ツバサ・クロニクル 3 2/3

ツバサ・クロニクル 3 2/3



では、何としても
無駄な殺生はやめないという事ですね。



俺はただ強くなりてぇんだよ。
もっと、もっと
誰よりも強くな。
その為の戦いだ。
誰が死のうが生きようが
かまってられるか。



ぁ・・・



では、仕方ありませんわね。



ん?
うぉ!



これから貴方を異界へ飛ばします。



飛ばすな!

う・・・!



貴方はきっとたくさんの人々と出会うでしょう。
そこで、本当の意味での強さを知るでしょう。
そのために
別れはつらい事ですが
私は貴方を見送りましょう。



って、おめぇがやってんだろうが!



もう一つ、術をかけておきましょう。



なんだ?
これは?



それは・・・
呪(シュ)です。



『呪』だと?
うわぁ!



『呪』は、貴方がこれ以上
無駄な殺生をせぬための物。



どこだ?



あなたが人を殺めるたびに
あなたの強さが減っていくのです。



どこに居る?
知世姫!



ん?



ぁ!



あ!

夢?



おはようございます。






ぁ?



ようにあうで。じぶんら。
その格好やったら、街歩いても大丈夫や。



それじゃぁ、行ってきます。



さくらさんは、私が傍に居ますから。



お願いします。



ぉ・・・



お昼代、入っとるさかい
3人で仲よう食べや。



ありがとうございます。



で、なんでそのガキに渡すんだよ?



一番しっかりしてそうやからや。



どういう意味だよ?



わぁ〜い!
あはははは。



待ってるんだ。
さくら。
羽は必ず見つけ出すから。






うーーーーん・・・



どうだい?



モコナ、感じない。



そうか・・・



昨日は感じた羽の波動を
今日は感じないって・・・
どういう事なんだろうねぇ・・・
黒たんはどう思う?



妙な呼び方するんじゃねぇ!



黒さま、こわーい。



チッ、ったく。

ぁ?

あ、あれは・・・!



どうしたの?



あいつ。
間違いねぇ。



ぁ・・・



黒たん。



どうして、あいつがここに?
いや、んな事はどうでもいい。






それは、『呪』です。






あいつをとっ捕まえて
あのふざけた術を解いてもらうぜ。






居ましたか?
黒剛さん。



黒たんにも困ったもんだねぇ。
こっちは羽を探さなくちゃならないのに・・・



ぱ。
ん?



どうしたんだい?



ぷう!



黒たんの居場所がわかったのかもしれないね。






お好み焼き。
星月。



う!



ここからいい匂いがする!



言われて見ると確かに・・・



モコナお腹すいた!



いらっしゃい!



お客様は何名様ですか?



ぁ!



えーっと、三人。
いや、二人と1匹かな?



なら、こちらへ。



王様!
どうしてここに?



お、王様?



うちは店員が焼くシステムですから。



このまましばらくお待ちくださいね。



兄ちゃん、こっち豚玉。



あいよ。



ご新規、豚玉一丁!



『王様』って・・・
前居た国の王様かい?



はい。



で、豚玉1丁の人が
神に仕える神官か?



はい。






てぇーやっ!



遅いぞ!
小僧!



王!



さくらは無事なのか?



それが・・・



妹は無事かと聞いている!



やはり・・・
その羽は姫の心です。



こ・・・心?

ぁ・・・



姫の中にあった
生まれてから今日までの思い出が
全て消えているのです。
そして、飛び散った心は
既にこの世界には・・・
無い。



なんだって?



そ・・・そんな・・・



小僧。



ぁ。



妹を・・・
頼む。



はい。



ふ。
ここから先は、一歩も通さん!






こっから先は、自分でやってください。



ぁ・・・



次元の魔女が言ってたよね?



ぇ?






異世界を旅する事は想像以上につらい事よ。
さまざまな世界があるわ。
知っている人、前の世界で会った人が
別の世界では、全く違った人生を送っている事もある。
同じ姿をした人に
いろんな世界で何度も合う場合もある。






彼らは小狼くんの国に居た二人とは
同じだけれど同じじゃない。
言うなれば根源が同じなんだ。



根源?



命の大元。
性質とか、心とかそういった物だよ。



つまり、魂って事ですか?



そうだね。



もしかしたら黒剛さんも
もと居た世界の誰かを見つけたのかも。






ちくしょう。
どこ行きやがった?



おい、おまえ!



ぁ?



やっぱり、おまえか。
わざわざ俺たちの縄張りに入ってくるとは
探す手間が省けたってもんだぜ。



てめぇらなんぞに用はねぇ。
うせろ。



そっちには無くても、こっちにはあるんだよ!



なんだと?



てめぇを餌にして、あの忌々しいガキを
俺たちの仲間に引っ張り込むのさ。
昨日は遅れをとったが
おれの巧断は一級だぁ!
さぁ、怪我をしたくなかったらおれ達について来い!



だーははは!
おれの巧断は身体の一部を
刃物みたいに変化させられるのだ!
これぞ、名づけて・・・
蟹鍋旋回(カニナベセンカイ)!



えーへへへへ。



いきなりやりやがって・・・
あんな野郎、剣さえありゃぁ
一太刀で片付けられるってのに・・・



うわぁ!



だっはは!
おれの巧断は甲羅の棘を武器にもできるのだ!
これぞ名づけて・・・
蟹動(カニドウ)・・・



待て!

うん?



冗談じゃねぇ・・・
そんなもんでやられねぇぜ。
俺は死ねねぇ。



ん?



もと居た世界に、帰るまで。
あいつに会うまではな・・・
うわぁー!