×××Holic 7 3/3

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×××Holic



でも、死者の世界って言ってもいろいろあるのよ。
その女の子が行こうとしてたのは
人を陥れたり、苦しめたり
死に追いやったりした死者が集まる所。



なんであの子が、そんな所へ?



連れて行こうとしたでしょ?
独りで淋しいからって死者の世界へ。
つまり、殺そうとしたでしょ?



そんな・・・



自覚は無くてもそうなの。
死後の罪の重さは
生きている時と同じなのよ。
だから紫陽花は一生懸命止めたのよ。
真っ暗な所で四月一日が聞いたのは
紫陽花の声よ。



あれは、紫陽花が引き止めていたのか・・・
あの女の子を助けたくて。



で、ちゃんとお礼言いなさいよ。
百目鬼君に。



なんでですか?



このスカポンタン

よーく思い出しなさい!
もう少しで彼の岸に行ってしまいそうになったのに
帰ってこられたのはなぜ?



ぁ!

上から水滴が落ちてきて
見上げたらリボンが・・・



それを持ってたのは百目鬼君よ。

こんな事になっているんじゃないかって行って見たら
四月一日が消えてから、あたしがあそこに着くまで
百目鬼君、雨の中、ずーっと
傘もささずに紫陽花の下を掘っていたのよ。
四月一日が埋まっちゃったんじゃないかと思って。






物理的に紫陽花の下って訳じゃないから
掘っても居ないわよ。



どうすればいいんですか?



リボンを持ってなさい。
四月一日がもう一つのリボンを持っているなら
それに気づくかもしれない。
それまでずーっとここで待っていられる?






で、10時間ですか・・・?



百目鬼君、エンジェルさんの時にした怪我
冷えて悪化しちゃったみたいよ。
何も言わないけど。



ぁ!



警察から今、連絡がありました。
衣服が去年行方不明になった子と一致したそうです。



そう。

事件のあらましは警察に任せるとして
たとえ変わり果てた姿でも
愛する人たちのもとへ戻れたら
ちゃんと供養されて本当の彼の岸へ行けるわ。



よかった・・・



これ、祖父が使っていた物です。



うん、これで十分よ。
リボンの事を教えてあげた対価なの。



あ!



うり、うり。



うん。
オ・レ・イ!



おら、おら!



なんだ?



あ・・・
ありが・・・
あ・・・
あら・・・
あ・・・
あ・・・あ・・・



ぐったりしてるかと来てみれば
無駄に元気な子供ね。



ぁ!



ありがとう・・・
助けてくれて。



いえ、良かったっす。
あの女の子もちゃんと見つけられたし。



ぁ?



いや・・・
だから、女の子が大変な事にならないで・・・



どうして、私が人間を助けなきゃならないの?



ぇ?



私が助けたかったのは紫陽花よ。
あの紫陽花は精花(セイカ)なの。
雨を司るモノの眷属(けんぞく)よ。
今は数少ない貴重な清浄なもの。
その子供と同じね。

それが死体の血で赤くなってしまって困ってたの。
死体の汚れ(ケガレ)は精花には猛毒だから。



だったら女の子は?



関係ないわ。



でも・・・



人間は尊きものを助けないのに
なぜ尊きものが人間を助けなければいけないの?

対価は後日届けるわ。



えぇ。



あ!



はぁ。
本当になんでこんなのがいいのかしら。
あの子も。



ふ。



あ、ちょっと・・・



侑子さん。
何の事っすか?



乾杯!



ちょっと、さっきの誰の事っすか?
まずい事っすか?
大変な事っすか?



あー、ビール美味しい。



枝豆も最高!



教えてくださいよ!
侑子さーん!



あーははは。
ほんとに、のび太みたい!



ですね。



おい!
のーびー太ー!