×××Holic 8 3/3

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だから石は転がり続ける。
さらに速度を上げながら。






っち、どうしよう。
思いっきり寝坊しちゃった。

今日は教育実習の最終日だから
先生方の前で授業しなきゃいけないのに。



まもなく2番線を特急電車が通過します。



このままじゃ遅刻しちゃう。

ん、もう・・・!
いっそ、事故とか起こらないかな。
そうしたら遅延証明が出る。
それを提出したら大目に見てもらえるのに・・・



ぇ!?



キャァー!



まさか!
今の願いにカウントされちゃったの?!






職員室。






すみませんでした。



う・・・



あ!
先生?



あれ?



いつもと違うな。



わかるのか?



おまえみたいに見えるわけじゃねぇよ。
様子が違うって事だ。



そう言えば元気、ないみたい。



実習が終わってしんみりしている・・・
って感じでもねぇな。






あと1本しか無い!
ちょっと考えただけで願った事になっちゃうなんて!

は?

もしもし?
教授?
え?
あ、ちょっと待ってください。
あたし、盗んでなんかいません!
たしかに、その日は図書館に居ましたけど!
でも、他の人の資料を盗むなんて!
本当です!
テーマが似ているのは偶然です!
先に提出したほうがオリジナルのはずじゃありませんか!
草稿が提出されていた?
2週間前に・・・?



は・・・!



待ってください!
教授!
出版の話は?



今朝の飛び込みも
あたしのせいに なるんじゃないでしょうね?



隣に居たあたしが押した・・・
とか言って警察が・・・



は!



いやー!
もういや!
やめて!



どうにかしてよ!
あんたのせいでしょ?!
今すぐあたしの前から全部消してよ!



う・・・
あ・・・






どうしたの?



開かないの?
鍵。



うん・・・



日中は開いているはずだろ?



変だね。



あれ?



何だったんだろうね?






そう。
戻って良かったわ。
えぇ。
じゃぁ。



帰ったわね。
石は止まったのね。
壊れてしまったけれど。

開けるなと言われた物ほど
人は開けたくなる。
約束を破った報いも
自分にだけは無縁だと思っている。
何かを離れて特別なものなど無いのに。



こんちわ。



でも・・・
願いは・・・
かなったのね・・・