灼眼のシャナII 18 2/3

灼眼のシャナII 18 2/3




調子に乗るんじゃないわよ。



ワハハハハハ。
兄ちゃん、何そんなにあせってるんだ?
明日にでも殴りこみ、かけようってぇのか?



むやみな進展はかえって逆効果なのであります。



程度問題。



はい。



ふん。

あ、そうだ。
こないだ頼まれていたやつ。

ブルートザオガー(吸血鬼)を
普段から持ち運べるようにってご注文。
しおりになれって念じてみなさい。



ありがとうございます。



ったく。

悠二、一言 言っとくけど
覚悟ってのは頭じゃなくて腹で決めるもんよ。



ぁ。



でも、覚悟を決めるって言う事実は同じですよね。



ふっ。
明日の鍛錬はお休み。
少し頭を冷やしなさい。






悠二、そこまでつきあって。



そこまでって・・・
シャナの家、反対方向だけど・・・



いいでしょ。
メロンパン
買いに行くの。

悠二、どうかしたの?



え?



鍛錬の時とか、なんかいつもと違う。



そうかな?
清秋祭での事で、自分がどういう存在なのか
思い知らされた感じはしてるかな。



ん?



トーチでミステスなのはわかっていたけど
零時迷子だけじゃない。
僕の中にはもっと得体の知れないものがある。
自分ではまだ
坂井悠二として ここに居られるつもりだったけど
そうじゃなかった。
僕はもう完全にフレイムヘイズと同じ側に居る。
シャナと一緒に行く存在だったんだ。
その為にも、もっと強くならなきゃ。
シャナが言ってくれたみたいにね。



うん・・・



じゃぁ、おやすみ。



おやすみ。






シャナと一緒に行く存在だったんだ。






一緒に・・・



なんで・・・?
嬉しいはずなのに・・・
嬉しくない。






ただいま。

ん?
母さん?



あぁ、ゆうちゃん。
お帰りなさい。
ちょっと、うとうとしちゃって。



どうかしたの?
なんか、顔色悪くない?



そう?
あ、お夜食にお芋、蒸かしたんだけど。



危ない!



大丈夫。



母さん!






坂井君、遅いな。



シャナちゃん、おはよう。
今日、坂井君、一緒じゃないの?



今日は鍛錬、休みだから。



まだ来てないみたいなんだけど・・・



ぁ?



おす。

ったく、気にする事ねぇのに。



おはよう。
ねぇ、明日のお休み、買い物 行くんだけど
付き合ってもらっていい?



え?



用事ある?



いや・・・



じゃぁ、お願い。
洋服、田中に見て貰いたいかなぁ?
なんて・・・



うん。






えーっと
坂井だが
どうも、お母さんが具合を悪くされたらしくてな。



ぁ!



大した事はないらしいが
お父さんも長期出張中だし
大事をとって、今日だけ付き添うってことだ。



千草が病気?



坂井君のお母さんが・・・






千草・・・






坂井も大変だね。



池くん。



お見舞いに行くの?



私は・・・
坂井君一人だと、食事大変かなって思うし
お母さんの事も心配だけど
なんだか病気にかこつけるみたいで・・・



え?
そんな事、誰も思わないよ。



でも、迷惑かも。



そんな事、言われてから考えればいいよ。
吉田さんが坂井を助けたいなら
ただ、そうすればいいと思うけどな。



私が思ってれば・・・



大事なのはそこでしょ?



うん・・・そう・・・
そうだね。
池くん、ありがとう。
私、何か作って持ってく。
それじゃぁ。



なんで、僕はこうなんだ?






私は今、坂井君を助けたいって思ってる。
だから助ける。
そう・・・
これを使うのだってきっと・・・
持っているだけで
坂井君やシャナちゃんと同じ場所に居られる気がしてたけど
そうじゃない。
これを使う事・・・
坂井君を助ける事でそうなれる。
これは、そのための
ただの道具なんだ。

重要なのは私がそうしたいって思ってること。
坂井君を助けたいって思ったらきっと使う。
それだけ。






おかゆって・・・
水と塩だけで良かったっけ?



悠二!
千草は?



部屋で寝てるけど。



ぁ!



あら、シャナちゃん。
いらっしゃい。



千草、大丈夫?
どこか痛いの?



ううん。
ちょっとした疲れみたい。
心配させちゃってごめんなさいね。
明日には起きられると思うから。



無理しちゃ駄目。
何か欲しい物あったら持ってくる。
何がいい?



ありがとう。
でも、シャナちゃんが来てくれただけで十分。



じゃぁ、明日も来る!
ヴィルヘルミナも。



そんな。
カルメルさんにまで心配かけられないわ。
内緒にしておいて。



ヴィルヘルミナは看病がすっごく上手い。
私が昔、熱出した時なんか
こーんな大きな氷を持ってきてくれたんだから!



まぁ。
シャナちゃんと話すと元気になるわ。



千草、何か欲しい物、ある?






ごめんね、心配かけて。



元気そうだったから良かった。



母さん、意外と体力あるから。
でも、今回はちょっと考えたかな。



何を?



僕が居なくなった後の事。

父さんはあんなふうで、滅多に帰ってこないし
親戚づきあいもないしね。
もし、一人のときに倒れたら・・・

でも、母さん、しっかりしてるし。

あ、母さんの友達に看護師さん、居るんだ。
きっと大丈夫だよ。



悠二は千草が心配じゃないの?



とにかく僕は傍に居られなくなるんだから
しょうがないよ。






なんと、奥様が?



うん。