闇のパープルアイ 第9話。

闇のパープルアイ 第9話。



第9話。
倫子の死!そして17年後・・・



闇のパープルアイ 第9話




綺麗だよ。倫子。



チーズ。



倫子!



あなたの命も短いようね。



麻衣!
麻衣!



ほんとに面白い素材よね。
生まれてまだ1ヶ月も経たないのに
こんなに大きくなって。



麻衣だけは助けて。



獣はあんたよ。
おばさま。



由佳。



発信機をつけといた甲斐があったわ。



抱いて。



ありがとう。慎ちゃん。
私はもう、これで十分に幸せ。
もう何も望まない。
これで私は命を賭けてあの女と戦える。






曽根原、こんどこそはっきり決着をつけてやる。
絶対に逃がさない。






倫子?

倫子!

まさか・・・






おかしいわ。
発信機は確かにこの辺りを示しているのに・・・



倫子。



残念だったわね。
麻衣はここに居ないわ。



あたしをどうするつもり?



あなたを殺す!



うふふ。
今のあなたにあたしを殺せるかしら?
変身するならして御覧なさいよ。
変身には膨大なエネルギーが必要よね。
弱ったあなたにそれが可能かしら?
あたしが気づいてないとでも思ったの?
あなたの身体のことはあたしが一番よく知ってる。



黙って。
殺してやる。
麻衣に手出しをする奴は誰だって許さない!



たとえ変身は出来なくても
あなたを生かしておくわけにはいかないわ。



あ、あ・・・

う・・・



所詮豹に変身できないあなたなんか
あたしの敵じゃないのよ。
どうやら死ぬのはあなたのようね。



は・・・あ・・・う・・・



あなたのベビーはあたしがちゃんと面倒をみてあげるから
安心して死になさい。






倫子!



倫子。
大丈夫か?
しっかりしろ!

勝手な事しやがって。



こうするしか無かったの。
麻衣のためには・・・
こうするしか・・・



倫子。






大崎診療所。
内科 小児科 外科



慎ちゃん。
ずっとついててくれたんだ。



当たり前だろ。



麻衣は?



あぁ、元気だ。
なぁ、約束してくれ。
もう無茶はしないって。
言っただろ?
おまえの命は神様が決める事だ。
麻衣のためにも倫子は生きなきゃ駄目なんだよ。



迎えの方がいらっしゃったようだ。
学校のほうに連絡させてもらったよ。



パパ。



倫子。
無事で良かった。



ごめんなさい。
心配かけて。



パパ!



産まれたのか?



そうよ、パパ。



女の子です。
麻衣と名づけました。



麻衣・・・



舞子の麻衣よ。






変わってない。
パパ、ずっとこのままにしておいてくれたんだ。
舞子、あなたの名前をもらったのよ。






あの・・・
倫子を責めないでください。
全ては僕に・・・



いいよ、慎也君。
もう、何も聞かないよ。



え?



何も聞かない。
なんだか、また倫子がどこかへ行ってしまいそうな気がしてな。
昔からあの子はそうだった。
学校で嫌な事があっても
そんな事、これっぽっちも顔に出さない。
親に心配をかけまいとするんだ。
少しは心配をかけてくれたほうが
こっちは嬉しいんだけどな。



わかるような気がします。



そうか・・・
もうおまえたちも親だもんな。



パパ。



ミルク来たのかい?



うん。
もう大丈夫。
それより、麻衣のミルクを。



パパ・・・



パパだってなおまえ達にミルクをあげてたんだぞ。
おしめだって替えてた。
よく泣く子だったな。



麻衣ちゃん、
麻衣ちゃん、泣かないの。
麻衣ちゃん。



おー、さすが母親だな。
ほら。



パパがミルクあげて。



え?
パパが?



初孫でしょ?
ほら、ちゃんと抱いてあげて。



そうだな。
よし、おいで。



麻衣ちゃーん。



ほら。
はい。

ほーら、美味しいね。



これからもずっと可愛がってあげてね。



なーに、言ってんだ。
当たり前だろ。



ほーら。






おっはよう、倫子。



慎也から聞いたんだ。
戻って来てるって。



学校行くぞ。



え?



今日、卒業写真撮るんだって。



でも・・・
あたしたちずっと・・・



平田先生が学校とかけあって
ずーっと病欠扱いにしてくれてるんだってよ。



来いよ。
由佳が生きてれば無理にだって連れてくって言うぞ。



裕介。






すいませんでした。
いろいろ迷惑かけて。



その代わり、ちゃんと卒業しろよ。



はい。



これでも教師だ。
みんなが元気に卒業してく。
それを見るのが一番嬉しい。



じゃぁ、いくよ。
はい、よし。



おい、みんな!
スマイル、スマイル!
1分はスマイルだぞ。






ごめんね。



何が?



