イリヤの空、ＵＦＯの夏５　3/3

けど、明日になったら
あんたらを警察に突き出す。
それが一番いいと思う。

あ、あの・・・
夜が明けたらすぐにここを出て行きます。
迷惑はかけません。

なんなら、今すぐに出て行きます。
だから・・・

どこへ行くつもり？

親戚のおばぁちゃんち。

って何処？

ここからずっと南の苑木沢って所。
近くに海水浴場とかもある。

ってちょっと、どうするのよ？
終点のそのまた先じゃない。

電車降りたらそこからバスで。

あのね、バスは今日で終わり。
電車も昨日で通常の旅客運行はおしまい。

え？

今、戦争中だってこと忘れた？
うちの路線は自衛軍に抑えられちゃったの。
燃料の規制もあるしね。
どうしてそこまでするわけ？
この子の髪の毛、どうして真っ白なの？
あんたたち、一体何者？

言えません。

どうして？

言うと迷惑がかかるかもしれないから。

いいわ。
一つだけ教えてあげる。

え？

いらんとばっちりが来るのは勘弁だからよ。
その代わり、あんたたちにこの先何があっても
こっちは知らないから。

僕も知らないって言います。
たとえ拷問されても。

拷問？
じゃぁ、テストしてやる。
あんたがどれだけ耐えられるか。

わぁ。

いい？

は、はい。

あんた、この子の事が好きなんでしょ？

ん・・・え？！

今夜、いよいよ軍用列車の第１号が走るの。
ここの駅は午前１時３２分に通過予定。

来た。

無人でコンピューター制御。
踏み切りの停止信号がうまく出せれば
走って飛び乗れるくらいには
列車の速度を落とせるかもね。

もっと早く！

目を閉じて走れ！

いち、にの、さんだ！

いち、にの・・・さん！

フレンドリー・・・

エリカは泳げるの？

当たり前よ。

榎本は学校へ行けばプールも入れるって言う。

榎本なら言いそうね。

でも、私は学校なんか行かない。
行きたくない。

でも、プールには入りたいんだ？

うん。

だったら、こっそり忍び込んで泳げばいいのよ。

いろいろ試して圧縮してしゃべれば
エリカと幽霊になってても
話が出来るってわかった。

圧縮って？

一つの場所に意味をいっぱい乗せて
圧縮する。
漢字と似てる。

もう一回やって。

それじゃぁさ、いつもはどんな事話すの？
その幽・・・エリカと？

伊里野・・・

ないしょ。

ぁ・・・

海。

伊里野？

どうしたの？

明日、学校へ行く。

もう決めた。
私、明日から学校へ行く。

伊里野、僕は誰？

榎本。

ずっと嫌だって言ってたけど
でも、やっぱり行く。
行くなって言っても行く。
私、明日から学校へ行く。

どうして？

好きな　人が　出来たから・・・

ミサエ、帰ったぞ。

直ちゃん、すぐにお風呂沸くから
まず、その服　脱ぎなさい。

おう、早くしないと風邪をひくぞ。
こっちのお嬢さんはわしが座敷に運んでおくから。

早く着替えてこっち来なさい。
お茶出してあるから。
もう、いきなり電話してくるからびーくりしたわよ。

あ！

よう、遅かったな。