灼眼のシャナ3 1/3

灼眼のシャナ3 1/3


トーチとフレイムヘイズ





僕はただのフレイムヘイズだった少女にシャナという名前をつけた。
それはいつか消える僕の精一杯の抵抗だった。



勝手に名前をつけるなんて
トーチのくせに生意気よ。



名前か。



そんなもの必要ないのに。
使命を果たすフレイムヘイズに名前なんか。



そうだな。



シャ ナ



本当に変なトーチね。あれ。



今まで見たトーチは何がおきたのか教えてやると
どれも泣き叫んだり、現実逃避したり。



身を投げたものもあったか。



でも、あれは違う。
どうして?ミステスだから?



いや、トーチの性質は元の人間から引き継ぐものだ。
ミステスとてトーチである以上はそれは変わらぬ。



あれの中にあるのは何だろう?



まだわからぬ。
だが、問題は中身ではない。

それを狙ってくるぐぜ(紅世)のともがら(従)だ。



うん。あれがどんなトーチだろうと関係ない。

それにすぐ消える。



残りかすはいつかは消える。
だれもその存在を覚えていないし、あとも残らない。






僕は忘れない。
絶対に。







僕を見張っているって言っていたのに、居ないな。シャナ。



おはよう。




坂井!
おまえ昨日どうしたんだ?
急にゲーセン飛び出してさ。

平井さんを探すとか言って戻ってこないし。



池!おまえ平井さんを覚えているのか!



え?




平井さんのことだよ。



忘れるわけないだろ?
そこに居るんだし。



な、なんで!



おまえ。



池、頼む。宿題の答え教えて。



うん、わかった。




おまえ、顔洗ってきたほうがいいよ。



何しているんだ。



言ったでしょ。
おまえを見張るって。



だからと言ってこんな所まで。
それにそこは平井さんの席。



平井ゆかりは私よ。
平井ゆかりの存在に私を割り込ませたから。



わ、割り込ませた?



昨日の残りかすを使ってね。
だから、今は私が平井ゆかり。



でも、顔とかぜんぜん・・・



平井さん!
この間借りてたノート、サンキュ。助かったよ。



気づいてない。なんで?



存在に割り込むってのは元の人間に似せるとかそういう事じゃないの。
他の認識していた平井ゆかりという存在を私にすげかえるのよ。



そんな・・・




ともがらを とうめつ(討滅)するためよ。



おまえは私たちの干渉を受けたからおかしく感じられるだけ。
気にしないで。



気にするよ。
平井さん、昨日きえたばっかりじゃないか。
その居場所をのっとるなんて。



のっとる?
本人はとっくに食われて死んでいたのよ。
本当なら消えていなくなる場所を利用して何処に不都合があるわけ?



不都合とかそういう話じゃない!!



坂井・・・



どうしてそんな言い方が出来るんだよ!?
人をそんな風に。

理解できないよ!!

最低だ!!



理解できないから最低呼ばわりかよ。
優等生の特権か?
だいたい女を怒鳴るなんてみっともないっつの。



なに、これ。
これこそ理解不能だわ。



おい。



なーにやってんだ。
早く席につけ。
じゃあ出席とるから。



安部。


はい。


池。


はい。


石井。


はい。


上田。


はい。


上原。


はい。


大林。


はい。






平井さんが消えたのはシャナのせいじゃない。
平井さんの存在に割り込んだのだって敵を倒すためだ。
きっと今までもシャナはこういう事を経験して。

それをあの佐藤が言うとおり、理解できないからって。
でも、どうしても我慢できなかった。







こーら平井!!
ノートも教科書も開かないで何しているんだ!!

平井!!先生の言うことが聞こえんのか!!



おまえ!
その穴埋め問題、ぜんぜん意味の無い場所が空いているわ。
クイズじゃないんだから前後の文脈でおしはかれる所をあけなさいよ。
正しい答えは
The which we call a rose, By any other name world smell as sweet. 
だけど原文を丸暗記でもしてなきゃわかるはずが無い。
それに段落で見たらあと2つ文章が足りないわ。



おまえ、先生に対して・・・



だいたい説明も下手でだらだら要領の得ない話をするだけ。
私に教えるつもりがあるなら、ちゃんと勉強してから出直しなさい。






平井君!君は私の化学式のいったいどこらへんが間違っているのか!!