灼眼のシャナII 6 1/3

灼眼のシャナII 6 1/3


試練の前夜。




シャナのいつもと違う様子に戸惑うヴィルヘルミナだったが
千草のアドバイスを受けて慣れない手料理を振舞う事で
思いがけず、シャナと家族らしい時間を過ごす。
だが史菜(ふみな)によって揺れるシャナと吉田の心は
まだ落ち着かないままだった。






坂井君、遅い!



ごめん、ごめん。






近衛さんをかまいすぎだって?
そうは言うけどああいう子だし・・・
ほっとくわけにもいかないだろ?



そんな事を言ってるんじゃない。
もう少し周りの事も・・・
とにかく、かまいすぎだ。



池?






近衛さん。
こうして緒方さんも一緒に登校してくれる事だし
僕はもう、そろそろ・・・



あ、何よ、坂井君。
勝手に係りやめちゃう気?



え?
違うよ。
学校ではもちろん今までどおりやるし
ほら、今日みたく待たせちゃったら悪いかなって。






おはよう。



吉田さん、やっぱり係りを続けたかったのかな?
でも・・・
なんで、シャナまで・・・
このところ、朝の鍛錬にも来ないし・・・



よーし、席に着け。
あー、突然だが明日
各クラス共通の一斉テストを行う事になった。



えー!!



ちょっと先生、それどういう事ですか?



そんなの聞いてないですよ!



夏休みの宿題だけじゃ
どれだけ真面目に勉強したかわからないからな。
試験範囲は各教科とも一学期分。
時間割はだな・・・






ったく、冗談じゃねぇぞ。
抜き打ちテストなんて汚い真似しやがって。



学校なんてそんなもんだろ?
この際、ジタバタしたって無駄だ。



だな。
うし、明日のテストは捨てたぁ。



池君さぁ、おりいって頼みがあるんだけど。



ぁ?



勉強、教えてくんない?
池君に教われば、一夜漬けでも少しはましな点が取れると思うんだ。
お願い。



それはかまわないけど・・・

え?
一夜漬け?
ってことは・・・



そう、泊り込みで。
場所はそう・・・
佐藤んち。



ぁあ?



田中もどうかな?



え?



うん、うん。
やっぱ勉強は必要だよな。



おまえなぁ。



勉強会ってことか。
いいよ。
ただし、いつものメンバーが全員揃うんなら。
だけど・・・



ぇ?

うん、じゃぁ僕も。



と言う訳なんだけど・・・



と言う訳、じゃわからない。
勉強するのにどうして集まる必要があるの?



ぁん。

だから、みんなでわからない所を教えあったり・・・
吉田さんはどうかな?



ぇ?
あ、はい。



みんなって誰?



みんなは、みんなだよ。
池に、佐藤に田中に緒方さん。
それから吉田さんとシャナと僕。



と?



と?

近衛さん。



ふん。






何を怒っているのでありますか?



まさか、今朝わたくしが調理したベーコンエッグが・・・



そんなんじゃない。



では・・・



なんでもないって言ったら、なんでもない!

それより鍛錬のほう、お願い。



やはり、あのミステスの事でありますか?
先ほどこちらに立ち寄ったのであります。



悠二が?



今日の勉強会、待っているから是非来て欲しいと。

しかしながらあのミステス・・・
その程度の理由で夜の鍛錬を休むなど
よくもぬけぬけと。



言語道断。



坂井悠二の鍛錬を万条の仕手と夢幻の冠帯だけに任せておくのも
そろそろ限界だろ。
いつまで意地を張っているつもりだ?



でも私、どうしていいかわからない。






お願いしますよ。姐さん。
今日一日、今夜一晩だけでいいんですから。



うっさいわね。
なんで私がこの家を出て行かなければなんないのよ?



だから、今日だけクラスの連中が・・・
おい、坂井。
お前からも頼んでくれ。



せっかく寝てるんだからわざわざ起こさなくても。



後から起きてこられても面倒だろ?



それに、万が一おがちゃんと鉢合わせでもしたら・・・



んお・・・
あ、いや・・・



ハハハハハハ。
心配いらねぇよ、ご両人。
我が底なしの酒樽、マージョリー・ドーもここまで酔いつぶれちまえば
ともがら(従)・・・



あいった・・・



寝ててもマルコシアスだけには反応するんだな。



さぁ、時間切れだ。



こうなったら運を天に任せるしかねぇか。



よぉ、お揃いだな。