灼眼のシャナII 2 1/3

灼眼のシャナII 2 1/3


全ての序章。





二学期も始まって間もないある日、
悠二は突然デジャヴに襲われた。

それは小さなともがら(従)が見せた夢。
悠二がそれを見破った時
シャナが現れ、ともがら(従)を一刀両断するのだが。






はい、これで大丈夫。



ごめん、千草。
急に来て。



お弁当の作り方、教えるくらい
いつでも大丈夫よ。
あんまり切羽詰った顔、してるから・・・
何かあった?



え?






坂井君、これ食べてもらえますか?



え?

美味しい!
吉田さん、やっぱり料理うまいね。
うん。






ただ、嫌だっただけ。



え?



どうして嫌なのかわからないけど
悠二がお弁当食べてるのが嫌だった。



玉子、冷蔵庫から出してくれる?



うん。



ただね・・・






本来であれば調理ごときで
奥様の手を煩わす必要など無いのでありますが・・・



いいから、ヴィルヘルミナ
私の代わりに悠二の鍛錬についていって!



本来であればわたくしが・・・



早く!






シャナちゃん。
私が教えるのはいいんだけど
カルメルさんには頼まないの?
そのほうがカルメルさんも。



ヴィルヘルミナは全然料理が出来ないから無理。



そんな事ないんじゃない?
カルメルさんにも得意なお料理ぐらいあるでしょ?



電子レンジで暖めるやつか
お湯をかけるやつか
あと、生。

でも、それってたぶん、お弁当じゃない。

これに割るの?



ええ、そうよ。






うわぁぁぁーー
ちょっと待って。



坂井悠二、口を開く前に攻撃をかわせ。
存在の力の流れを読むのだ。



そんな、簡単に・・・



なぜ、調理の手ほどきなど必要とされるのか?
完全なるフレイムヘイズであるあの方が。

しかも教官としてわたくしではなく、奥方を。



いく・・・



いや、しかし・・・



万条の仕手よ。
これが鍛錬であることを忘れてはおるまいな。



手加減必須。



大事はあるまいな。坂井悠二
どうしたのだ?
万条の仕手。
いかにミステスを鍛えるためとは言え
行き過ぎだぞ。



少し考え事を。
それより今の力は?



今頃気づくとは、いささか以上に集中を欠いているようだな。
坂井悠二が持つ存在の力は以前と比べはるかに大きくなっているのだ。



星黎殿(せいれいでん)。



まさか・・・



ミステス、坂井悠二
頂の座(いただきのくら)ヘカテーと器を合わせ
存在の泉の一部となった。
やつの器は底なしだ。
そこに零時迷子が膨大な存在の力を溢れさせた。

その際、流れ込んだ大量の力が
坂井悠二の中にそのまま残留しておるのだ。
零時迷子はその力を丸ごと回復させ続けている。



予測不可。



零時迷子にそんな機能が。



うむ。
ゆえに下手にこの街を出るのも躊躇しておるのだ。






我ら栄えあるバルマスケ(仮装舞踏会)が
仮住まいとは情けないねぇ。
あの教授は張り切っちゃぁいるが
星黎殿の修復にはかなり時間がかかるだろうよ。
ま、その間にやるべき事はやっておくさ。
ねぇ、千変。



そうだな。
俺もそろそろ出かける事にしようか。



ここもさびしくなるねぇ。



ふ。
心にも無いことを。
それより俺の居ない間
俺のヘカテーに妙な真似をしてくれるなよ。



妙なまねとは?



妙な真似は妙な真似さ。
先の渾の聖廟(こんのせいびょう)の事もある。



あれも全て我々の大命の為。
ヘカテーだってわかっているはずだけどねぇ。



大命か。
ま、とにかく・・・
俺は俺の仕事をするさ。






今日はきつかったな。
なんで急に鍛錬の相手がカルメルさんになったの?



別に・・・
同じ相手とばっかりじゃ癖がついて良くないの。
だから・・・



それより貴様の存在の力が大きくなっている件だが。



そう、それ。
量だけならぐぜ(紅世)の王並みになっている。



え?
そんな実感無いけど。
自分の事だとわかりにくいんだよな。



我らの鍛錬はその力を制御するために行っているものだ。
せめて封絶を張れる程度にはならねば。