×××Holic 7 1/3

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第7話。
アジサイ



×××Holic


梅雨とはいえほんと、雨ばっかだな。
洗濯もん、乾かねぇし。
布団も干したいってのに。
あーぁ。
雨、早く止まねぇかな・・・
痛ーたたたたた。



罰当たり!
雨が降らなかったら
お米も野菜も出来ないんだっつーの!



あー・・・
はい?



喜びなさい。
四月一日 君尋。



あち・・・



あなたに命令してあげる。



はいー?!






で・・・



雨、雨
降れ、降れ・・・
もっと降れ・・・
傘がないなら葉っぱのうちわで・・・



泣きながらうちにやってきたのね。
のび太君みたいに。



泣いてません!
で、一体なんなんですか?
あの子は?



童女(アメワラシ)よ。



は?



雨を司る(ツカサドル)もの。



それって妖怪?



より、もっと格上よ。



ちょっと!
なんで簀の子(すのこ)の上に
座らなきゃならないワケ?



湿気対策よ。
で・・・
うちの四月一日に何のご用?



うちのってどういう意味だ?



やって欲しい事があるの。



それは、うちの四月一日でなきゃ
出来ない事?



そうよ。



だからうちのってどういうこと?



いいでしょう。



って勝手に!



でも、対価が必要よ。



どれくらい?



もちろん、それに見合うほど。



だから、なんで侑子さんが交渉してんだよ!
働くの、俺なのに!



いいわ。
私も雨童女
こんなとこでケチったとわかったら
こっちの世界で笑いものになっちゃう。
払いましょ。



ふん。
じゃ、あとよろしく!



丸投げかよ!






で、泣きながら来たのか?
のび太みたいに。



泣いてねぇ!
侑子さんにおまえのとこへ行けって言われたんだよ!
ったく、こんなでかい寺の息子ってどうなってんだよ!
世の中!
おれの部屋、この庭だけで何個入るんだ?
つか、台所まででかいのか?
コンロ6つぐらいあるのか!
煮物しながら揚げ物してさらに味噌汁も、その上そぼろも・・・!



あ・・・



クンクン。
クンクン。
はぁ〜。
今時珍しい清しい(すがしい)気だわ。
あー。



誰だ?



童女だと。



アヤカシとやらか?



アヤカシの類と私を一緒にするなんて
この罰当たりコンビ!



こんなのとコンビじゃねぇっすよ!



わりと痛い。



超失礼な子供だけど
これと、これならいけるかも!



なんかまた、一緒扱いされた!



うるせぇ。






で・・・
泣きながら来たんだ。
のび太君みたいに。



泣いて無いよ。
阿呆な事ひまわりちゃんに言うな!



でも、どうしたの?
急に?



あ・・・
あの・・・
ちょっと・・・
えーっと・・・
あ・・・



九軒(くのぎ)が身につけてるモンが欲しいんだ。



わ!
わぁ!
んな直球な!



あたしの?



あぁ。



あ!
この状況って・・・



何でもいいの?



おう。



んなんか、告白っぽくねぇか?
おい!
やだ!
ひまわりちゃーん!



これでいい?



これでいいんだな?



嫌だー!
ひまわりちゃんと百目鬼の野郎が
いい雰囲気なんて!



あほ。



四月一日君、いつも元気だね。






あぁ・・・
ひまわりちゃんは誰にでも優しいんだから!
おまえだけじゃないんだからな!



その理屈でいくと
おまえだけでもねぇな。



ぬ。



もらったようね。



あぁ。



なんで隠れてるんすか?



あの、ひまわりとか言う子に当てられないようにでしょ!



あ?



よくその体質であの子と仲良く出来るわね!



はぁ?



ま、いいわ。
これと、これと、それとそれも手に入った。
じゃ、お願い。



何をすればいいんすか?



助けてやって欲しいのよ。
私が何とかしてあげたかったけど・・・
無理だったの。
どうしても近づけない。

助けてやって。






ちったってなぁ・・・
おれ、変なものが見えるだけで
特に何か出来るわけでもねぇんだけどなぁ。



だったら断りゃ良かったろ?



んな事したら、侑子さんが怖いだろ!
それに、あの雨童女、なんか本当に必死だったんだよ。



ならやるしかねぇだろ?



わかってるよ!
けど葛藤とか逡巡とかいろいろあるだろ!



ここだな。



あ・・・



紫陽花・・・だよな・・・



でかいな。



紫陽花ってこんなでかくなったっけ?
おまけにこの紫陽花、赤い。



薄紫やもうちょっとピンクなのはうちの寺にもあるが
ここまで赤なのは見たことがねぇな。



で・・・
何すりゃええんだ?ここで。



ぁ?



どうした?



いや・・・
なんか・・・
悪寒が・・・
したんだけど・・・
気の・・・せい・・・かな・・・?



わからん。
おれには。



わからんのに、偉そうだな!
おい!

あ?
あ?



ん?



あ?



ひっかかったか?



うん。
無理にひっぱると花がちぎれそうで。

あ!
下のほうはもっと赤いんだな!