×××HOLiC 2 3/3

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×××HoLic



身体が・・・
動かない・・・



ぁ!






今日はもう、帰ってこなくていいって言ったのに。
それにしても病院まで付き添うなんて
あなたらしいわね。



しょうがないじゃないですか。
周りに彼女の知り合いが誰も居なかったんですから。
幸い、命に別状は無かったんですけど。



ふーん、そう。



侑子さん。
どうして彼女に言わなかったんですか?
嘘つくのやめろって。



嘘って
つくのも、やめるのも
自分の為でしょ。
人に言われて
ついたり、つかなかったり
するものじゃないわ。
それにね、
今回の事が彼女にとって
不幸な事と言い切れるかどうか?
それもわからないでしょ?



どういう事ですか?



もしかしたら・・・
一つのきっかけになるかもしれない。



きっかけ?



もちろん、全ては今後の彼女次第だけどね。






気づかれたんですね。
どうですか?ご気分は。



えぇ、大丈夫です。



つい先ほどまでここで付き添ってたんですけど
先ほど帰ってしまわれたんですよ。



え?
誰?



あなたをここまで連れてきた
あなたの弟さんだったのかしら?
眼鏡をかけた男の方で
学生服を着てたと思いましたけど。
それとも、まさか年下の彼氏さんとか?



ぁ!






一つ、聞いていいですか?



なに?



侑子さんにはあの人がどうなるか
初めからわかってたんですか?
そして、これからどうなるかも・・・
もし、そうだとしたら・・・
俺がこの先どうなるかも決まっていて
侑子さんは、それを全部知っているって事ですか?



もし、あなたがそう思うのなら
そうかもしれない。



それって・・・?



世界っていうのはね
無限に広がっているようだけど
実はすごく狭いの。
自分の見える範囲。
手が届く範囲。
感じられる範囲にしかない・・・

世界はね・・・
あらかじめ、そこにあるものじゃない。
自分で作るものなのよ。



あ、あの・・・
話が全然みえないんですけど・・・



いいのよ。
今はまだわからなくても。

ところで・・・



ぁ。



お腹すいたわ。
ご飯作って。



えぇー!!
これからおさんどんですか?!



おさんどん!

おさんどん!



そんな!
さっきまで、今日はもういいって
言ってたじゃないですか!



あなたが急に帰ってくるから
こっちも気が変わったのよ。

そう言えば・・・
いつまでも、
あなたって呼んでいるのも
なんだか他人行儀ね。



いや、普通に他人だと思うんですけど。



これからは、フレンドリーに
四月一日(ワタヌキ)って呼ぶことにするわ。



呼び捨てかよ!
それも苗字かよ!
ちっともフレンドリーじゃねぇし!



四月一日
私、鯛茶漬けが食べたい!
それからヒレ酒も。
ヒレはちゃーんとあぶってね!



はぁ・・・






まったく、侑子さんったら・・・
またもや、マニアックなオーダーするんだもの。



鯛茶漬け!

鯛茶漬け!



鯛茶漬け!

四月一日
おい!
四月一日



なんだよ!
今、忙しいの見てわからないのかよ!



ヒレ焦げてる!



焦げてる!

焦げてる!



え!?

うわぁー!!



だから言ったのにぃ!



だから笑ってないで
た、た、助けろ!
火、火消して!
火、火を消す!






ほんとにいいバイト君が入って良かったわ。
なんだかんだ言ってよく働くし
マルとモロの面倒も見てくれるし
モコナとの相性も悪くないみたいだし。
四月一日(ワタヌキ)君尋(キミヒロ)・・・

これから、ゆっくり時間をかけて作っていきなさい。
自分自身の世界を・・・