灼眼のシャナII 21 1/3

灼眼のシャナII 21 1/3


合わさる力。




強大なるぐぜ(紅世)の王
壊刃(かいじん)サブラク
広範囲に及ぶ大規模な不意打ちを受け
一瞬にして戦闘不能に陥るフレイムヘイズたち。
因縁の戦いに終止符を打つべく
ヴィルヘルミナが孤軍奮闘する中
悠二はシャナの元へと走る。






ぁ!



疲労を前に表すほど力もうせたか。
ならば、そろそろ決別のころあいだ。
万条の仕手!



再現が無いのであります。



弱音禁物。






治療は幾重にも感謝する。
だが、すぐにこの場を立ち去るのだ。
ここに居てはいかに親しき御身とて守りきれぬ。



でも・・・



悠二!



坂井君!



シャナ!
吉田さん?!
吉田さん、どうして?



え?



シャナの手当てを?



ぁ・・・



それなら、こっちで頼めるかな?
カルメルさんからだよ。



うん。



早く処置してヴィルヘルミナを助けに行かなきゃ。



いや、行くのはマージョリーさんの所だ。



ぁ。



僕に考えがある。






さて、そろそろ疲労の色も見えてきたか。
どうせならエンゲージ・リンク(約束の二人)の二人ともども
始末してやりたかったんだがな。
ここは邪魔者の確実な排除を優先させるとしよう。



馬鹿な!
他のフレイムヘイズは我がスティグマで瀕死のはず。
だが、この紅蓮はまさしく・・・
炎髪灼眼の討ち手。



シャナ!
そう後ろに付け加えるべきね。



なぜだ?
スティグマが与えた傷は確実に
行動不能の段階まで達しているはず。
それが、なぜ?

ぁ!



仇敵との再戦に私が備えていないとでも
思っていたのでありますか?



秘策周備。(ひさくしゅうび)



かつて幾度となくサブラクに襲われてきたミステス。
自身、有能な自在師でもあった彼があみ出しつつあった
スティグマ破りの自在式。
その式が今、おまえとの戦いの中で狙え試され
そしてついに完成を見た。
今こそおまえは知る!
永遠の恋人、ヨーハンの力を!



なに?

ありえん・・・
我が秘宝、不破の自在法たるスティグマ
ミステスごときが破っただと?



大丈夫?
ヴィルヘルミナ



問題ないのであります。



決死覚悟。



これからが本当の戦いなのであります。



カルメルさん。
聞こえますか?



何をのこのこ戻ってきたのでありますか!



聞いてください。
今からシャナやマージョリーさんと相談して決めた
作戦を説明します。



作戦?



はい。
サブラクを倒す作戦です。

実は今朝からずっと違和感があったんです。
なんだかもやもやした胸騒ぎのような。
ザロービが現れたとき
僕はてっきり違和感の正体が、そいつの気配だと思い込んだんです。
あまりに弱かったからともがら(従)だと気づけなかったんだと。
でも、ザロービとその後 現れたヴァンデラーを倒しても
それは消えなかった。



御崎市全体から?



地下ではその気配を強く感じただと?



サブラクは事前に気配を察知される事なく
広範囲の不意打ちをやってのける。
もし、僕の感じた気配が
この御崎市に浸み込んでいるあいつ自身としたら・・・



奴自身って・・・
あんた、まさか・・・



この街全体がサブラクだってぇのか?



そう考えれば納得がいくんです。
シャナがヴァンデラーを倒した時に出来た穴。