劇場版 灼眼のシャナ 5/9

劇場版 灼眼のシャナ 5/9





捨てるんじゃない。
生かすんだ!






なんて変な・・・じゃない。
妙な・・・違う。
嫌な・・・
そう、嫌な奴。



かなり遠慮なく力を使ったな。



仕方ないでしょ?
あいつが自分から言い出したんだから。
それでもまだ、残してやったほうよ。



やっぱりここに居たんだ。



居て悪い?



そんな事、言って無いだろ?



なぜ、我等がここに居るとわかった?



何となく居るような感じがしたからかな?



なるほど。
あれだけの力の発現に立ち会えば
わかっても来るだろう。



何の用?



用っていうか。
女の子が屋根の上に居たんじゃ
落ち着かないからさ。
中に入れば?



中?



だって、濡れるだろ?
だいたい、僕を見張るなら
傍に居たほうがいいと思うけど。



そうね・・・



思いつかなかったのか?



そんなに偉そうに言うほどのこと?



別に偉そうになんか・・・



入る。



え・・・あ、そう。
どうぞ。



そのベットを使って。
僕は父さんの書斎で寝るから。



おまえを見張るために入ったのに
なんで別の部屋で寝るのよ?



え?だって・・・



貴様が言い出したのだ。
ここで寝ろ。



わぁ!
何するの?



着替えるのよ。
当然でしょ?



いや、だけど・・・えーと・・・
どっか場所。



あ?



何をうろたえている。
貴様が気にすることは・・・



どっかに潜ってて。



あ、うん。



早くして!



せかさないでくれよ。
寝巻きとかは?



覗くな!



覗いてないって!



寝巻きとか持ってるのかって聞いてるんだよ。



無いわよ。
あるのは下着だけ。
身体の汚れはアラストールが炎で清めてくれるから
替えるのは気分だけど。




ふぅん。
今日、学校に来た狩人ってのが
この街でトーチを作ってたんだな。



それも大量にね。
普通、ひとつの街でともがら(従)が
こんなに人をたべる事は無いわ。



バランスを保つためのトーチとは言え
数が増えればやはり世界のゆがみは大きくなるからなぁ。
しかし、それこそが狩人の狙いやもしれぬ。



狙い?



トーチが多ければ貴様のようなミステスも生まれやすい。
我らのようにフレイムヘイズをおびき寄せることも出来る。
まさに狩り場だ。



でも、どんなフレイムヘイズがわかってないのに
少し余裕がありすぎる。



確かに遊びも過ぎれば命取りだ。
もともと強大な王ではあえるが・・・



あいつが自信を持てる何かがあるのかも。
戦ってみればわかることよ。



じゃぁ、明日は学校休みだし
街の外へ出ないか?
また、巻き込まれる人が出ると嫌だから。



いいわ。
でも、おまえは一緒に来るのよ。
囮なんだから。



うん、わかってる。

う、わぁ〜!
いってぇー・・・







もう!あと10発ぐらい殴るんだった。



わからぬなぁ。
あれはトーチだ。



それが・・・



木や石の前で裸身をさらした所で
何を恥じる。
常のおまえならば・・・



なんか嫌だっただけ!



つまりあれは、おまえが久しぶりにかかわた人間というわけか。



人間じゃない。
すぐに消える只のトーチよ。



うむ。






誰も気づきやしないさ。マリアンヌ。
あの天壌の劫火ですらね。



でも、ご主人様・・・
フレイムヘイズがこの街に目をつけることも多くなりました。
ご用心を。



大丈夫だよ、マリアンヌ。
あと少しできみのための力が集まるのだから。
邪魔などさせはしないさ。



トーチがこんなに輝いている。
この計画が成功すれば
きみは燐子(りんね)などという道具ではなくなる。
この世で生きていける一つの存在になれるんだよ。



ご主人様。
私はもう十分な思いをいただきました。



いいや、まだ足りない。
きみは私から力を与えられなければ
三日と持たずに消えてしまう。
あまりにはかない存在だ。



私はそれがご主人様との
分かちがたい絆であると信じています。



あぁ、マリアンヌ。
きみはなんと嬉しい事を言ってくれるんだ。



でもね・・・
私はどうしても成し遂げたいんだ。
ぐぜ(紅世)から渡り来た意味。
この世に存在を求めた理由。
全てはマリアンヌ、きみの為だったのだから。






なるほどね。
このトーチの数、普通じゃないわ。
噂以上に臭うわね。この街。



あぁ、確かに臭うぜ。
おめぇの酒臭い息がよう!
ワハハハハハ。



お黙り、馬鹿マルコ。

あら?
フレイムヘイズの気配もあるじゃない。



だなぁ。
同業者が先乗りしてるんなら
手ぇひくか?



ふん。
そんな決まり、どこにあるのよ。
先に見つけたほうがぶっ殺す。
それだけでしょ。



フハハハハ。
ちげぇねぇ!
いっちょぶっちぎるか!
わが愛しのゴブレット、マージョリー・ドーよ!



当然。






アラストール



うむ。
フレイムヘイズだな。






極寒のエベレストから生中継。
撮影隊は今イエローバントと呼ばれる
決し圏を突破した。

三千、我々が居るのはエベレストでも最も難所といわれている場所で






はぁ、やっぱり駄目・・・
坂井君にクッキー渡すなんてまだ。

もうちょっと勇気が出るまで待とう。
いつかきっと言えるときが来る。






早く!



わかってるよ。
ちょっと待ってくれ。



ここで戦いたくないって言ったのは・・・

ぁ!

アラストール、見た?
あれの灯り。



うむ、ミステスの中に入っているのは、もしや・・・