灼眼のシャナII 21 2/3

灼眼のシャナII 21 2/3




あの大穴にだけ気配が感じられなかった。



ふ。






なんと言う・・・
では、今 目の前にいる巨大な存在であるサブラクも・・・



断片。



そういう事になります。



なるほど。
であれば、あの異常な耐久力も説明がつくのであります。
この地一帯に浸み込ませた自分の存在の力で
奴は消耗を補っている。



随時補給。



しかし厄介な敵である事に変わりは無い。
一体どのような手で?



試したい事があります。



スティグマが破られたとて
俺の絶対的優位は動きはせぬ。
消耗戦は常にフレイムヘイズのほうが不利になるのが
世の定めなのだからなぁ。



その発案に応じて既に弔詞の詠み手が動いていると?



消耗戦に強いあいつを倒せるとしたら
この方法しか無いんじゃないかって。
お願いします。カルメルさん!



カルメルさんは、私が誘導します。



吉田一美嬢。



どこまでやれるかわからないけど・・・
ううん、きっとやり遂げて見せます。



了解。
では、弔詞の詠み手が仕事を完遂するまで
せいぜいこの身を削るとするのであります。



粉骨砕身。



黄金の卵は海の中!



投げ捨てられちゃぁ、いたけれど!



啓作、次は?



その交差点を左に
線路の高架近くです。



OK。



ほんと、この街に居ると退屈しないわねぇ。
天壌の劫火が闘争の渦だって言いたくなるのも
わかるわ。



おまけにサブラクの正体にまで
手ぇ伸ばしちまうってんだからなぁ。
ぜんたい、長生きはするもんだぜ!
ハハハハハハ。



あと100mほどで楽器屋が見えてきます。
その交差点が第13ポイントです。



カルメルさん。
南側の大通りに出たら迂回してください。
そしたら暫らくは範囲内です。



うまくいくかどうかなんて
やってみなければわからない。
全ては僕の憶測に過ぎないのかもしれない。
でも・・・



キミョーな魚がもう一度!!



持ってぇ帰ってきてくれたぁ!!



やるしかない。
今はこれに賭けるしかないんだ!
みんなと一緒に・・・
シャナと・・・
一緒に・・・



おのれ・・・



おまえの相手はこのわたくしだと
言ったはずなのであります!



この程度の攻撃が通じぬ事くらい
今までの戦闘で理解できない貴様では無いはず。



シャナ!



大丈夫。

悠二の作戦はきっとうまくいく。



うん。



でもよ、そんなでっけぇともがら(従)を
一体どうやって倒すってんだ?
おまえさんの言っていることが本当だとすりゃぁ
ヴァンデラー(巡回士)を吹っ飛ばしたのと同規模の爆発を
何十回も繰り返さなければならねぇって事になるんだぜ。
そうなりゃぁ、この街は焼け野原だ。



まぁ、もっとも後から修復すれば言いだけの話。



駄目です!
そんなやり方で悪戯に存在の力を減らせば
あいつはきっと人を喰らい始める。
この街を守る。
守るために戦っている!



坂井君・・・



この街を焼き払ったりしなくても
サブラクを倒す方法はあります。



ぁ。



いいわ、聞こうじゃないの。



今、サブラクはカルメルさんがくい止めてくれている。
くい止めることが出来ている。
その事自体が大きなヒントです。
巨大なともがら(従)なら
カルメルさんを相手にしながらでも
ここ、僕らを襲う事が出来るはずです。
でも、奴はそうしない。
いや・・・
出来ないんだ。






どういう事ですか?



奴が現れる直前の予測不能の大規模の攻撃は
初めの1回限り。
あの姿を見せている限りは
目の前の敵と交戦するのみで
再び大規模な攻撃を仕掛ける事はないのであります。






つまり、存在は街全体に大きく広がっていても
その感覚は個人レベルの物でしかない。
それが、サブラクの正体なんじゃないでしょうか?



ぁ。



なるほど。
図体はでかくても
脳みそは戦っている人型そのものだって訳か。



そう考えれば、大規模な攻撃が
あらかじめ仕掛けた初めの一回限りというのも
うなずける。
今のあいつには、もう全体を捉える感覚はない。



じゃぁ、サブラクを倒すには?



その人型を図体から切り離して・・・



そう、存在の力の補給源を断った上で・・・



討つ。



うん。






力を蓄える。
その時が来るまで。



どう?啓作。



いい感じです。
自在式はちゃんと配置されています。



次は?



そのまま進んでください。
でかい駐車場が見えてくる。
そこが最終ポイントです。



了解。



それから
さっきの質問の答えですけど・・・



ん?



あなたが死んだ後のことなんか
俺には考えられない。
マージョリーさん、言いましたよね。
自分が死んだらどうするつもりだって?
そんな質問、クソくらえだ!
俺はあなたを生かすために
生かすことだけに全てを賭ける!
それだけです。



馬鹿ね。



ふぅ。



ぁ、マージョリーさんが最終ポイントに向かいました。
カルメルさん、そのままひきつけておいて下さい。






なぜだ?
なぜ炎髪灼眼は退いた?
なぜ、討ち手が全員でかかってこない?
よもや交互に戦い俺の疲弊を誘うなどと言う
愚作をめぐらせてはいまいな?



弔詞の詠み手を、これほど待ちわびるのは
初めてなのであります。



鶴首待命。(かくしゅたいめい)



来る!



緊急回避。



もらったぞ!



準備完了!