闇のパープルアイ 第1話。

闇のパープルアイ 第1話。


第1話。
私は豹だ!?少女が知った運命。



闇のパープルアイ 第1話



嫌!


倫子!


私に触らないで!


イヤー!


不思議な形のあざね。


あ、生まれつきなんです。


誰か、誰か助けて!


*****



この痣は生まれた時から薄く左の腕にあった。
それが最近だんだん濃くなってきたような気がする。






パパ、舞子
早く起きないと朝ごはん無しだよ!



おー、何だよ。
今日はいつもより早いか?



同じよ。
あたしなんか1時間も前から起きているんだから
ぶつくさ言わないの。



いつも、いつも倫子さまにはご苦労をおかけいたします。



慣れたわよ。
ママが死んでもう2年になるし。



そうか、慣れたか。



調子にのらないの!
お腹出るの気にしてるんでしょ!



おい。



おはよう。



なんだ、またトーストに目玉焼き?



舞子。



ママが生きていた頃は
毎朝炊き立ての あったかーいご飯にお味噌汁。



そ、味噌汁の具も毎日違ってたしな。



それに、金平とかほうれん草の胡麻和えとか。



嫌なら食うな!



いただきます。



行って来るぞ。



お先。



行ってらっしゃい。



あっつー。
ドッジー



なぜだか血が、たまらなく甘い。






ま、気にする事ないか。



また、そんなとこで道草かよ。



なんだ、慎ちゃんか。



なんだじゃねぇよ。
おまえ、この頃どうしちゃったんだよ?



何が?



ちょっと変なんじゃねぇのか?
なんかあるとすぐ木の上登ってるだろ?



だって落ち着くんだもの。



そんなとこで落ち着くなって。
まぁ、わかったから降りて来いよ。
遅刻するぞ、遅刻。



あー、パンツ見る気でしょ?



ばーか。
おまえのパンツは幼稚園の時に見飽きたよ。



行こう。



おう、早くしろ!






おはようございます。






1時間目から体育とかいってうざくない。



第一、あんなの飛べるの人間じゃない。



ほんと、あっちなら任せろって感じなんだけどな。



ふける?



いいかもしんない。



はぁ、いっときますか。



うそ。



ラクル。



なんで?



尾崎ってあんなに運動神経、良かったっけ?



いやぁ。






由佳。ちょっと来て来て来て。



人間、なんか一つ取り得があるもんだね。



馬鹿にしてもらっちゃ困るよ。



淳史大先生お願いします。



由佳のもお願い。



あたしのもよろしくお願いします。

頑張って。



俺のもよろしくね。バイバイ。



ちょっと・・・






あんなのに噛み付かれたらハンバーガーだよ。



由佳の肉はうまそうだな。



おい、おい、待ってよ。



その時、私の中で眠っていた何かが目を覚ましてしまったことに
私はまだ、気づかないでいた。





*******






待てよ、こら。



慎ちゃん。



倫子。



水島、逃げる気か?



この落とし前はどうしてくれるんだ?



知らねぇよ。
お前が勝手に怪我したんじゃないか。



うるせぇ。
こっちはおかげで停学くらってんだ。



お前、このままで済む思ってんのか?



向こう行ってろ。



ちょっとやめてよ。



女の前じゃかっこいいんだな。



てめぇみてぇのがよ一番ムカつくんだよ!



なんだ、この野郎。



おいおい、立てよ、こら。



やめて!



倫子!



慎ちゃん!



おまわりさん!こっちです!
こっちで喧嘩です!
おまわりさん!



慎ちゃん。



大丈夫?



あの、おまわりさんは?



うそ。
とっさの思いつきにしては上手くいったみたいね。

ほんとに大丈夫だった?



えぇ、すいません。



ありがとうございます。



良かった。
弱肉強食は野生の動物だけで十分よね。
じゃぁ。



慎ちゃん。



おい。

やめろって。



あ、何やってんだろう。あたし。






ねぇ、ねぇ、ねぇ。
生物の新しい先生、来たんだって。



どんな?



