灼眼のシャナII 14 1/3

灼眼のシャナII 14 1/3


永遠の恋人。




清秋祭にわく御崎高校を彩瓢フィレスが襲撃した。
零時迷子を狙うぐぜ(紅世)の王に
敢然と立ち向かうシャナ。
悠二が張った銀の封絶に
我を失うマージョリー
熾烈(しれつ)を極めた戦いは
それぞれの胸に更なる謎と悲しみの爪あとを残す。






遅いわね。
そろそろあんたの存在の力が満ちようってのに。
ま、来なきゃ来ないでとっとと始めてもいいんだけど。



そう、あせるなよ。
我が短気な導火線、マージョリー・ドー
炎髪灼眼の嬢ちゃんなら、時間前に絶対来るだろう。



ふっ。
チビジャリもいい度胸してるわ。
今の状況であんたをよりにもよって
このあたしや彩瓢と一緒にしとくんだからねぇ。



あ・・・



そう、手を出さないって約束してくれても
銀の炎を出した僕はマージョリーさんにとって・・・
それに・・・
あの人も・・・
フィレスさんも僕を・・・
零時迷子の中にいる、ヨーハンと言う恋人のことを・・・



どうした?
落ち着かねぇか?



佐藤。



ま、これからやる事を思えば無理も無いかな?
それにしても何処に行ったんだ?



あ?



シャナちゃん。






坂井くん・・・






悠二の存在の力を?



どうかフィレスに分け与えてやって欲しいのであります。
最低限、せめて立って歩ける程度に。



うむ。
今後、彩瓢から更なる情報を聞き出すためにも
力の分与は必要な措置やもしれぬ。



アラストール、でもそいつは悠二を・・・



もちろん、受け渡しの際
フィレスがミステス破壊と言う暴挙に及ばぬよう
我々全員による監視を前提とするのであります。
それに・・・
零時迷子とその作り主の間に流れる力の脈動を
仔細に観察すれば、あるいは・・・



銀についても何かわかるかも知れないって?



悠二?



うん。
それがどうしても必要な事なら。



とにかく、悠二を破壊するのだけは駄目。
これが絶対条件。



同意でありますか?
フィレス。
ヨーハンを取り戻したいのであれば
なおさら不用意にミステスに干渉してはならない。
慎重の上にも慎重を期すべきなのであります。



わかった。
ヨーハンの・・・
ためなら。



では、今宵0時を見計らい、場所は・・・



啓作のところでいいんじゃない?
いちいち封絶張るのもかったるいし。



あなたは誰?



え?



どうして、ここに居るの?



あ。
私は、その・・・



ただの人間はここから出て行くべきよ。






あたしはただの人間。
シャナちゃんや坂井君の傍には行けない。
ただの・・・



ぁ。
シャナちゃん?



迎えに来た。



え?
シャナちゃんがどうして?



支度して。



うん。



急いで。
もうすぐ0時になる。



うっわぁ、いった。
ぁ!



大丈夫、誰も目を覚ました気配は無い。



わかるんだ。
そういうの。



ぁ?



やっぱりそういう人じゃないと
そっちには行けないのかな?



おまえはどうしたいの?



私は・・・

坂井君のところに行く。



なら、誰もおまえを止められない。
たとえ彩瓢フィレスであっても。
もちろん、私にも。



シャナちゃん!



行こう。
あんな奴に私たちのことをとやかく言わせたりしない。



うん。



これが、シャナちゃんの・・・
フレイムヘイズの世界。
でも、どうして?
どうして私にこの世界を?
あ、あの時の顔だ。
あの時と同じ顔だ。



一美!
私、悠二に好きだって言う。



うん。
でも、負けない。



あたしも負けない。






ぁ。



なに?



いや・・・
なんて言うか・・・



さぁーって
若干1名の飛び入りも含めて
役者も揃った事だし
そろそろ始めるとしましょうか。



どうしてシャナが吉田さんを?

うわっ!



静かに。
観測と捜査の自在式を起動させただけよ。



ははぁ、
自在法5つの同時展開とは
また念の入った事だぜ。
我が慎重なる冒険者マージョリー・ドー



少しでも悠二の構成をいじったら
その結果を見る前に
おまえを斬る!



ぁ!



早まるな。
今は警戒に努めるのだ。



許容範囲。



ぁ。



ヨーハン。
こんな近くに・・・
ここにあなたが居るのに・・・



わっ!



悠二!



坂井君!



約束はこのミステスの構成をいじらない事だった・・・