由佳のこと。



あいつさ、笑ってたよ。
俺にはそう見えた。
少なくても誰かを恨んで死んだ顔はしてなかった。



あー。



感謝しろよ、ご両人。



由佳もアルバムに入りたかったよね、きっと。



ねぇ、誰か由佳の写真、持ってないの?



おい、裕介。



わかってるよ。
ほら、ほら。
俺もそう思ってたんだよ!



何だよ、もっと早く出せって。



そうだけど・・・






ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。






ありがと。



あたし、もうやめます。
倫子先輩たちの秘密探ったりするの。
変身人間だとか、何だとか
そんなの知ったって先輩には勝てそうにないですから。



緑川さん・・・



あたし、変わりました?
変わったの。
先輩と麻衣ちゃんのせいですよ。



緑川さん、ありがと。



水島先輩。
倫子先輩の事、大切にしてあげてくださいね。



もう、あたし
学校には二度と来れないと思ってた。
でも、来れて良かった。
神様に感謝しなくちゃね。

慎ちゃん。
あたし、今度変身したら
もう生きて戻れないと思う。



倫子?



わかるの。
だって私の身体だもの。



おい、そんな事考えるなって。



田切さんを見てて
覚悟はしてたんだけど
やっぱりちょっと怖かった。

でも、もう怖くないよ。
麻衣や、慎ちゃんが
ずっと幸せでいるなら・・・
もう怖くなんかない。



倫子。



きっと死ぬ時だって
笑顔でいられると思う。



俺はいやだ!
絶対にやだぞ!
俺は倫子と一緒に麻衣を育てていきたい。
家族三人で幸せに暮らせる日が必ず来るって。
倫子・・・



今だけ・・・
少しだけ・・・
慎ちゃんと一緒に居させて。
お願い。



ありがとう、慎ちゃん。
でも、あいつが・・・
曽根原が生きている限り
麻衣に幸せなんてやってこないのよ。



りーんこ。
これ、渡すの忘れてた。



倫子、やっぱり一番いい顔してるね。






先生、今日は?



ちょっと近くに寄りましたもので。



あ、あの
倫子は学校のほうに。



いいんですよ。



え?



まぁ、かわいらしい赤ちゃん。
とても獣の血が混じっているなんて思えないですわね。



え?



ご存知なかったんですか?
倫子さんの秘密。






まさか・・・
そんな馬鹿な事・・・



ありえない。
そう思いたいのはわかりますわ。
でも、ありえない事が実際にあるから
この研究に価値があるんですの。



倫子をいったいどうするつもりなんだ!



もう倫子には用は無いんですの。



おまえは何考えてんだ!



あんた、今までずっと倫子を・・・
う・・・






赤ちゃんの声!






かわいそうなの。
変身人間の娘を持ったばかりにね。



麻衣・・・






麻衣だわ。
麻衣の声が聞こえる。



何にも聞こえないけど?



麻衣!



ちょっと、倫子。






うるさい子ね。
泣きやみなさい!






パパ!



倫子、
曽根原が・・・
麻衣や・・・
パパはいいから・・・
早く・・・
麻衣を・・・



だって、パパ!
すぐ救急車呼ぶから。



パパ、しっかりして。
もうすぐ病院着くからね。



倫子・・・
おまえ・・・パパの前で・・・
ずっと普通の娘で・・・



え?



普通の娘で・・・
居ようとしてくれたんだな。



パパ。



つらい事隠して・・・
最後まで・・・
隠し通そうとして・・・
それなのに・・・



倫子・・・
パパを許してくれるか?



何、言ってんの!
当たり前でしょ?



ありがとう。
ママに伝えておくよ。
倫子は・・・
素晴らしい・・・
娘に・・・
成長したってね。



こちらでお待ち下さい。



パパ。






手を尽くしましたが・・・



パパ?






麻衣の声が聞こえる。






うるさい子ね。
イライラさせないで頂戴。

うるさい!
いつまでも泣き止まないと
手術して泣けないようにしてやるわよ!






あいつ、やっぱり一人で麻衣を・・・






麻衣。

今度変身すればもう、生きては戻れない。
でも、あと一度。
あと一度だけ変身できる力が欲しいの。






泣き声が止んだ?

倫子ね。
どうあっても倫子は始末しなければいけないようね。
出て来い。
と言っても無駄なようね。

純血種のベビーが水の中で何分もつか
試してみましょうか?
おほほほほ。



やめて!

