灼眼のシャナII 6 2/3

灼眼のシャナII 6 2/3





吉田さん、それ・・・



私、今日はお料理係・・・
その・・・
遅くまで勉強するならお腹もすくと思って。



あたしも手伝うって言ったんだよ。
だけど池君が・・・



緒方さんが勉強しないと本末転倒だろ?



ま、言いだしっぺだしな。



吉田さんは成績優秀で料理も得意だけど
おがちゃんはなぁ。



田中!



あ、あの
台所はこっちですか?



来てくれたんだね。



豪邸だとは聞いてたけどここまでとは思わなかったよ。



口で言うと嫌味にしか聞こえねぇよ。
それよりクーラーこのくらいでいいか?
あぁ、これ好きに飲んでいいから。



さてと、これだけの環境だ。
はかどらないと嘘だぞ。



んじゃ、いっちょ頑張りますか。
えへへ。






よし!






そう、そうそう。
だから、もっと単純にしてこの公式を使えば・・・



これはさっきの応用。
やってみて。



ますます、わからん!



ぁ。






うん、完成。



わぁ!!



これ、全部、一美ひとりで作ったの?



ご飯とお味噌汁はおかわりもありますから。



いただきます!



旨い!
吉田さん、この炒め物、最高!



うん、このオムレツも。
ちょっとなんでこんなに美味しいわけ?



坂井!
おまえいつもこんなの食べてたのか?
くそー、うらやましい。



どうかな?シャナちゃん。



うん、美味しい。



このくらいで良かったかな?



結構です。



本当、美味しかった。
今度、コツとか教えてよ。



緒方さん、一人でも良かったのに。



いいの、いいの。
美味しい物、食べさせてもらったんだから。
お礼に洗い物くらい手伝わなきゃ。



でも、ここに食器洗い機も。



それ、ちょっと癖があるから
操作の順番間違えると、水が噴出しちゃうの。
最初にそこの電源入れてくれる?
勝手知ったるってやつよ。
ほら、あたしたち中学のころから一緒じゃない。
よく遊びに来てたんだ。田中と。
あ〜あ、あの頃は無邪気で良かったな。



はぁ〜。
み〜水。



マージョリーさん。



一美?
なんであんたがここに?
ぁ?
あんた、誰?



ん?



あー!






なんで、child が主語なのに father が次にあるんだ?



文章がそうなってる。
普通の構文どおり読めばいい。



じゃ、最後の man てのは?



その前の of the からかかってる。



チッ。
だから、なんでそうなってるのかってっ・・・

わぁーー!
おい、佐藤!
おまえもちったぁ勉強しろよ!



食ったら眠いし・・・



まったくしょうがないな。
ん?
そう言えば吉田さんたち遅いな。



大丈夫。
おがちゃんが居るから迷子になったりしねぇよ。



でも、もう30分は経ってるぞ。



あの、近衛さん、どこに?



あたしが見てきます。



いいよ、僕が・・・



もし、後片付けされているなら
美味しいご飯のお礼にお手伝いも。



そう、それじゃぁ僕も一緒に。



私が行く。



え?



悠二は勉強する!



あ、あの・・・



悠二と二人になんかさせない!



おかしい。
吉田一美が仕事を途中で放棄するわけがない。



ぁ。



何してるの?



洗ってさしあげようかと。



勝手にすれば。



ん?

はぁ。



おまえ、洗い物なんかやったこと無いんでしょ?
それはこうやって・・・



う!



はぁ〜?



洗い物ってのは、こうしてスポンジに洗剤をつけて・・・



う!



あ?



手が汚れたら布巾で拭いて・・・



あ!






で、そのオメガちゃんが、あたしに何の用?



オガタです!
緒方 真竹!



日本人の名前って覚えにくいのよね。



一美!
あんたこの人と知り合いだったの?



え?
あ、うん。



なんなの?この人!
なんで我が物顔でここに居るわけ?



それは・・・



あたしの名前はマージョリー・ドウ。
なにもそっちに聞くこと無いでしょ?



あなた、田中の何なんですか?



緒方さん。



え?あ、いや・・・その・・・



うふふ。
なんだ、そんな事か。



そんな事って!
あたし、見ました。
ミサゴ祭りの時、あなたと田中が楽しそうに・・・



啓作も居たはずだけど。

心配しなくてもあの二人とはそんな関係じゃないわ。



ぁ。



私がこの街に来たのは単なる仕事。
ここに居るのはねぐらを探している時
啓作にこの家を使っていいって言われたから。
二人にはたまに仕事を手伝ってもらっているけど
それ以上でも、以下でもない。



だけど・・・



ま、あの二人は私に対してそれだけじゃない
思い入れがあるみたいね。
でも、それもけして恋じゃない。



ぁ。



あいつらの目は無邪気すぎる。
恋とも愛とも無関係な・・・
あれは綺麗な憧れの色。
ようするに子供って事よ。
わかった?



それにしても、あんたみたいな可愛い子がねぇ。
栄太もなかなかすみに置けないじゃない。



あの・・・あたし・・・
すいませんでした!



別にいいわよ。
嫉妬に身を焦がすのも恋のうち。



ぁ。



恋って自分のやな部分を映し出す鏡みたいな物。
特に片思いのうちは
妬み、嫉みに僻みにやっかみ。
それこそ、ありとあらゆる感情と向き合う事になる。



マージョリーさん。



でも、それを恥じる事は無い。
それだけ本気だって事なんだから。

そうだ。
その鏡を割る方法、教えてあげようか?



ぁ。



別に難しい話じゃないのよ。
相手と気持ちを通じあわせる。
それだけ。
誤解をしない、させない事が大切よ。