×××Holic 15 1/3

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第十五話。
「カイホウ」




波。
高まり静まる物。
波。
生まれ、拡散してゆく物。
波。
自分があらがえない物。



たぶん駄目。
きっと失敗する。
私なんて何も出来ない。



鎖。
自然の決まりごと。
時の流れ。
軀という名の器。
心という名の自我。



私は全然、妹と違うから・・・



一つだけ、人が使える鎖。



早く、出たいな。






ぁ!

大丈夫ですか?



ぇ?



お姉ちゃん!
血が出てる!



ぁ・・・



出よう。



お姉さん、怪我とかなさってたんですか?



おっとりしてるから、よく転ぶけど
今日はどこも。
中に怪我するような物は無かったし
アヤカシも手出しは・・・
本当に突然・・・






はやく・・・
出たいな・・・






もう、どうしたの?
お姉ちゃん。
大丈夫?



ごめんね。
でも、なんともないみたい。



ほんとに?
なら、いいんだけど。



まさか・・・



心配かけてごめんね。
大丈夫だから安心して。






犬も歩けば
モコナにあたる。



はい!

はい!



あ。



やった!



モコナも積もれば
山となる。



はい!

はい!



あ・・・



ふふふん。



なんか、ずるくない?



なんか、ずるくない。



モコナ隠して
モコナ隠さず。



はい!

はい!



とった!



なんかずるい!



なんかずるい?



火中のモコナを拾う。



はい!

はい!

はい!

はい!



その、まさか
でしょうね。



でも、いきなり自分を怪我させるなんて?



それだけ、そこから出たかったんでしょ。
お姉さんのほう。

それに・・・
その時だけじゃないでしょ?
彼女から波を感じたのは。



ぁ。
コンタクト!






見つからないと
思います・・・



ぁ・・・



そ。
コンタクトは見つからなかった。
彼女が自らを縛ったから。



じゃぁ、侑子さんが言ってた
人だけが使える鎖って・・・
言葉?



そ。
怖いわよ。
言葉は。

一度口から出てしまった物は帰せない。
無かったことにはならない。
それが、どれほど人を縛るかわからず
人はその鎖を使い続けている。






もし、料理、失敗したら?






妹には迷惑かけてばかりなんです。






言葉は生きているの。
そして時には人の行き筋さえ縛る。






ん?



で、どうすんだ?



あ?



あの双子だ。
もう、会わないのか?



おれが決める事じゃないよ。



そうか?



でも・・・つーか
むしろ・・・つーか
おまえが貸したハンカチ
返したいって言ってただろ?



あぁ。
けど、まぁ
おれは、どっちでもいい。



どっちでもって?



ハンカチ1枚無くなった所でかまわんし。



あの双子
二人ともおまえ目当てだろうがよ!



そうなのか?



明らかに
明白に
一目瞭然に
そうだろうが!

なのに、その言い草、その態度!



それより、おまえだろ?
どうしたいんだ?



え?



また会うのか?
もう会わないのか?



はぁ。
そりゃ誘ってくれるのは嬉しいよ。
おまえメインだもの。
けど・・・



ん?



知っちまったからなぁ。
言葉が鎖だって。



会うの、もう
やめるのか?



ううん。
知っちまったんだから
どうにか、あのお姉さんにそれ
伝えられないかな?
と思って。

っても、こんな話
誰も信じちゃくんねぇだろうけど。

ふん。
危ないヤツと思われるのがオチか。



そうしたいんなら、そうすりゃいいだろ。



え?



出来ないって決め付けたら
双子の上のほうと同じなんじゃねぇのか?

おまえが行く時はついて行ってやるから。



え!



そん時はおれの分、おごれよ。



だぁー!
それが目当てかい!?






あ、あの・・・
ハンカチ、洗ったんですけど
どうしても落ちなくて・・・



これ、買った物なんですけど・・・



どうも。



ぁ。



飲み物、買ってくる。



お、おう。



いらっしゃいませ。



気になりますか?



え?