灼眼のシャナ4 1/3

灼眼のシャナ4 1/3


惑いのフレイムヘイズ





いつか消えるとしても今の僕が間違いなく坂井悠二であること。
いつか忘れられるとしても僕の存在の力が池たちに残ったこと。
僕はそれで満足しすっきりと終わった気になっていた。
自分ではさとったつもりだったのだが
でも、僕は何もわかっていなかった。
全ては まだ始まったばかりだったんだ。
僕とシャナのことも。






えーと、コーヒースプーンはと。



あの、トーチの灯り消えそうだったのに
急に回復した。
どうして?ありえない。



うむ。
中に宿している宝具のせいかもしれぬ。



そんな・・・宝具って・・・



もしかして!!




零時迷子。



でも、まさか!



我もにわかには信じられぬ。
あれが目の前にあるとは。



うん。




もしそうであったのなら、ますますあの狩人には渡せぬ。
しばらく様子を見ねばなるまい。






おまたせ。はい。



なに?



べ、べつに。。。



あ、雨 降ってきたよ。



見ればわかる。



中に入れば?



なか?



ああ、だって濡れるだろ?
だいたい僕を見張るなら傍に居たほうがいいと思うけど。



そう・・・ね。



思いつかなかったのか?



そんなに偉そうに言うほどのこと?



べ、別に偉そうになんか。
ただ、なんでかなって。



フレイムヘイズは天候など気にせぬのだ。



入る。



ど、どうぞ。





母さん1階で寝ているから大声ださなければ大丈夫。



ああ、それ使ってよ。
僕は父さんの書斎で寝るから。



おまえを見張るために入ったのに
なんで別の部屋なのよ。



え?だって・・・



きさまが言い出したのだ。
ここで寝ろ。



うわ!!
何するの?!



着替えるの。
当然でしょ。



あ!いや・・・だけど・・・
えっと・・・どっか 場所・・・



何をうろたえているのだ?
貴様が気にすることは・・・



どっかにもぐっていて。



あ、うん。



覗いたらぶっとばすわよ。



まさか。



早くして!



せかさないでくれよ。
でも意外だな。



何が?



やっぱり恥ずかしいと思うんだ。



うわぁ〜



ふん!



はぁ〜
寝巻きとかは?



覗くなって言ったでしょ!!



覗いてないって。
寝巻きとか持っているのかって聞いているんだよ。



無いわよ。



あるのは下着だけ。
身体の汚れはアラストールが炎で清めてくれるから
替えるのは気分だけど。



へぇ〜。便利なんだ。
別途の横の引き出しにジャージ入っているからそれ使って。
そう言えば荷物なんか持っていなかったよな。



大体のものは入っている。



どこに?



よがさ(夜傘)。
フレイムヘイズの黒衣の中。



まるで魔法だな。



アラストールの力よ。



うん、すごいんだな。
アラストールってどういう人なの?



人間ではない。
我もまたぐぜ(紅世)の王の一人だ。



え?あの存在を食べるぐぜ(紅世)のともがら(従)と一緒ってこと?



欲望のままに存在を食らうものもあれば
我のようにそれを討つものもあるということだ。
ぐぜには無い存在の力がこの世にはある。
ともがら達は、それにひかれて やってくる。
存在の力をあやつり己のさまざまな欲望を満たす。



ふーん。そのともがら(従)って どこから来るわけ?



ぐぜ(紅世)よ。
この世の歩いて行けない隣の世界。



異次元みたいなもん?



そう考えて問題は無い。
だが、存在の力をもてあそべば
いずれこの世と ぐぜのバランスが崩れる。
それを阻止するために我らのようなフレイムヘイズが居る。



我らってことは他にも仲間が居るんだ。



フレイムヘイズは居るけど仲間は居ないわ。



一人一人、戦う理由も手段も違うのだ。
時にはフレイムヘイズどうし戦うこともある。
気の荒い者もいるからな。



ふーん。協力したほうが効率いいと思うけど。
うっ。わぁ!!
いってぇ〜
あ・・・



ゆうちゃん、どうしたの?



いや、ちょっと部屋の整理を。



そ、もう遅いからほどほどにね。



ああ、あはははは。
はぁ〜。



うー!!
あと10発ぐらい殴るんだった。



わからぬなぁ。
あれはトーチだ。



それは。



石や木の前で裸身をさらして何を恥じる。
常のおまえならば・・・



なんか嫌だっただけ!



うむ。



あ!
感じる?



うむ。フレイムヘイズだな。



フリアグネを狙って来たのかな?



だとしても既に我らが先取りしているとすれば
おとなしく立ち去ろう。
フレイムヘイズが顔をつきあわせても
ろくな事にはならぬからな。



うん。