期待しないほうがいいよ。



席について。

はい、みんな静かに!
静かに!
じゃ、どうぞ。



やった、女だよ。



はい、静かに。
え、産休の西田先生の代わりに臨時講師として大学のほうから来ていただいた
曽根原薫子 先生です。



じゃ、先生。
後はよろしくお願いします。



え、曽根原です。
教壇に立つのはこれが初めてなので
皆さんと一緒に勉強していきたいと思ってます。
ぁ、なんか緊張しちゃうな。



おい、おい。

かわいいねぇ。



とにかく、よろしくね。



先生だったんだ。



え?なに?



ほらね、葉の養毛がはっきりと見えるでしょ。

ちょっと動かしてみて。



水島君ってさ、年上の女に弱いんじゃないの?



あんたの裕介君のほうが危なそうよ。



うちは全然大丈夫よ。
しっかり結ばれてるからさ。
いろんなとこが❤



なによ、授業中に。



あたし、前々から聞こうと思ってたんだけどさ
あんたたちって、やっちゃった?



いきなりダイレクトね。



Aくらいはとっくなんでしょ?



プップー。



じゃ、まだ全然?



いいでしょ、そんな事、どうだって。



やってる。



そんな事って何?

ちょっと貸してごらんなさい。

不思議な形のアザね。



ぁ、生まれつきなんです。



そう。
あなた名前は?



尾崎倫子です。



仲良くなれそうね。






はい。



サンキュー。



倫子。






新入生のくせに大胆だよね。
緑川園子って。



そりゃおんなじ部だもの。
話ぐらいするでしょ。



それってチョー甘いよ。
ありゃ完璧に慎ちゃん狙ってんねぇー。






倫子!

なぁ、おまえ明日あいてるか?



コンサート?



うん、なんか谷口が行けなくなったらしくてさ。
強引に買わされちゃって。



他に居るんじゃないの?
誘う人が。



おい、緑川の事か?
言っとくけどな、俺あいつの事別に興味ないぞ。



へぇ〜。
そうなんだ。

しょうがない。行ってやるか。



しょうがない。
連れてってやるか。

じゃぁ、また明日な。



慎ちゃん。



うん?



ちょっと寄ってく?



うん。






あっつー。



猫舌は相変わらずだな。倫子。



ほんと、困っちゃう。

おじさんが転勤してから始めてだよね。
この部屋来るの。



え?
あ、そうだっけ。



あ、写真見る?
こないだみんなで・・・

近くで見ると変な顔。



茶化すなよ。



ちょっと冗談。



冗談じゃないって。



慎ちゃん。

熱い。
左の腕が、やけに熱い。

やめて!

ぁ、ごめん。



謝んなよ。

俺さ、その場の雰囲気だけでキスしようとしたんじゃないからな。

なんて言うのか、その・・・
この先、倫子がどんな風に変わっても
倫子への気持ちはずっと変わらないから。



慎ちゃん。






やっと色気づいたか。



ノックしなさいって!



慎ちゃんとデート?



慎也さんって言いなさいって言ってるでしょ!



ついてっちゃおうかな?



舞子。



うーそ。
お得な情報教えてあげようか。



何よ。



パパね、入稿前で今夜会社に泊まりなんだって。
じゃぁね♪



何がお得よ。






うっ・・・






まったく何やってんだよ。






こらぁ。



やめて!
離して!



大丈夫だよ。



じっとしてろ!



やめて。

何するの?

来ないで!



ぎゃんぎゃん吠えんなよ。



水島が見たらさぞ喜ぶだろうな。



たまんねぇな、おい。



これ以上、近づかないで!

いやぁ!



てめぇ、何蹴ってんだよ!



騒ぐなって言ってるだろ!



来ないで!

放して!

嫌!放して!



いいから楽しもうぜ。
水島には黙っといてやるからよ。



いやぁー!!



