灼眼のシャナII 7 2/3

灼眼のシャナII 7 2/3





ぁ・・・



じゃ、じゃぁアイスクリームの店を・・・



調整中。



だ、だったら、白玉ぜんざい。



TOILET。



お、おかしい!
確か先週まではここに店があったんだ!



池、もういいよ。



ほんと、ごめん。

本当にどうしたって言うんだ?
今日の僕は。
読み違いにリサーチ不足じゃ
せっかく吉田さんと同じ班なのに・・・
株が大暴落じゃないか。



大丈夫だよ、近衛さん。
あれはジェットコースターって言うんだ。



ジェットコースター?



あたし、ジェットコースター乗りたいです!



なら、今すぐ行こう。



ぁ。



僕の調査によるとここのジェットコースターは
午後より午前中のほうが空く傾向がある。
だから、今乗るのは大正解!



1時間30分待ち。



の、はずだったんだけど!
ありえない!



かなり込んでいるよね。



これでも空いているほうなのかな?



池にしちゃ、珍しい読み違いだね。



いつもは完璧なんですけど。



なぜだ?

データも参考資料も何度も検討、分析を重ねたはずなのに。
どこに間違いがあったんだ?!
いずれにせよ、こんなていたらくじゃ
吉田さんに観覧車の事をお願いする事もできない。
何とか少しでも信用を取り戻す方法は・・・



どうしよう、近衛さん?
こんなに込んでいるんじゃぁ
あきらめたほうがいいかも。



そうですか。



その必要はない!



え?



ここは僕が並ぶ。
その間にみんなは他のアトラクションを楽しんできてくれ。

なんてかっこつけたのはいいけど
吉田さん、特に感動した様子もなかったな。
自業自得だけどやっぱりこの程度の貢献じゃ
失敗をカバーするのは無理か。

今頃みんなは・・・

何日も前から調査して徹夜でプラン作って
挙句のはてにこれか・・・

やっぱり駄目かな?
今の状況じゃ、吉田さんと観覧車に乗りたいだなんて・・・
切り出せるわけがない。

そもそもが大それた計画。
夢のまた夢だったんだ。

吉田さん。



やっぱり池くん一人じゃ淋しいだろうから
近衛さんは坂井君が見てるって。



そ、そうなんだ。



せっかくみんなで来たんだもん。
幹事さんが一人で苦労する事無いよ。



吉田さん!
なんて優しいんだ!
こんな失敗ばかりの僕に。



ところで池くん、
やっぱりジェットコースターでも酔うの?



あ、あん。
かなりね。

だから近衛さんたちが戻ってきたら
僕は下で待ってるよ。



そう。



何か遊園地で酔わない物は無いの?



か、観覧車なら。



観覧車?



うん。
幼稚園のころに乗って
あれだけは大丈夫だったんだ。
ほんとに唯一だけど・・・
だから・・・
だから・・・

よ、吉田さん!
も、もし良かったら
近衛さんがジェットコースター楽しんでくれた後で
いっしょに観覧車、乗って くれないかな?



うん、いいよ。






ず、随分乗ったね。
絶叫マシン。



あ、さすがにそっち系ばっか連続で乗ると
足腰にくるぜ。



そう?



ほんとシャナちゃんって凄いよね。
何乗っても顔色一つ変えないし。
ほとんど、超人っていうか・・・



あぁ、そうだ。



スピードも遠心力も遊戯用に設計されている物だから
たかが知れてる。
怖がれって言うほうが無理。



はぁ・・・






じゃぁ、あたし近衛さんたち呼んでくる。



頼むよ。
思ったより早そうだって。



うん。



このコースターは運転1回に付き32人乗車だから
あと、3,4サイクルでこの辺りまで回ってくるな。
ま、間に合うだろう。

だが、待てよ?
もし、間に合わなかったら?
僕が乗るのか?

昔ジェットコースターに乗ったときは
酔いすぎて次の日 学校 休んだな。
その次は・・・
救急車で運ばれて・・・
いや、あせるな、僕。
ここで列を抜けたら
近衛さんはジェットコースターに乗れない。
そればかりか吉田さんとの観覧車の約束もふいになってしまう。

近衛さんたちは絶対に戻ってきてくれる。
絶対、絶対、絶対!



はーい、失礼します。
前にお並びになっていた団体様がキャンセルなさいましたので
次の回、こちらまででーす。



え?!



わぁー!!



今、池くんの悲鳴が聞こえたような・・・



吉田さん、もしかしてもう、順番?



はい、そろそろ行かないと。



ごめんな、池。



いいんだ。
列があんなに早くすすむって・・・



池くん・・・



ごめん、近衛さん。
結局ジェットコースターに乗れなくなっちゃって。



あぁ、その事なんだけど
なんか今、ガラガラに空いているんだよね。



キャー!



そうか。
今日からステージでマジックショーが始まるから
この時間、コースターは空くのか・・・

もう、よそう。
もう、夢は見ない。
吉田さんとの観覧車も・・・

今日は土砂降りだ。






凄い!すごーい!!



すっごい!シャナちゃん!
パーク始まって以来の最高記録だって!
ほれ、商品も!



ありがと。



いやー!いいもん見た!
シャナちゃん、凄い!
天才!
超人、よっ!
大統領!



これ、あまり無駄に力をひけらかす物ではない。



いいじゃんか、ひけらかす力があるんだから。



うん、うん。



ん?



ほんと、もうすっごいの!
こうやって、えいって感じで切りまくってさ!
びっくりしちゃった。



へぇ、そうだったんですか!



もう、あのシャナちゃんの凛々しい姿
近衛さんにも見せたかった!



やりすぎだよ。



いいじゃない、もう
遊びなんだから。



で、あいつはなんでああなんだ?



段取りがことごとく失敗して
自己嫌悪なんだそうだ。



ふーん。
珍しい話だな。



あの・・・
今日はみんなに食べてもらおうと思って
クッキー焼いてきたんです。
良かったら食べてください。



美味しい。



はい。



そうだ、吉田さんはまだ僕を見捨ててない!
このおいしさが僕に対する無言のエール!
だったら、もう一度だけチャレンジすべきだ!

みんな!
幹事より午後のプランを発表する。
4組のペアを作って
巨大迷路のアトラクションで競争だ!






懐かしの
巨大迷路。



ルールは簡単。
出口まで一番早く着いた組が優勝だ。
賞品はみんなからソフトクリームおごり。



あいつ、なんでいきなりあんな、やる気になったんだ?