ツバサ・クロニクル 20 2/3

ツバサ・クロニクル 20 2/3





ぁ?



この剣は・・・
時が来るまで鞘から抜くな。



ぇ?



刃物は相手を選らばねぇ。
使い手が未熟なら
未熟な切っ先のまま
切る必要の無いものまで切っちまう。



例えば
己自身。



例えば
守るべきもの。



お前が切るべき物のみを切れるようになるまで
それは解くな。



はい。



さて、始めるか。
そいつを抜くためにすべき事を。



お願いします。






よぉーし、いいぞ!

それじゃぁ、ここでいいですか?



いぇーい!



はい。
ありがとう。



では、ここにお名前を。



はい、はい。



ん?
お嬢さん、どこかでお会いしましたっけ?



ぇ?



じゃぁ、毎度ありぃ〜!



これって?



これ、ピアノっていう楽器なの!



裏通りの骨董屋で見かけてね。
奮発して買っちゃったんだ。



ピアノ?



ファイ、弾けるの?



では・・・



うわ・・・



ふー・・・



え?



うわ・・・



あは。
でも、こういうのが置いてあると
お店の雰囲気がぐっと良くなるでしょ?






うわぁ!



やっぱりな。
おまえ、左右で反応の釣り合いがとれてねぇ。



右がどうしても・・・



逆だ。
確かにお前は右の反応が遅れがちだ。
でも、反面
気配だけを察知して動くせいで
時々だが左より早く反応できる。



ぁ・・・



しかし
左は視覚に頼りすぎている。
まずは左右のばらつきを何とかしねぇと
こいつを使うことは出来ねぇ。



もう一度
お願いします。






シフォンケーキのセットが
お二つですね?
かしこまりました。



すみません!
オーダーを。



はい。
ただいま。



さくらちゃん
いつもより頑張っているみたいだね。



さくら、偉い!



でも、どうしたんだろうね?



ハーブティーを。



かしこまりました。






白詰草
クローバー四。



どうしてかしら?
この世界を脅かすものと
同じ力を感じるわ。

ん?






いらっしゃいませ。



うん!
美味しい!



そりゃ、噂の店だからな。



あの・・・



何ですか?



ちょっと、お話
いいですか?



はい?



ん?



伝説?



はい。
そうです。



お嬢さん、伝説を集めているの?



はい。
他にもこの国で変わった事とか
あと不思議な事件とか
そういう話も集めているんです。
何か心当たりはありませんか?



そうだな・・・



うん・・・



そうか。
さくらちゃんも自分のやるべき事を始めたんだね。



どういう事?



羽根の情報集めだよ。
そもそも、ここって
そのためにやっているんだからね。
それで張り切ってたんだね。
さくらちゃん。



何か、ご存知ありませんか?



さくら、ちょっと楽しそう。



やるべき事を見つけたから・・・
かもね。






視覚に頼るな!
心の眼で気配を察知するんだ!



はい。






おでかけ・・・
ですか?



市役所に行って
これを交換してこないとね。



でも、ファイさん、脚が・・・



ついでにお医者さんに行ってくるから。
二人ともお留守番、頼んだよ。



はい。
ファイさんも気をつけてくださいね。






お客さん、来ないね。



うん・・・



モコナなんだか
眠たくなってきちゃった。

まわる〜
まわる〜
風船のような・・・



ぁ・・・



ぁ・・・
綺麗な音。



ぁ!



いらっしゃいませ。



どうぞ。



ありがとう。



ぁ?



私、歌を作ってるの。



歌?
ですか?



あれ、お借りしても
いいかしら?



ぁ・・・



いいピアノね。
飾りにしておくのは
もったいないわ。