おい、まだあいつ来てねぇ。



関係ねぇよ。



いや、いやぁ。



待て。こら。






まさか・・・






出て来いよ!



うわぁー!






何だよ、これは・・・



これは・・・
倫子?
倫子!

倫子!
倫子!

倫子?
倫子!

倫子!
倫子!






慎ちゃん。

うそ。

見ないで!



おい、これ着ろよ。



ここ、慎ちゃんの部屋?



他に連れてくとこ あるかよ。



慎ちゃん。
あたし、吉岡君たちに捕まって・・・



吉岡たち、三人とも死んでたよ。



え?



目茶目茶に引き裂かれて・・・
殺されてた。



あたしじゃない!
あたし、殺してなんか・・・



わかってるさ。



あいつら、お前に何した?



慎ちゃん。

違うよ、違うよ。
確かに吉岡君たちに襲われそうになった。
でも、それ以上は何も無かった。
ほんとよ。
信じて。



わかった。
信じるよ。



慎ちゃん。



とにかく今日は帰ったほうがいいよ。
送ってく。






駄目だ。
あの後が思い出せない。
まさか・・・
まさか、あたしがあの三人を殺した?






お姉ちゃん、やってくれるじゃ。



何を?



初めての朝帰り❤



あのね、舞子。



ただいま。



大丈夫。
心配しなくてもパパには黙っててあげる。



お帰り。



お。



はい。



いやー、しかしあれだなぁ。
最近はひどい事件がよく起こるなぁ。



何、なに?



ほら。



高校生3人、虐殺!!
夜の倉庫街。
猛獣の仕業か!?



うっそう。
これ、うちの学校の人だよ。



え?



ねぇ、お姉ちゃん、知っている人じゃない?



吉岡 剛さん。
西島 秀雄さん。
加藤 修治さん。



ほら。



さぁ。






こっちから入って。



ご苦労様。



おはようございます。



こちらがですね、
殺された三人の高校生が通っていた学校です。



はたしてこれが殺人事件なのか?
それとも何処からか逃げ出した猛獣による物なのか?
事件は謎に包まれています。



おはようござます。



ねぇ、ねぇ、今朝のニュース見た?
吉岡君たち殺されたんだって?



猛獣の仕業だって。



怖ーい。






昨夜はちゃんと眠れたか?



うん、大丈夫。心配しないで。



そっか。良かった。
あれから何か思い出した?



ううん、何も。



俺さ、やっぱ警察に言おうと思うんだ。



やめて!



どうして?



倫子の事は何も言わない。
約束するよ。



とにかく、昨日の事は誰にも言わないで!
お願い!






このアザだ。
このアザが濃くなってから、おかしな事ばかり。



先輩。

あいつらやったの、倫子先輩でしょ?



馬鹿な事、言わないでよ。



冗談よ。
でも、殺されたの吉岡さん達だって聞いた時
なぜか先輩の顔が浮かんだの。



変な推測はやめてよ。



だって、あいつら水島先輩の事
追い回していたんでしょ?
怪我までさせたって聞いた。
あたしだったら絶対そんな奴ら、許せない。
死んで当然よ。



あなた、何が言いたいの?



あたし、水島先輩の事が好きです。
いくら先輩が幼馴染でもその気持ちは譲れません。
それだけ。



倫ー子ちゃん。
どうしたの?
調子悪い?



ううん。



まぁ、今日は学校中がさ、ただならぬ雰囲気って感じだからね。



あー!
あたしさ、吉岡君たち殺したの知ってるよ。



マジで?



あれはきっと、狼男の仕業よ。



勘弁してよ、もう。



だってさ、他に考えようが無いじゃない。



はい、はい。






えー、このように長年の観察からド・フリースは
生物の進化は突然変異と自然選択が働いて起こる
突然変異説を発表したわけです。

ちなみにこれが、人間のDNA。
さまざまな遺伝子情報を持つこのDNAの突然変異が
生物の進化に重要な意味を持つという説もあります。



先生。



何?



