×××Holic 20 2/3

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うわぁー!
何してくれてんだ?



うーん。
確かに温かいな。
中のチョコ。



吐け!
すぐ吐け!
それはバレンタインの!



お前は食っちゃまずいものを作るのかよ?



まずいわけ、ねぇだろ!
いや、まずいんだよ!
あ、や、味はまずくねぇんだよ!
けど、きょうは・・・



はむ。



あー!!



四月一日君と百目鬼君って
本当に仲良しだね。






せっかくのバレンタインデーだったのに・・・
フォンダンショコラだったのに・・・
結局、百目鬼に食べられちまった。
最悪だ!
不吉だ!

おまけに、なんで百目鬼みたいな奴が
チョコレート貰えるんだよ!?
あんな鉄面皮!

いいんだ!
おれは、ひまわりちゃんに貰えれば!

ちゃーんとおれの分
用意してくれたんだ!
ありがとう!
ひまわりちゃん!

でも、百目鬼も貰ってたのがなんだけど!






こんちわ!



四月一日だ!

四月一日だ!



侑子さんは?



主様、お風呂!



ん?






酒、持ち込みで?



うん。
今日はビール!



って事は、風呂の中で6缶は飲むから
夕飯はマイナス6缶だな。



しっかり者!



でも、今日はおれ、ご機嫌だからな!
マイナス分、ちょっと多めに見ても・・・



ん?



な、何とも無いよな?
な?



やっぱり何ともない。



ん?



ぁ?



なんか、違うような・・・



ぁ?



あ!



うわぁ!



う・・・うご・・・



動いちゃったわね。



は!
侑子さん!



封印代わりの写真立てに入れてても
止まらない・・・か。



うわぁ!!ててて・・・
な・な・な・・・
何ですか?
この写真?

心霊写真ですか?
お祓いとかしなくていいんすか?
燃やしたりとか・・・



霊が映っている写真をただ燃やしたって
なーんにもならないわよ。



じゃぁ、どうするんすか?



それを決めるのは本人よ。



ん?
なんか普通の写真なんすけど・・・



動くのはそりゃ怖いすけど
でも、写真自体は笑顔でどうって事は・・・



ごめんください!



あの声・・・



来たわね・・・
本人が。



あ!



見てのとおりよ。
封印を施しても止まらないわ。
よっぽど見せたいものがあるみたいね。
この写真に写っている人は。



ぇ?
ぁ?



決めたかしら?



わ、私・・・



あなたは、どうしたいの?



私・・・



ぇ?



見ないで!



ぁ!



なんでこの人
こんなに怯えてんだ?
楽しそうな写真なのに・・・

それに見ちゃ駄目なら
破るとか
燃やすとか・・・

ぁ!

燃やすだけじゃ駄目だって
侑子さん言ってたな。
だったらどっかに隠しておくとか?



そんな写真、隠しておきたいけれど
怖くてそのままに出来なかった・・・



ぇ?



だって、それは
あなたの過去だものね。



写真は過去を写す。
絵のように
描き手の主観や感情を交えず
あるがままに。
時には見たくないものまでね。



違う!
あれは事故で・・・
警察もあの子が崖から足を踏み外したんだって・・・



ぁ・・・



そう。
だったら、どうして
あなたは泣いているの?

で、あなたはどうしたいの?



これ・・・

消して!
この世から。



対価が必要よ。



何でもしますから!



何でもするなんて
軽々しく口にしないほうがいいわ。



この写真より嫌な事なんて無いわ!



いいでしょう。



うわ!