、いきなり。



やっぱ殺されちゃうのかな?
その豹。



なんか かわいそうだね。



かわいそうなもんかよ。
一体何人、殺されたと思ってるんだ。



でもさ、こいつが殺したって決まったわけじゃないだろ?



決まってるよ、そんなの。



豹が何匹も居るわけないしね。



そうだよ、わかってるだろ、そんな事。
おい、慎也。どうした?



いや、別に。






昨日帰ってないのか、倫子。



やっぱり慎ちゃんとこじゃなかったんだ。



あぁ。
俺も昨日は会ってない。



あたし・・・昨日・・・
お姉ちゃんと一緒に居たの。



え?



お姉ちゃん、急に苦しみだして
目が、紫に輝いたの。
路地に入ったら・・・
豹が飛び出して・・・

教えて!
何がお姉ちゃんに起こったの?

お姉ちゃん、何にも話してくれないし・・・
何もしてあげられない。
あたし・・・妹なのに・・・



大丈夫だ。
心配するな。



でも・・・



倫子の事は、俺が必ず守るから。

いいか、この事は誰にも言うんじゃないぞ。
たとえお父さんにも。






貴重な研究資料が豹のまま殺されてしまうなんて。



人食い豹、ついに捕獲!?
連続殺人の犯人
調査次第、薬殺処分



あたしには三匹目の豹しか居ない。






通用口
港西動物園
部外者以外無断
立入禁止



何か、ご用ですか?



飼育舎
関係者以外立入禁止



なんだ、きみは!



待て!



何、やってんだ!
きみは!



きみ!
何するんだ!こら!



来たまえ!



豹に会わしてくれ!

確かめるだけだ!



立入禁止区域なんだよ!



こら!
こっちへ来たまえ!



殺しちゃいけねぇよ!



何、言ってんだ、こら!



訳のわからんこと言わんで、さっさと来い!






なんだよ、全然食ってないのか?
はぁ。
おまえも相当 警戒心強いな。
なんだ?
おい、どうした?



豹が!
豹が・・・人間に!
豹が・・・
豹が・・・人間に!



なんだ、貴様は・・・



うわぁ!!






なんだ、舞子か。
倫子かと思ったよ。



悪かったわね。私で。



舞子のエプロン姿なんて初めて見るな。



ぉお!
ママのお得意ばっかりじゃないか。
やるもんだな、え?



期待されて無いとやる気 起きないわよ。
パパったら、いつも倫子、倫子って。



そうかな?



お風呂お先にどうぞ。



え?
どうしたんだ?
なんか悪い事でも起きなきゃいいけどね。



舞子、一緒に入るか?



はい、お背中お流ししましょうか?



冗談だよ、冗談。



大人をからかうものじゃないよ。



新・突然変異理論
−−変身人間に関する考察



パパ、着替えここに置いとくわよ。



おう、ありがと。



はーい。

はい、尾崎です。
もしもし?
お姉ちゃん?
お姉ちゃんなのね?



舞子ちゃん?
わかる?あたしの声。



ぇ?



曽根原よ。



ぁあ。
曽根原先生。
お姉ちゃんなら今、居ません。



あなたに用があるの。



あたしに?



おりいって話しておきたい事があるんだけど。
会えないかしら?



でも・・・
今日は・・・



お姉さんの秘密、知りたくない?



ぇ?



近頃の様子、変だと思わない?
あなたに何か隠してるって思わない?
お姉さんの事なら知っているわ。
何もかも。



はぁ。

どうしたんだ?舞子?
舞子。



友達から。

パパ、ご飯できてるから先に食べてて。



おい。



すぐ帰ってくるから。



舞子。
パパ、待ってるから。
おまえが帰ってくるの待ってるから。
だから、ご飯 一緒に食べよう。
な。



うん。






ごめんね。
お父さん、怒ってるでしょ?



お姉ちゃん、教えて。
どこに行ってたの?
一体、何してるの?
誰にも言っちゃいけないなら、あたしだけの秘密にしておくから。
ね。
あたしだけには教えて。
どうして?
あたしにも秘密なの?



ごめん。
今は言えない。



妹なのに?



妹だから。



お姉ちゃんなんか、嫌い!



舞子!

舞子?






曽根原先生。



やっぱり来てくれたのね。



姉さんの秘密を教えてください。



どんな事を聞いても驚かない?



あたし、妹だから
たった二人の姉妹だから
姉さんが苦しんでるのなら
半分は、あたしが背負わなくちゃいけないんです。



いい子ね。
可愛そうな舞子ちゃん。



教えてください。
覚悟は出来てます。



教えてあげる。



う!






可愛い顔してるわ。
きっと美しい豹になるわ。






慎ちゃん。



倫子。
良かった。無事だったんだな。



舞子、来なかった?



え?いや。



そう。



舞子に変身する所を見られてしまったかもしれない。



俺、舞子ちゃんに学校で相談された。
いや、はっきりは見てなかったみたいだけど
やっぱり疑いをなんか持ってたみたいだな。



一緒に探してくれる?



あぁ。



どうしたの?



いや、動物園にもぐりこむ時 失敗しちゃってさ。
もう少しでおまえの飼い主にされるところだったよ。



ごめんね。
あたしを助けようとして。



馬鹿。
助けられなきゃ意味ねぇだろ?



それより舞子ちゃんを。



舞子!



舞ちゃん!



舞子!



舞子ちゃん!



舞子!