麻衣!
大丈夫?
麻衣!



ご苦労様。
あたしが純血種のこの子を殺すとでも思った?
でも、あなたには死んでもらうわ。
あなたが居るとどうも研究に集中できなくてね。



あなたはパパも殺したのよ!



そう、研究に犠牲はつき物よ。
10人や20人の犠牲者はこの研究にあって当然だわ。



残酷すぎる。
あなたなんて・・・
獣(けだもの)以下よ!



変身するならすればいいわ。
でも、またすぐに人間に戻っちゃうんじゃないの?
傷だらけの子猫ちゃん。



許せない!



赤ん坊を渡しなさい!
ベビーを怪我させたくないのはあなたも同じでしょ?



変身させて。
初めて自分から願うのよ。
豹に変わらせて。



変身人間を殺してしまうのは
少しもったいない気がするけど・・・



駄目だ。
一番変身の必要な時に・・・



もう変身する力も残ってないようね。
倫子ちゃん。
このくらいで致命傷になるかしら?

さすがに即死はしないようね。
トカゲでも頭に穴が開けば死ぬわ。
これが最後よ。



まだ死ねない。
麻衣。



うふふふふふふ。
ホホホホホホホ。



麻衣!



何?
どういう事?



麻衣?



純血種のパワーって訳ね。
赤ん坊のくせにたいしたものじゃない。



麻衣!

やめて。
麻衣には手を出さないで!



あなたにはここで焼け死ぬのがお似合いよ!
さよなら。倫子。



麻衣!






この子の仕業ね。






倫子!
大丈夫か?



麻衣。



慎ちゃん。



倫子。
しっかりしろ。



あたしは大丈夫だから
麻衣を助けて。
まだ遠くへは行ってないわ。



勝手な事しやがって。



ほんとに大丈夫だから。
早く麻衣を。
お願い。



倫子。
ここに居ろよ。
すぐ戻ってくるからな。



慎ちゃん!
大好きよ。



俺が戻るまでちゃんと待ってろよ。



変身したい。
初めて自分からそう願うのに
どうして?
田切さんは自分で変身をコントロールしてたのに。



呼吸を合わせろ。

呼吸を合わせろ。



ありえない事だとわかってる。

これはもう、居ないはずの人の気配。



呼吸を合わせろ。



でも、この気配は忘れない。



呼吸を合わせろ。

呼吸を合わせろ。



田切さん。






目を閉じて。
俺の呼吸に合わせるんだ。



何も考えずに
ゆっくりと・・・
俺に合わせるんだ。
そうだ。
ゆっくり・・・
ゆっくりと・・・



お願い。
お願い、変身させて。
これが最後でもかまわない。



一息ごとに身体がよみがえっていく。
細胞の一つ一つが動き始める。
あ、これだ!
わかった。
わかったわ。小田切さん!



身体の奥で
古い熱い血がよみがえり
身体と心が溶けていく。
解き放たれる。
そして・・・
私のパープル・アイが、目を覚ます。






さすがの倫子も力尽きたようね。



動くな!
力じゃ俺のほうが強い。
なんだったらこのまま絞め殺してもいいんだぜ。



慎也。



銃を捨てろ。
そして麻衣をこっちへ渡すんだ!
早く!



甘いわね。
そんな事で私が殺せるとでも思ったの?
私の研究を邪魔する者は誰だって許さない。



どうしてそんなに研究にこだわるんだ。
倫子と麻衣を見世物にする研究がそんなに大事だっていうのか?



そうよ。
こんなに珍しい生き物がどれほど貴重で
どれほどセンセーショナルなのか
どうしてこの研究の意義がわからないのよ!



意義も研究も俺には関係ない!
俺には倫子と麻衣が居ればそれだけで十分なんだよ。



根本的な考え方の相違ね。
さぁ、赤ん坊を渡しなさい!



倫子!



倫子!



倫子!



待って。
あなたと刺し違える気は無いわ。



あ!
目が・・・
目が・・・



なぜ?
なぜまだ立ってられるの?

いくら変身人間でも
そんなはずは・・・

そんな馬鹿な・・・



やめろ!
倫子!



倫子!



あーーーー!!!



倫子!!






あー、パンツ見る気でしょ?



ばーか。
おまえのパンツは幼稚園の時に見飽きたよ。



食えよ。
おまえは豹だ。



出てって!
もう、二度と顔なんか見たくない!



こんなあたしでいいの?



