ツバサ・クロニクル 10 1/3

ツバサ・クロニクル 10 1/3


別れのカガミ。




さくら・・・



行きましょう。
春香。



行くって・・・
どこにだ?



さ、さくら・・・






うん!

うぅ。
忌々しい小僧め!
この手で葬ってくれる!



秘術か?



そうだ!
この身体には
我が親父様の秘術が施されているのだ!



どうだ!
おれ様の力は。






城攻めが始まったぞ!



おれたちも応援に行くぞ!



おう!






ぅ・・・

ぁ・・・

さくら。
いったい私をどこに連れて行く気だ?



来ればわかります。



私は小狼たちや街のみんなのように
領主の城に行きたいんだ。



何度言ったらわかるんです?



ぁ!



あなたが今、やらなければならない事は
他にあるのです。



わ、わかった。

どうしたんだ?
さくらは・・・
まるで怒った時の母様みたいだ。






しめた。
城に施されていた秘術が消えているぞ!
おまえたちはここで監視を頼む。



わかった。



後のものは、おれに続け!






うえぃ!

てぇ!



うわぁ!



小狼



なんだ?
お前の力はこの程度か?
うはははははは。
やっぱり親父様の秘術は無敵だ!






あぁ。
あんなに早く動くうえに、変形されたんじゃ
たまんないな。



へっ!
ぶよぶよ膨らんだり縮んだりしやがって。



なかなか骨のある童共だ。
ここまで耐えた人間は
かつて蓮姫(リョンフイ)の街にいた
名高き女術師以来だ。



それって春香ちゃんのお母さんの事かな?



言われて見ればそういう名前の娘がおると言っていた。
この街に必要なのはあんな愚かな領主たちではなく
童たちやあの女術師のような人間だろうが。

今、私はここから出られぬ身。
理不尽にも私を意のままに操ろうとする者の
身の程をわきまえぬ命令を聞かねばならぬ。

名残惜しいが童たち
そろそろお別れだ。

ふっ!



うわぁ。
これ、最大のピンチとかいうやつかな?



握りつぶされるか
溶かされるか
どっちにしてもお陀仏だろうな。



えーっと・・・
それは困るかも。
オレ、とりあえず死ねないもん。



死にたくねぇのに
この事態になっても
魔法とやらは使わねぇか?



うん。
ごめんね。



俺には関係ねえがな。



で、黒みんは?



俺もこんなところでは死なねぇ。
帰らなきゃならねぇからな。

元居た世界に。

白饅頭はあの姫の羽根が見つかるまでは
移動しねぇだろう。
だったら、さっさと済ませて次の世界に行く



オレもあんまり一箇所には居たくないからね。



なんでだ?



元居た国の水底で眠っている人が
もし、目覚めたら
追いつかれるかもしれないし
オレは逃げなきゃならないんだよ。
いろんな世界を。



うーん。



最後の話は終わったか?



さぁって、どうしようか?
絶体絶命って感じだよ。



では、さらばだ。



おい。



ふ。



死に急ぐか?
童よ。



ふっ。



なに?



てやぁー!



ふ。






小狼
小狼

あはーん。



なんだ?こいつは?
おまえが秘術で出した物か?

噂では政府の密偵衆が秘術の使い手でもあるらしい。
おまえ、本当に密偵衆なのか?
なら、なおさらここで始末しないとな!



やめろ!



うわ!



この脚、秘妖(キイシム)にやられたんだろ?
どうだ、痛いか?!
苦しいか?!

おまえ、蹴り技を・・・