あ痛。



慎ちゃん。
大丈夫?



あ、平気だ。
行こう。



舞ちゃん。



傷の手当が先よ。






あ、先生。



目が覚めた?



何も怖がる事はないのよ。



なんで?
なんで、こんな事。



今からあなたのお姉さんの秘密を教えてあげるわ。



え?



それはあなたの秘密でもあるの。
あなたたちは同じ血が流れる姉妹なんだから。



いや、いやー。

先生、何 打ったの?

熱い。
身体が熱い。



今、あなたの血液中にアドレナリンが満ち始めているの。
全ての細胞に行きわたった時
あなたも変わるのよ。



変わる?



そう。
人から豹へ。
あなたたち姉妹の秘密。



うそ。



これは妄想なんかじゃない。
事実よ。



いや。
いや。
いやー!



ははははははははは。






これで大丈夫だと思う。



あ、ありがと。



でも、いつまでも秘密にしていられないかもしれない。
舞子に話さなければならない時が来たのかも。



でも、曽根原もどうしてあの手で。
みんなに見られたらあいつだって都合が悪いはずなのに。
だってそうだろ?
研究の途中で変身人間の事が公になったら。
発見の手柄を誰かに持っていかれちまうなら。



あの時、あたしを狙ったんじゃないとしたら?
銃口は舞子を狙っていた。



まさか・・・
でも、どうして舞子ちゃんを?






変身の兆しが無いわ。
若いからまだ変身能力が眠っているのかしら?
もっと強い刺激を与える必要があるんだわ。



やめてー!



どうして?
どうして?先生。



全ては研究のためよ。



やめて。

やめてー!

あー!



人間が豹になる。
この偉大な研究を完成すれば父を追放した学会を見返してやれるわ。



あたしは豹じゃないわ!



倫子と舞子。
あなたたちの可愛い顔の下には冷たい豹の血が流れているのよ。
本性を現して。
豹になるのよ!



あー!!






舞子に何かあったら私のせいよ。
私が全てを秘密にしたばっかりに舞子を追い詰めてしまって。



倫子。



違うよ。



倫子のせいじゃない。
全部俺の責任なんだ。
学校に相談しに来たとき
本当の事を伝えていれば・・・



はい、もしもし。



水島君?



曽根原、きさま!



そこに倫子が居るはずよ。
倫子を出して。

倫子。
舞子ちゃんはあたしが預かっているわ。



舞子を返して。



舞子ちゃんはあたしを頼って来たのよ。
優しいお姉さんと、その恋人が本当の事を話してくれないって。
けなげな妹に会いたかったら、いつでも会わせてあげるわ。



舞子に手を出したら許さない。
今度こそあなたを殺す。






危ない!
あー!!



慎ちゃん。



倫子。
これ以上、人を殺してはいけない。
曽根原を殺して・・・
殺して傷つくのは・・・
倫子、おまえのほうだ。



わかった。
わかってる。



慎ちゃん。

ごめんなさい。慎ちゃん。
今度だけは慎ちゃんのいう事を聞くわけにはいかない。



来たわね。
倫子。



えぇ。あなたを殺すために。

麻酔弾を打たれてもあなたを殺すくらいの時間はあるわ。
舞子を返しなさい!



さぁ、ご自由に。
自分で探してみれば?



まさか、もう舞子を?



ほほほほほほほ。



所詮、あなたは豹よ。
あたしを殺すなんて出来ないわ。



舞子は!



安心なさい。
あなたの妹はまだ人間のまま生きてるわ。



舞子!

舞子!



お姉ちゃん。
ごめんね。
あたし・・・お姉ちゃんの苦しみを知って
少しでも、背負ってあげたかったの。
でも、それって・・・
かえってお姉ちゃんを苦しませてたんだよね。



舞子。



ごめんね。

ごめんね。



舞子に何をしたの?
舞子は関係ないでしょ?



舞子ちゃんにも同じ血が流れてるの。
きっと豹に変身するはずよ。
でも、もっと強い刺激を与えないと
変身しそうに無いのよ。



曽根原、何をするつもりなの?



妹の目の前で豹になって見せてあげなさい。
そうすれば舞子ちゃんも
きっとあなたに共鳴して豹に変身するわ。



よくそんなひどい事を思いつくわね。



ひどい?
あたしもあなたに父親 殺されているのよ。
これで、おあいこじゃない。



やめて!
あたしが実験台になるから。



検体は一匹でも多いほうがいいのよ。
研究のためにもね。



お姉ちゃん!



舞子!
舞子!



舞子ちゃん。見て見なさい。



死ぬわよ。
妹が死ぬわよ。
死なせてもいいの?



倫子。
あなたから離れない。
全ての研究が終わるまでは。






舞子。
舞子!
しっかりして、舞子。



お姉ちゃん。



ん?



ごめんね。
お姉ちゃん・・・
あたし・・・
少しだけ・・・
疑ってた。
あたしのこと・・・
嫌いだから・・・
教えてくれないんじゃないかって。



いいのよ。
いいのよ、そんな事。



許してくれる?



当たり前でしょ?



良かった。
お姉ちゃん・・・
ちからに・・・
なりたかった・・・
だって・・・
お姉ちゃん・・・
だ い す き・・・






お!真紀子!
舞子のやつ覚えたぞ。
おまえの味。
おう。






舞子。

もう後戻りできない。
あたしだけ・・・
幸せな生活に帰るなんて・・・
できない。