じゃぁ、条件が揃えば人間も突然変異する可能性はあるんですか?



それは・・・
まだ人間が進化するか?ってこと?



そうじゃなくって、たとえば
突然、狼男に変わるとか・・・



なに、紀子。



それはちょっと飛躍しすぎね。






見た?



見てない、見てない。



あ、倫子。
曽根原先生、呼んでるよ。



私を?






今日、元気なかったみたいだけど、なんかあった?



え?



ほら、尾崎さんと水島君とは
あんな出会い方しちゃったから、なんか気になっちゃって。

完全なえこひいき。
教師、失格ね。



先生は覚えてます?
あの時、喧嘩してきた相手。



あの男の子たち?



昨夜、殺されたの
あの三人なんです。



あぁ、それで変に疑われたりしないかって心配してるの?



えぇ、まぁ。



だったら、気を回しすぎよ。
あれって猛獣の仕業なんでしょ?

そんな事一人で気にしてないで。
でも、話してくれて嬉しいわ。
これからは何でも先生に相談して頂戴。



先生に?



先生と生徒じゃなくて
同じ女同士として。

ね。






ねぇ、お姉ちゃん。
生物は曽根原って先生だっけ?



うん、そうだけど。



あの先生、なんかちょっと変じゃない?



そう?



今日、突然呼び止められて
あなたが尾崎さんの妹さんって。
ジロジロあたしの事見るの。



曽根原。



パパ、知ってるの?



いや、お前たちの高校の大学に
確か曽根原って言う生物学の教授が居たなと思って。



どうしてパパが?



うん、以前うちの出版社で曽根原教授に執筆を依頼したことがあるんだ。



先生も確か大学のほうの研究室に。



じゃぁ、もしかしてその娘?



まぁ、よくある名前じゃ無いからな。

生物学者としてはかなり権威のある教授だったんだけど
晩年、変な研究を始めてから学会からボイコットされたんだ。
最後はかなり哀れだったみたいだな。



変な研究って?



おう、狼男やら何やら、獣に変わる人間の研究だよ。
ま、変人扱いされるのも無理ないけどな。






人間が獣に変わる研究。
そんな事、本当にありえるの?
目が・・・あたしの目が・・・






倫子!



あたしの身体が獣に・・・
まさかそんな事・・・
そんな事、あるわけ無い。






曽根原さん、ですね。



あなたは?



こりゃ失礼。
あいにくお行儀良くやってると食えないもんでね。



ルポライター
田切 貢



ルポライター
そんな方があたしに何のご用ですか?



今俺はおたくの学校の生徒たちが惨殺された事件を追っている。



それがどうかしました?



このネタ、書きようによっちゃぁ高く売れる事は
あんたが一番よくご存知だ。
曽根原教授の、お嬢さん。



何か人違いなさっているんじゃありません?
失礼します。






曽根原先生。



尾崎さん。
どうかした?



あの・・・
先生にちょっとお話が。



いいけど、放課後でいいかしら?



はい。






凄い雨。

先、行ってて。



じゃぁね。






どうかした?
彼氏と喧嘩でもした?



いえ。

先生のお父さんって生物学の教授だったんですか?



そうよ。



人間が獣に変身する研究をしてたって
本当なんですか?



よく調べたわね。

変身人間は存在する。
これが父と私の研究テーマだった。



そんな・・・



そうよ。
凡人には到底信じられないことよね。
でも、父は違ってた。
遺伝子の研究をしていた父は
やがて、突然変異の研究に没頭し始めた。

そして、人間の細胞組織をも変える
突然変異の可能性を理論的にまとめあげた。



そんな・・・
信じられません。



じゃぁ、これを見ればきっと信じられるわ。



こっちへ来て。

入って。



先生!
これは?

先生!
先生!



