灼眼のシャナ9 1/3


恋と欲望のプールサイド





弔詞の詠み手と呼ばれるフレイムヘイズとの激しい戦いの中で
シャナは新しい力を得た。

勝利、そして別れ。

だけどその時の僕には知るよしもなかった。
シャナの新しい戦いがすぐ間近にせまっている事を。



銀は追うな。
あれは追うだけ無駄な物だ。



かげんをしてくれよ。



自分から言い出したんでしょ。



そうだけど・・・



たまたまだよきっと。
大丈夫。きっと違う。






暑ーーい
ほんとに暑い。
なんで朝からこんなに暑いんだよ。



夏が暑いのは当たり前でしょ。



だけどさ・・・



だいたい、おまえ
たるんでいるのよ。



朝の鍛錬も毎日続けていても全然上達しないし。



そう言うなよ。
ほら、もって生まれた才能ってのもあるし。



ふん。もう逃げ道を作ったか。



え?



今の段階でそんな言葉で逃げるなって言っているの。
才能がものをいうのはもう少しまともに動けるようになってからの話でしょ。



もっとしっかりして。



う、うん。



待ってくれよ。シャ、シャナ。






サンキュー。池。



池くん、ありがとう。



池、何しているの?



よう。
父さんの仕事の関係で、
御崎ウォーターランドの招待券を大量にもらっちゃってさ。
クラスのみんなに配ることにしたんだ。



うん?



御崎ウォーターランドって、最近オープンしたあの
ア、ハーン
か?






夏だ!水着だ!御崎ウォーターランド!
ア、ハーン。






ああ、みんな喜ぶんじゃないかと思って。



大喜びだよ。
さすが、池!



はい。平井さんにも。



う・・・ん。






ねぇ、水着 どうする?
今日、買いに行こうか?



また、緩んだ顔して・・・



ねぇ、これ せっかく貰ったんだし
明日かあさってでも・・・

ねぇ、シャナ?



うん?
な、なんだ?
授業を始める前から先生に文句があるのか?



ネクタイが派手。



うん?
ナウいじゃん!



はぁ。。。






何よ!悠二のやつ!
こんな紙切れ1枚でニヤニヤして。
たるんでいる!



遊泳施設の入場券か?



そうみたい。



人間はどういうわけか水と戯れるのを好むからな。
そういう遊戯も成立するのだろう。



だからって、気持ちも顔も緩みすぎ。
あんなだから上達しないのよ。



ふむ。



ねぇ、アラストール



なんだ?



ウォーターランドってお風呂みたいに気持ちがいいのかな?



わからぬ。



そうだよね。






おい、屋上で食おうぜ。



シャナ、午前中はとうとう戻ってこなかったけど・・・



あれ?どこに行っていたの?
平井さん。



ちょっとね。



どこ行ってたんだよ。



隣町のパン屋。



はぁ?
なんでまた?



うん、当たりかも。
やっぱりメロンパンは
カリカリ モフモフの食感が大切なのよ。
わかる?



そ、そういうものなんだ。



あ、あの〜、その〜・・・
あの〜・・・

あの〜、よかったら・・・その・・・
みんなで一緒にお弁当、食べませんか?



う、うん。



たまには こういうのもいいよな。
一人よりも大勢で楽しく食べるほうが美味しく感じるだろ?



うん。
まぁな。



あ・・・



ひゃぁ!



あ?



あ、あの・・・その・・・あの・・・
え・・・と・・・あの・・・

坂井君!



な、なに?



えっと・・・その・・・
お、お弁当、いつもコンビニのおにぎりですよね。



ああ、母さんがさ
男が三食 全部 母親の手料理食べてるようじゃ
出世しないとか、何とか言うからさ。



そうなんですか。



うん。



あ?



言うことが違うよ。
坂井をウォーターランドに誘うんじゃなかったの?



だ・・・だけど・・・



ねぇ、ものは相談なんだけどさ、
せっかく池くんの好意もあったことだし
日曜日にでもみんなでウォーターランドに行かない?



緒方さん。
みんなって?
みんな?



そう。
クラス全員じゃさすがに多いから
ここに居るメンバーと、そうね・・・