灼眼のシャナII 14 2/3

灼眼のシャナII 14 2/3




力の受け渡しはつつがなくなされたのであります。



終了。



大丈夫?坂井君。



ん、うん。



それで、何かわかったのでありますか?



零時迷子に正体不明の自在式が絡み付いているようね。



自在式?
サブラクの?



そのせいかどうか知らないけど
あんたがかけた戒禁も
妙な具合に変質してた。



戒禁が変質?
どういう事?



さぁね。
気になるんなら零時迷子に手を出して試してみたら?
もっともかけた本人のあんたであっても
無事ですむかどうか私は保証しないけどね。



で、その自在式と銀との関係は?



それがわからないから正体不明だってのよ。

今いえるのは零時迷子の謎が減るどころか
また一つ増えたって事だけ。



ウハハハハハハ。
銀とヨーハンばかりか
またぞろ複雑怪奇なオプション追加ってか?
ぜんたいブラックボックスすぎるぜ。
このトーチでミステスのあんちゃんはよ。



トーチでもミステスでも
坂井君は坂井君です!



吉田さん・・・



一美・・・



私はただの人間です。
ぐぜ(紅世)の事も、ともがら(従)やフレイムヘイズの事も
本当の意味はわからない。
この先ずっとわからないかもしれない。
けど・・・
フィレスさんにお願いがあります。






いらっしゃい!いらっしゃい!
おでんは2日目が美味しいですよ!



おい、あれ!



あぁ。
昨日の仮装パレードで優勝した・・・



真ん中の人は?



綺麗・・・



昨日の敵は今日の友と言いますけど
まさかこのような状況になるとは思わなかったのであります。



同意。



それにしても吉田一美にあのような胆力があったとは・・・



意外。






フィレスさんにお願いがあります。
あたしと清秋祭を歩いてください。



吉田さん・・・



一美・・・



まったく、何を言い出すかと思えば・・・
こいつが何者かわかってるの?



彩瓢フィレス。
ぐぜ(紅世)のともがら(従)。
でも、その前に恋人を想いこがれる一人の女性。



ぁ。



それならわかってくれるはず。
人を好きになる気持ちに
人間もともがら(従)も無いって。
あなたが破壊しようとしたミステスは・・・
私にとって・・・
私がどれだけ今を・・・
坂井君との今を大切にしているか、一緒に見てください。



私も一緒に行動する。



シャナちゃん。



悠二の傍で警戒するより
フィレスに張り付いていたほうが効率的でいい。






吉田さん、なんだか変わったな。
シャナも一美って呼んでたし。
二人の間に何かあったのかな?



あ、ところで僕とカルメルさんだけ
どうしてここに?



安全策に決まっているのであります。
フィレスが居る状況下で好き勝手に行動されてはたまらない。
少しは自分の立場をわきまえるのであります。
この・・・



唐変木(とうへんぼく)






はい、フィレスさん、シャナちゃん。



ん。



これ、うちのクラスのクレープなんです。
美味しいですよ。

あの・・・
こういうのは初めてですか?
学園祭って言うんです。
私たちの学校のお祭り。



祭りは初めてじゃない。
よく行った・・・
ヨーハンと一緒に・・・



きっとわかりあえる。
思いとどまってもらえる・・・
同じ気持ちに生きているんだから。



フィレスが簡単に心を開くとは思えない。
でも、もしかしたら一美の言うように・・・






おがちゃん、次は何にする?



えへへ、もう食べられないよ。



じゃぁ、フリマは?
なんかゲームみたいのとかは?
俺、全部おごるからさ。



あ・・・



ん?



マージョリーさん。



田中・・・



姐さん、どうも・・・



楽しそうじゃない、真竹。



え、いや、ははははは。
どうしたの?田中。



ほら、栄太、真竹が心配してるわよ。
とっとと行った、行った。



行こう、おがちゃん。



あ、あー!



栄太。
あせらなくていい。
時間はたっぷりあるんだから。
味わった事実とその重みをじっくり考えて
それから答えを出せばいいのよ。



はい。



ちょ、ちょっと・・・



マージョリーさん・・・



昨日のあれは栄太にとって
一つの大きな試練だった。
今ある大事な物に気づいて
そこからもう一度
本当の気持ちを確かめればいい。



ワハハハハハハ。
栄太がしょぼくれた原因はてめぇだってぇのに
また綺麗にまとめたもんだなぁ。
我が盛大なるマッチポンプマージョリー・ドー



お黙り、馬鹿マルコ!






どうかしたのでありますか?



ぁ。
いえ。
やっぱり僕はここで良かったかなって。
みんなそれぞれに楽しい時間を過ごしていて・・・
でも、僕の時間は止まったままで・・・
その止まった時間が零時迷子によって、永遠に・・・
ヨーハンってどんな人なんですか?



ん?



ここに・・・
零時迷子の中に居る
確か、ミステスだって
カルメルさん・・・
という事は・・・



そう
あなたと同じもとは人間だったのであります。

フィレスはその強さを盾に刹那を生きる
気まぐれで放埓なともがら(従)でありました。
ヨーハンはそんなフィレスが戯れに拾い、育てた人間の子供。
しかし、年月とともに成長したその子供を
いつしかフィレスは・・・
人を好きになる気持ちに人間もともがら(従)も関係ない。
フィレスが吉田一美の申し入れを受けたのは
ひとえにこの思いに共感したからでありましょう。






もうすぐだ・・・
もうすぐ、清秋祭が終わる・・・
この苦行からもついに開放・・・



あ、池君、こんな所に・・・
また迷子の問い合わせよ!
ちょっと来て!



ぁ・ぁ・ぁー・・・
あーーー!!!






祭りが終わるのか?



ぁ。



ヨーハンが悲しむ。



フィレスさん?






さびしいな。
祭りが終わるのって。



人間の悦楽には必ず終わりがある。