おまえがどんなに変わろうと
俺は倫子の事がずっと好きで居られるって。



慎ちゃん。



おまえ、一体何が目的なんだよ!



プロポーズしたんだよ。



馬鹿な事、考えるな!



さよなら、慎ちゃん。



やめろ!



大丈夫か?倫子。



大丈夫じゃないよ!



綺麗だよ、倫子。



抱いて。






倫子が死んだなんて
まだ信じられない。
いや、絶対に信じない。

このままじゃ終われない。






17年後。



パパ、パパ。



あ、麻衣か。



駄目よ、そんな格好で寝てちゃ。
身体壊しちゃうよ!



すまん。



こんなの散らかしちゃって。
どうせまたママの夢でも見てたんでしょう。



麻衣は覚えてないもんな。
ママのこと。



あったりまえじゃない。
先行くよ。
パパに付き合っていたら遅れちゃうよ。



麻衣。



でも、ママの匂いだけはわずかに覚えているような気がする。






きったねぇ。
なめんなよ!



やった!
麻衣が怒った!



これで勝てる!



いけ!
頑張れ!



やったー!



連敗ストップよ!



麻衣のおかげだわ。



楽勝、楽勝!



水島麻衣。
今に見てなさいよ!






いい気なもんね。
それでヒロインのつもり?



尾上さん。
何かよう?



練習無しでたまに試合に出られたんじゃ
迷惑なのよ!



だって、どうしてもって頼まれたんだもん。



いい気になるんじゃ無いわよ!



何すんのよ!



何よ、これ。



それは・・・



こんな牙みたいのがそんなに大事なの?



ママの大切な形見なの。
返してよ!



返して欲しければ力づくで取ってみれば?

来て。
マサル



きったねぇ。



二度と生意気な口きけないようにしてやって。



まだガキじゃねぇか。



どうやって可愛がってあげようかな?



すごい殺気。
あたしを殺すつもりだったの?



え?
目が紫!



待って。



見られちゃった。






塀に飛び乗るのを見られた?



うん。



まったく。
おまえはコントロールがきかないんだな。
だからバスケもやめろって言ったんだ。



パパ。



ん?



いい加減に教えて欲しいの。
あたしは一体なんなの?

自分が普通の人と違う事ぐらいわかってる。
小さい時から、それ隠すの必死だった。
ねぇ、パパ
あたしの身体って一体・・・



麻衣。
麻衣、ペンダントはどうした?



あ・・・
ちょっと・・・
友達に貸してて・・・



麻衣。
あれはな、人に貸したりするもんじゃないんだ。



わかってる。
明日ちゃんと返してもらうから。



ほんとに大切にしろよ。



麻衣。
いつか話すときが来るかもしれないが
今は駄目だ。

じゃ、出かけてくる。
今夜も宿直なんだ。






ママはどうして早く死んじゃったんだろう?






あの子って絶対普通じゃないわ。



いいじゃんかよ。
もう、その事は。



ほっとけ、あんなガキ。
飲みに行こうぜ。



う!



キャー!!






慎也さん、こんばんは。



おう。
何だよ、またやな死体でも解剖したのか?



慎也さんこそ、またDNAとにらめっこですか?



法医学のほうの宿直がおまえだって知ってたら断るんだったよ。
おい。



それにしても慎也さんの研究熱心にもあきれたもんですよね。



なんだよ。



娘さんの血液まで採取してるんでしょ?
それって尋常じゃないっすよ。



おまえに説明したってわかんないだろうな。



田村先生!
警察からの依頼で至急
司法解剖お願いします。



遺体はどんな様子だ?



全部で3体見つかったそうですが
みんな獣に食われたように滅茶苦茶なんです。



倫子が・・・
倫子が初めて変身したのも
今の麻衣くらいの頃だった。
まさか・・・
麻衣が・・・






何の匂い?



あれ?

どうして?



あ!

どうして?
なんで血なんか?

どうしてここに?



もしもし、麻衣か?



パパ?



そっちに何か変わったことは無いか?



パパ
あたし、わかんない。
気がついたらベットに血がついてて。
どうしてなのか、わかんないの。



麻衣、落ち着け。
落ち着くんだ。
今晩、どこかへ出かけたか?



ううん。
さっきまでずっと眠ってた。



麻衣。
すぐに帰るから、じっとしてるんだぞ。
いいな。






あいつが変身して人を殺したなんて事はあるはずが無い。
頼むから、倫子の二の舞だけは・・・






何が起こっているの?
なんで、パパ
慌ててたの?

わからない。
この血は何?
あたしの周りに何が起こっているの?



あたしは一体なに?