まだわからないの?
変身人間は存在する。
それを証明するのは尾崎さん、あなたなのよ。
父は結局、変身人間の存在を実証できずにこの世を去ったわ。

でも、これだけはわかってた。
変身能力のある人間には
身体のどこかにそれらしいアザがある。



アザ?



あなたこそ
あたしが捜し求めていた変身人間なのよ。
やっと、やっとそれを証明する時が来たのよ。

あなたも本当は気づいているんでしょ?



違います。
私はただの人間です。



じゃあ、この間の三人を殺したのは一体誰かしら?



まさか・・・



そうよ、彼らにあなたを襲わせたのはこのあたしよ。
あたしがほのめかしたとおり彼らは、あなたを襲った。
そして・・・
獣に変身したあなたに殺されたのよ。



うそ。
うそよ。



彼らがあせって、あたしが着く前に
あなたを襲っちゃったのは計算ミスだったけどね。



ひどすぎる。



これを御覧なさい。



慎ちゃん!



薬を嗅いで眠っているだけよ。
あの夜の事件について話があるって言ったら
とんで来てくれたわ。
なかなかいい男ね。



何をする気?



大丈夫よ。
彼にもあなたにも危害は加えないわ。



いやー!



変わりなさい。
本性を表すのよ。
あなたの中に眠っている獰猛なけだものの血を表すのよ。



いや。

いやだ。
変わらない。
私は人間よ。
普通の女の子よ。



変身したのね。
尾崎さん。
大丈夫よ。
これは麻酔銃。
ほんの少し眠ってもらうだけよ。

間違いない。
彼女は豹に変身した。
あたしの大切なモルモット。
必ず手に入れてみせる。



今のは?
あ、いて。
あ、先生。
あの、これは一体?



大丈夫?
すぐに手当てしてあげるわ。



い、今のは何ですか?
それに、どうして僕はここに?



実験動物が逃げ出しただけよ。
あなたは何も心配する事はないの。



実験動物って?
まさか吉岡たちを殺した・・・



そうかもね。



じゃぁ、警察に連絡したほうが・・・



待ちなさい。
言うと困るのは尾崎さんよ。



え?



今日の事は二人だけの秘密にしない?



どうして倫子が?
先生は僕に何を?



こんな事、尾崎さんが知ったらどう思うかしらね。






あたしの部屋。
やっぱり・・・
やっぱり豹に変わっちゃったんだ。

慎ちゃんの血の匂い。
あたし、慎ちゃんまで襲ってしまったんだ。



お姉ちゃん?
お姉ちゃん、いつの間に帰っていたの?
慎ちゃん、来てるわよ。






あなたは・・・



覚えていただけたみたいですね。



人違いだって言いましたよね。
まだ、あたしに何か?



実は、あんたに見てもらいたい物があってね。

これもあんたじゃないって言うのか?
これ以上、尾崎倫子に近づくな!
これは俺の大切な飯の種なんでね。



目的は?
お金?



これは警告だ。
おとなしく聞かないとあんたの身の為にならないぜ。






どっか、出かけてたのか?



ううん。



倫子、何か隠してないか?



何も。



曽根原先生と何があった?
実験動物って何だ?
吉岡たちを殺したのは曽根原先生の実験動物だそうだ。
先生は言うなって言ったけど、俺は警察に通報しようと思う。



駄目!



どうして?



お願い。
それは駄目なの。



何だよ、そんな事ってあるかよ。
さっぱりわかんねぇよ。
どうして何も話してくれないんだ。



お願い、慎ちゃん。



俺ってそんなに頼り無いか?



慎ちゃん。



倫子。



お願い。
もうこれ以上、何も聞かないで。



もういい。
勝手にしろよ。



言えないよ。
慎ちゃんには。
慎ちゃんには絶対に知られたくない。



豹に変身すると言う秘密。
その秘密を一番知りたがったのは
あたしの愛する人だった。
しかし、それはこれから私に降りかかる恐ろしい運命の
幕開けに過ぎなかったのだ。